私は30年余りクライアントという立場で広告制作の現場に立っています。仕事柄、日常生活の中で映像、グラフィックに限らず広告に目が留まりがちです。気になった広告に出会うとスタッフを調べて自分の引き出しにストックすることが習性になっています。
いつの頃からかアンテナに「岡本欣也」と言う名前がひっかかり始めました。どこか自分の志向や琴線と重なる部分があるのか、その頻度が高まり「うわー、これもそうだ。」が「もしかして、これも」になる頃には、一緒に仕事をしたくて仕方なくなります。今は共に広告に対峙できています。
ステートメントについて「それこそが企業、商品、プロジェクトの現在地を示す地図にもなるし、その上で方位を教えてくれる羅針盤にもなる。プロジェクトが動き出すときの、エネルギーにだってなるし、はじまりの合図にもなる。」「ステートメントは手紙です」と記されています。
私の理解も同様で、日常の広告制作に於いては、さらにお客様への約束という意味合いも色濃く反映されることが多いと感じます。迷ったら立ち返れる場所でもあります。そう考えると、キャッチとボディーと呼んでいた頃よりも、広告における存在価値は大きくなっているのかもしれません。
私は広告そのものが手紙だと思っています。広告は、相手のことを思い、自分をアピールしながら確かな約束をし、沢山のライバルの中から自分を選んで欲しいと願うラブレターです。
この本はコピーライターの皆様に多くのヒントを与えてくれると同時に、おかきん(敬愛と尊敬をこめて)が、どんな視線や覚悟を持って言葉と対峙しているかを伝えてくれます。できるならコミュニケーションに携わる沢山のクライアントにも是非手に取って頂きたいと願います。
髙上晋(たかうえ・しん)
サントリーコミュニケーションズ 宣伝部 スペシャリスト、クリエイティブ・ディレクター
1955年広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業。1978年サントリー入社、1990年より広告クリエイティブ制作のディレクションを務める。山崎、角瓶、膳、碧Ao、カクテルバー、とっておきのお酒、カロリ、ほろよい。プレミアムモルツ、金麦、オールフリー。ウーロン茶、黒烏龍茶、BOSS、PEPSI、オランジーナ、東日本震災「歌のリレー」などをディレクション。(担当作品受賞歴)ACCグランプリ、ACCグランプリ、TCCグランプリ、総合電通賞、ギャラクシー賞CM部門大賞、ロンドン国際広告賞シルバーなど。
はじめに/あとがき/解説でざっくりわかる 宣伝会議のこの本、どんな本? 関連記事
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