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コラム

48歳のピボット・ターン 〜広告会社のCDが、テックベンチャーに入ったら〜

起案して29時間でプロダクトローンチできた話

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ミッションは「世界中の良質な情報を、必要な人に送り届ける」

Shinno:「いやー、早かったですよね。元々、厚生労働省からデータが出たんですよね、前日の水曜日。で、木曜日の朝にやろうと急に決まった。木曜の朝に、会議してたら、急にやろうとなった。その時はほんとゼロだった。それまでは、何かコロナワクチン関連で世の中のためになりたいけれど、SmartNewsとしてはデータがないと何も出せないというジレンマもあった。なので、初めてちゃんとしたワクチンの接種情報が厚生労働省から出た瞬間、特急でやろうとなったんですよね。レースが始まったぞ!と思って(笑)。いち早く届けないと、遅いと価値が半減する、ってみんな思ったんですよ。健さんからの“Go! Go! Let’s release it today!”も燃えましたよね、まあ、その日には出なかったわけだけど(笑)

まずプロダクトマネージャーとしてローンチまでのプロセスを明らかにして。プロダクトデザイナーがUIをデザイン。そのかたわら、PRチームや、法務に並行して確認しつつ、がんばってみようとなった。けど、その日中のリリースはフロントエンドのエンジニアと話して、さすがに間に合わないねこれは!って言って諦めた。で翌日の朝から、今日は行ける!と緊急のリリースミーティングを行い、そしたらちょっとした問題が発覚し(笑)、もう一度作り直して、やっと出た。

29時間で出せた、ということに価値があると思うんですよね。達成感を感じてます。いつか、さらに緊急で早く届けなきゃいけない、というときの訓練にもなったと思うし、早い仕事ができるのが、ベンチャーだと思う。極めて意思決定が早かった。社内の各ディビジョンのヘッドが特急で承認してくれた。法務も今回は特急で回答してくれしてたし、PRだって何日も前から仕込むんでしょうけど…そして、 誰よりエンジニアがすごいパワーを発揮してくれたと思いますけど…本当に感謝しています。機動力や一体感がベンチャーのいいところ。動きの重い大企業では難しい動きが、スマートニュースではできた。会社がもっと大きくなっても、この機動力を失わずにいられたら最高ですよね」

Ryo:「パートナーシップを担当する役割としては、公的なデータを取り扱うことの難しさと迷いはありました。どこまで情報提供が続けられるのか?保証がない状況で始めたからです。そういった課題はありつつも、リスク込みで判断できたのは誇らしい。うちだからこそ、ここまですぐ判断できたと思います。

今回のポイントは『厚生労働省のサイトで公開してどれくらいの人に届くのか』ってところだと思うんです。ワクチンがどれくらい接種されているのか見える化されず、状況だけが進んでいくのは望ましくない。リスクがありつつも、弊社のミッションである『世界中の良質な情報を、必要な人に送り届ける』に照らし合わせて、やるべきだと思った。日本人の多くが、必要としているわけですからね。日米5000万人以上*にダウンロードされているアプリだからこそ、多くの人に送り届けられるので(*2019年の公表数字)。今回、アメリカでも同じ機能をローンチできたのも意味がありますよね。アメリカは29時間ではやってないですが(笑)。

とはいえ、もっともっと粒度の細かい情報、データ公開がないと、これ以上は難しいです。さらに現状を正しく伝えるためには、政府や省庁であったり、自治体であったりの、データのオープン化が必要です。データはあるのに、マシン・リーダブルでないのが大きな課題のひとつです。機械が読み込める形式でデータが公開されないと、サービスに組み込めないので。今回の試みで、公共データのあり方を、少し問えるといいなと思っています」

私:「スマートニュースの役目は、人とデータのつなぎ方、そして分かりやすい見せ方でしょうね。既に実装されている雨雲レーダーでも、データの見せ方によって、5分後に雨が降ります、10分後に止みます、とユーザーに分かりやすい形で表示するUI/UXにこそ意味がある。できるだけ多くのデータ、様々な事業者が持っているデータを、より利用価値の高い形にして、より多くの必要な人に届ける。それがスマートニュースの使命。今回改めてそう思いましたね」

※なお、念のため、タイトルにもある29時間は、ちゃんとみんなの睡眠時間込みの数字である。私も6時間寝ました。