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崖っぷちに強い2人に聞く!「〇〇力ランキング」を呪縛から味方に変える方法

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組織・団体をランキングで評価することが多々あるが、これは企業や自治体などの魅力を示す一要素にすぎない。
このようなランキングをうまく活用する方法は存在するのか。
「都道府県魅力度ランキング2020(ブランド総合研究所)」にて脱・最下位を果たした茨城県でPRを担当する谷越敦子氏と、多くの自治体や団体をV字回復させてきた“逆境請負人”河西智彦氏に意見を聞いた。

月刊『宣伝会議』5月号(4月1日発売)では「ランキングに惑わされない!独自路線のブランド戦略」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

博報堂
クリエイティブディレクター・ビジネスコンサルタント・
マーケティングコンサルタント
河西智彦氏
戦略とPRで人々を行動させ、企業のV字回復に貢献する。幸楽苑のV字回復戦略と「2億円事件。」、姫路セントラルパーク「日本一心の距離が遠いサファリパーク」、ベイクを買わない理由100円買い取りCP、スペースワールド閉園CP、ソフトバンク「工事がいらない」などで売上増やV字回復を実現。著書『逆境を「アイデア」に変える企画術』。

 

茨城県
営業戦略部プロモーションチーム チームリーダー
谷越敦子氏
茨城県庁において、2017年より広報・PRを担当。都道府県No1の動画掲載本数を持つインターネット動画サイト「いばキラTV」の運営、自治体初の公認Vtuber「茨ひより」の起用、茨城の厳選した逸品を取扱うアンテナショップ「イバラキセンス」(東京・銀座)の運営などに携わる。

 

マイナス要素も活用できる!重要なのは発信する“ファクト”定め

—ランキングなどの第3者による指標をどのようにとらえていますか?

谷越:「都道府県魅力度ランキング」などは、あくまで指標のひとつでしかないと考えています。人によって魅力の感じ方はそれぞれ。このランキングだけで各都道府県の魅力が表せているとは思いません。

とは言え、茨城県は「都道府県魅力度ランキング」で2019年まで7年連続最下位。メディアからも注目されますし、県民の方からいただく声も多く、やはり無視できるものではないですね。

河西:いまは情報があふれている時代。人間に「失敗したくない」という感情がある以上、ランキングや口コミなど、第3者の指標は大きな力を持つと思います。

広告やPRは人に動いてもらうことが目的なので、世の中の人が動くような指標を活用することはよくあります。

例を挙げると、2019年に姫路セントラルパークのWebムービーを制作した際は、「屋外施設 小学生満足度ランキング関西TOP3」ということを動画のラストで打ち出しました。

また、第3者の指標としては、大阪から本当は「約55分」で行けるのに意識調査をしたところ平均して「約3時間」もかかると思われていたという結果も載せ、「日本一、心の距離が遠いサファリパーク。」と表現しました。

これは自虐のように見えますが、「3時間かかると思われがちですが、実は55分」と自虐をしつつ強みをアピールしています。

このように、マイナスの内容をプロモーションに活用することも可能だと思います。

河西氏が2019年に手f掛けた姫路セントラルパークのWebムービー。自虐要素をアピールに変換している。

—茨城県では、最下位という結果を逆手に取った事例などはありますか?

谷越:ランキングの発表は例年10月頃ですが、茨城県に注目が集まるため、そのタイミングで県が推したいと考えている情報を積極的に発信するといったことを行っていました。

例えば、茨城県が生産量全国1位である栗などの秋の味覚や、ブランド力を向上させたい農産物などをアピールしたりしていましたね。また、過去には「なめんなよ♡いばらき県」「のびしろ日本一。いばらき県」といったコピーを発信していたこともあります。

このコピーのように、以前は茨城県全体の魅力を訴求していたのですが、2017年に知事が変わって以降は路線を変更。“茨城県全体”の抽象的なイメージではなく、茨城県のなかで突出したもの、際立った特徴のあるものを打ち出すようになりました。

例えば、茨城県には「恵水」という梨のブランドがあるのですが、これを1玉8640円という当時日本一高い値段で販売するPRを実施。メディアにも取り上げていただき話題になりました。

茨城県はオリジナル品種の梨「恵水」を1玉8640円の「日本一高い梨」として販売した。

河西:いいですね!人がその場所を訪れるのは何かしらのファクトが目的になるので、突出したファクトをアピールするのは有効だと思います。

ファクトが注目され、そのイメージが根付くことで自治体のイメージも向上するのではないでしょうか。

私がレジャー施設の広告・PRに携わった際に行動経済学の視点で発見したのが「人は、行く理由が2つあると行動する」ということ。

“食事”と“絶景”、“アウトレット”と“温泉”など、行く理由となるファクトを2つつくると人は動きます。これは、自治体でも活用できるのでおすすめです。

—本記事の続きは月刊『宣伝会議』5月号(4月1日発売)に掲載しています。

月刊『宣伝会議』5月号(4月1日発売)

第58回「宣伝会議賞」最終審査結果発表!

特集1
オリジナリティがあれば弱みも生かせる
ランキングに惑わされない!独自路線のブランド戦略

▽注目の記事を一部ご紹介!
〇ひとつの正解があるという思い込みを超えて
価値を生み出すための視点とは
大仲千華氏
〇「〇〇力ランキング」を
呪縛から味方に変える方法
博報堂 河西智彦氏、茨城県 谷越敦子氏
〇コモディティカテゴリーに、
新しい「選び方」の軸を提案する
おやつカンパニー/ライオン/サントリースピリッツ/
フェリシモ/エコストアジャパン

特集2
社会課題を通じて企業姿勢を示す
BtoB企業のソートリーダーシップ戦略

〇“いち企業”から“業界の先導者”へ
これまでの経営手法との違い
本庄加代子氏
〇持続可能な社会をつくる
世界中のアイデアを結集させる仕組み
日立製作所 平野泰男氏
〇BtoBマーケティングにこそ必要
ソートリーダーシップ確立のプロセスとは?
freee 中東孝夫氏
〇”御用聞き”になりすぎない
社会課題から業界課題にアプローチ
カケハシ 中尾豊氏