コラム

“裏取りのプロ”テレビリサーチャーが語る『ファクト・フルネス』と『コンプライアンス』

消費者に共通の「常識」がなくなり、「ファクト」と「コンプライアンス」が現れた

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かつては、テレビや新聞といったマス・メディアの「特権」だったマス・コミュニケーション。それが今や……。©123RF

そもそも「テレビリサーチャー」って?

みなさん、こんにちは。「テレビリサーチャー」で、かつ明治学院大学国際学部付属研究所研究員の高橋直子です。

「テレビリサーチャー」……。おそらくアドタイ読者の皆さんでもあまり聞きなじみのない職業だと思うので、簡単に説明します。

テレビ番組には、情報バラエティー、クイズ、教養、音楽、ドラマ、ドキュメンタリー等々ありますが、それぞれの制作過程で、情報収集(ネタ探し)と情報確認(裏取り)が必要となります。この情報の収集・確認を担当するスタッフが「リサーチャー」です。

ひとつの番組でも、巷で話題の人やモノ、人気タレントの最新情報、条件に合ったロケ地といったことから、歴史・文学・経済・生物・医療・科学などアカデミックな領域の専門知まで、その制作過程で必要となる情報は実に多種多様、すこぶる雑多に広がることも珍しくありません。そこで番組プロデューサーはじめ制作者の依頼を受けて、あらゆる手法を駆使して、どんなジャンルでも調べて、適確に報告することが、リサーチャーの仕事になります。

たとえば、「明後日までにレモンを使ったラーメンを探してほしい」「渋沢栄一の武勇伝をまとめてほしい」「ゲストの〇〇さんが〇〇のトマトジュースが日本一になったと話した。裏を取ってほしい」と頼まれたなら、ラーメンマニアに問い合わせたり、新聞・雑誌を検索したり、国会図書館で史資料を読み込んだり、関係省庁のデータを確認したり・・・・・・。大勢の人が見るテレビでは、些細な事柄でも、発信する情報に誤りがあってはいけませんし、根拠がなくてはなりません。〇〇さんが「このトマトジュースは日本一だと思う」と話したのであれば「個人の見解」ですが、「日本一になった」という話であれば、どういう理由・基準で、何の「日本一」になったのか、裏取りが必要になるのです。

次ページ 「リサーチャーを通じて感じる「変化」」へ続く

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