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レジェンド松下氏に学ぶ、実演販売士の売る技術

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消費者が購入しようと思っていなかった商品を買ってもらう実演販売士。どのような考え、技術で顧客を引き付けるのか。
多くの商品を開発し、販売してきた、レジェンド松下氏に話を聞いた。

※本記事は2月1日発売の『販促会議』から一部を転載しています。

レジェンド松下氏(れじぇんどまつした)

神奈川県横浜市栄区出身。法政大学卒業後、実演販売を始める。現在は実演販売のほか、商品開発やプロデュースも行い1000商品以上のヒット商品を生み出し一日の最高売上は2億1000万円。店頭実演販売、テレビ通販、バラエティー番組と様々な分野で活躍する「実力No.1実演販売士」。

 

商品を実際に使う大切さ

──現在どのようなお仕事をしているのでしょうか。

もともとはテレビ番組の制作など、作品をつくるクリエイティブなことをやりたいと思っていましたが、就職活動で落ちてしまいました。ですが、アルバイトの野球場での売り子で一番売っていたことから、実演販売士に弟子入りし、いまは実演販売をしています。そして、世界中の商品を探すことや、メーカーと一緒に商品をつくることも行っています。

従来のメーカーによる商品開発だと、店頭に商品を置くことを考えて開発しますが、私たちの場合、しゃべることを前提に商品をつくっていきます。商品の特徴を肉付けしていくことから始めて、物語をつくり、それを「しゃべり」にしていくという、売る時を考えて商品をつくっています。

製造工程から関わることで、商品が何でこのようなつくりになっているのか、理解して話せるのです。

メーカーとコラボし、商品自体の開発も行っている。写真はスーパーストーンバリアフライパン。

──商品について伝える際には、どういったことに気を付けているのですか。

先ほどの商品開発の話とつながりますが、伝える前に、販売する商品の工場に行くことが重要だと考えています。どういう過程でつくられているのかを絶対見るようにしています。この商品をつくることは大変なんだなという、見たときの言葉が重要なんです。同じ台本でも、見た人が話したほうが思いは伝わります。うまく話すとか面白いことを言うより、実感のこもった気持ちを大事にしています。

そのため実際に話す際は台本はありません。しゃべる構成だけ考えて、言葉はつくらないでその場で考えて話しています。よく聞かれますが、何でも売れる“魔法の言葉”はありません。

また、とにかく商品を使うことも大事です。企業の提示しているデータに騙されずに、実体験。会議室、研究室は実際に商品を使う環境とは違いますよね。メーカーが言いたいことよりも、使った体験、感動です。

そのため、私は気に入ったものしか販売はしません。いろいろなご依頼をいただきますが、自分が感動したものを選んでいます。そういった姿勢によって信頼も積み重なっていき、ブランドになっていきます。

まずは来店者を集めるところから。台本はなく構成を考えておく。

メディア、ターゲットを考える

──実演販売は、店頭と映像配信でやり方に違いがあるのでしょうか。

店頭では、お客さんがいない状態から始めるので、まずは集客をする必要があります。気付いて、立ち止まって、一歩前に来て、信頼関係を築いてクロージングする。こういった工程があります。そのため、話のオチは最後のほうに話します。

テレビ、YouTubeなどの通信販売は既にお客さんがいる状況から始まりますので、最初からオチを言います。動詞が前にある英語、後ろにある日本語との文法の違いのようなイメージでしょうか。通信販売は、1~2分で完結する話をして、金太郎あめのように何度もオチを話します。

それに対して店頭は、ひっぱってひっぱって、最後にオチ。オチを言うときには30~50人集まっています。みなさん1人目のお客さんになりたくないけど、周りに人がいると何だ何だと集まってくる。人がいるお店に人が入るといった繁盛店のようなものです。その状況をつくるために、オチは最後なんです。

──実演販売の秘訣をひとつ挙げるとすると何でしょうか。

話を聞いている全員が買うと思わないことですかね。買ってもらうターゲットを絞っています。全員に買ってもらおうとすると、しゃべりに無理が出てきます。どんな商品でも納得しない人はいます。こういう属性の人なら買うだろうといったことを考えて、買わなくていい人をつくる。買う人のゾーンを決めるのです。

30人くらいしか買わない商品を100人に売ろうとしない。規模感を見極めて、捨てるべきところは捨てる。ですが、はまっている人にはぜひ買ってもらいたいと思ってしゃべります。

本記事の続きは『販促会議』2021年3月号に掲載しています。その他にも衝動買いについての記事を多数掲載。