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持つべきものは先輩である。
ご馳走してくれるから、という理由は基本的にあるとして。それに加えて、食べながら、いい話をしてくれるからである。そしてそのいい話には、多分に教育的要素が含まれていることが多い。
というわけで今回は、先輩から教えてもらった話。
時は2011年3月4日。場所はスイスのローザンヌ。日本から遠く離れたこの美しい小さな町で、寿司をご馳走してもらいながら聞いた「伝説の授業」について。
先輩の名前は、残念ながら匿名希望ということで、ここではT先輩としておく。高校のバスケ部の先輩であり、同じ大学でもあり、そしてなんと同じ会社に勤めたという3つの場所で先輩という、もう逃れようのないまさに人生の先輩である。
学年は4つ上で、僕が中1の時に先輩は高2。中高一貫だったため同じコートで練習し(ちなみにこの連載の10回目に紹介した佐賀県の弘学館高校)、慕って寮でも部屋に遊びに行っていたりしていて、卒業される時には寂しくて涙をこぼしたりもした。まさかその後、同じ大学&会社でここまでのお付き合いになるとは思ってなかったし。
時は流れて2011年。出張でジュネーブに行くことになり、ついでにリサーチのためにローザンヌにも足を伸ばすことになった。ちょうどその頃、まさにそのローザンヌのビジネススクールにT先輩が留学されているではないか。これは奇遇。連絡しよう。いや、素通りしたのがバレたら絶対怒られる。
指定されたカジュアルな寿司レストランで、T先輩と会う。同じ会社といえども、部署が違えば、なかなか会うこともないから、数年ぶり。
「まさかこんな所でお前と会うとはなあ」
会う場所が変われば、話す内容も自然と変わる。それが、楽しい。何の仕事で来たの?最近どうよ?って話を振られた後で、先輩がこっちで何を学んでるか?の質問してみたところ…。
ビジネススクール=なんだか難しげで硬そうというイメージでこっちは構えてる中で、意外な答えに、完全に意表を突かれることとなる。
