あなたの会社は大丈夫?コロナ禍で関心が高まる機能性表示食品・ヘルスケア商品の広告規制

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新型コロナウイルスの流行で健康を意識することの多かったこの1年。ウイルス除去に役立つ商品や健康食品などへの需要がかつてないほどに高まりを見せている中で、新たな商品も数多く誕生しています。
 

しかし、商品を売り出すには注意が必要なこの分野。広告表現に対する規制は、景品表示法をはじめ、従来から厳しく管理されていましたが、2020年にはついに薬機法が改正され、いよいよ広告表現に関する「課徴金制度」が導入されました。

 
宣伝会議では、この新たな動きに対応するための知識を学ぶオンデマンド講座「健康食品・機能性表示食品のための改正薬機法・景表法を踏まえた広告表現対策講座」を配信。本稿では、講師を務める弁護士の染谷隆明氏(元消費者庁表示対策課課長補佐)が機能性表示食品や健康食品を取り巻く広告規制実務の基礎と最前線を解説します。

 

コロナ禍において関心が集まる機能性表示食品・ヘルスケア雑貨と広告規制

新型コロナウイルスの流行は世界規模でとどまるところを知りません。日本においても、2020年末から再度新型コロナウイルスが蔓延し、遂に政府は2021年1月8日、一都三県に新型インフルエンザ等対策特措法に基づく緊急事態宣言を行いました。3密防止や在宅勤務などの感染症対策とともに日常生活・経済活動をすることは今後も続く見込みです。

このようなニューノーマルの定着の結果、新たな消費者の需要が喚起されており、例えば、ヘルスケア分野では健康への関心が高まり、ウイルス除去・除菌を謳う商品や健康保持増進を謳う食品が好調です*1。例えば、機能性表示食品の分野では、最近、キリングループが「免疫機能の維持に役立つこと」を届出表示とする商品を出して話題を集めました。

他方で、ウイルス除去・除菌などの商品や健康食品を販売するにあたっては、薬機法・景品表示法(景表法)・健康増進法などの広告規制の遵守をする必要があります。すなわち、日本広告審査機構(JARO)に寄せられたコロナ関連商品等に関する苦情は2020年1月から7月までの間で約700件にのぼり*2、また、ヤフーが運営するYahoo!広告においては化粧品・健康⾷品・健康雑貨の薬機法関連の⾮承認広告数が1000万件近くもあることが報告されており*3、ヘルスケア商品などの表示の適正化が急務です。

特に、ヘルスケア商品などには「コロナ関連商品等に関する広告規制」(表1)の通り、商品などの内容に応じて様々な広告規制が複合的に適用されるため、法適用に難解な検討が伴います。

【表1】コロナ関連商品等に関する広告規制
出所/筆者作成

後に述べるように、近年、消費者庁による景品表示法の執行が活発化しています。加えて、機能性表示食品については、消費者庁は2020年3月に「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」(事後チェック指針)を公表しました。この事後チェック指針に基づき機能性表示食品の調査を開始し、監視・監督を強化しています。

また、薬機法分野においては広告代理店が広告規制に違反して逮捕されるなどの事案が発生しました。さらに、2021年8月1日には薬機法の広告規制に課徴金制度が導入される予定となっています。

筆者が講師を務めた宣伝会議「健康食品・機能性表示食品のための改正薬機法・景表法を踏まえた広告表現対策講座」(「本講座」といいます。)では、機能性表示食品やヘルスケア関連商品を取り巻く、薬機法・景品表示法(景表法)の規制の実務と最前線の議論を解説しました。

本稿では、本講座の導入として、機能性表示食品やヘルスケア関連商品を取り巻く、薬機法・景品表示法の規制の最新状況を解説します。

薬機法のトレンドと規制の強化

薬機法は、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」及び「医療機器」など(本稿において「医薬品など」という。)の品質、有効性及び安全性を確保することを目的に各種規制を課すものです(薬機法第1条)。そして、薬機法の主要な広告規制としては下記の2つがあります。

出所/筆者作成

薬機法の広告規制の適用主体は、「何人も」とされており、広告主だけでなく広告代理店や広告制作会社*4であっても規制の対象となります。例えば2020年7月、健康食品通販会社が、医薬品として承認されていない健康食品に関して、肝臓疾患の予防に効果があるかのように宣伝したとして、当該会社の社員と広告代理店2社の役職員らが薬機法第68条(未承認医薬品等の広告)違反の疑いで逮捕される事件が発生しました。

薬機法の広告規制は「何人」も対象となるとはいえ、広告代理店の担当者まで逮捕される例は珍しいため、当該事件は広告業界で大変注目されました。

また、令和元年薬機法改正*5により、誇大広告規制(薬機法第66条1項)と未承認医薬品等の広告規制(薬機法第68条)に違反した場合に措置命令が、誇大広告によって医薬品を販売した企業などには課徴金を課す制度が導入されます(施行日は2021年8月1日)。

このように、今後薬機法の規制が強化されることを踏まえると、ヘルスケア商品などの表示を検討するうえで薬機法の理解が欠かせません。

本講座では、薬機法の誇大広告規制や何が「医薬品」として判断され薬機法が適用されるのか、その実務を詳説していきます。

次回は、コロナ関連表示をはじめ年々激化している法執行についてその傾向を解説します。

*1:その他にも、在宅勤務が定着した会社に勤務する消費者が広めのマンションの購入を志向し、マンション需要が上がって不動産価格が高騰する現象が都心部では起きている。
*2:日本広告審査機構「[2020年6月~7月]新型コロナウイルス関連の広告・表示へのご意見」(2020年10月5日)より
*3:ヤフー「広告サービス品質に関する透明性レポート」より(2020年8月6日)
*4:例えば、ニュースアプリ会社の子会社が化粧品や育毛剤などについて「シミが消えた」などの架空の「口コミ」や関係のない人の写真を使うなどとした虚偽広告をしたとして、東京都から当該子会社に対して薬機法違反により指導を受けた旨の報道がされています(毎日新聞「グノシーの虚偽広告 東京都が行政指導 医薬品医療機器法違反」、2020年9月11日)。Gunosy特別調査委員会「調査報告書(要約版)」も参照。
*5:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)。薬機法の課徴金制度は、虚偽誇大広告を行った企業などに対し、違反行為を行った期間を対象に、対象となる医薬品等の売上高の4.5%を課徴金として課すもの。また、違反事業者が自主的に違反を申告した場合には課徴金が半分に減額される他、業務改善命令や業務停止命令を行った場合は課徴金の納付を命じないことができるという措置が併せて置かれている(改正後薬機法第72条の5の2~同条第72条の5の5まで参照)。
「健康食品・機能性表示食品」の広告表現に関連する法規制を押さえたうえで、方向性を誤らないためのブリーフやクリエイティブづくりのポイントを学ぶ「改正薬機法・景表法を踏まえた広告表現対策講座」。オンデマンドで配信中。

お申し込み・詳細はこちら

染谷 隆明
池田・染谷法律事務所
代表弁護士

2010年弁護士登録。2014年~2016年消費者庁表示対策課に勤務し、景品表示法に課徴金制度を導入する改正法の立案を行う。2018年10月に景表法・薬機法等の広告規制を中心に取り扱う池田・染谷法律事務所を設立。消費者庁当局の経験を活かした、広告規制を遵守しつつ利益を最大化する広告戦略や、ユーザの囲い込みを有効に行うポイント・キャンペーン戦略などマーケティング助言の他、消費者庁調査対応などの危機管理を最も得意とする。大手食品メーカーや健康食品・サプリメントなどを販売する通信販売会社などの案件を数多く手掛け、食品分野の広告規制に豊富な経験を有する。

 

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