消費者に共通の「常識」がなくなり、「ファクト」と「コンプライアンス」が現れた

リサーチャーを通じて感じる「変化」

私は20年ほど、このリサーチャーという仕事をしていますが、ここ数年、リサーチャーの仕事に2つの変化を感じています。

ひとつは、クライアントの多様化です。映画やWebコンテンツ、ゲーム開発、企業コマーシャルなど、テレビ番組制作で培われたリサーチャーのワークスキルがテレビ以外でも求められるようになってきました。

もうひとつは、ファクトおよびコンプライアンスに関わるリサーチの増加です。インターネット、とりわけSNSの普及は、マス・メディアに対して、〈事実〉であることはもちろん、〈不快感〉を与えないことを要求する状況をもたらしています。

2つの変化はいずれも、以前ならメディア企業だけの特権だった不特定多数への「発信」行為が、SNSの普及によって、あらゆる業種・業態、個人にまで広がっていることを背景に生じた現象と捉えられます。

これは私の研究領域に寄せて言い換えると、視聴者・消費者など不特定多数の受け手(マス)と送り手(マス・メディア)のコミュニケーション=「マス・コミュニケーション」の変化ということです。

次ページ 「「常識」に支えられていた、かつてのマス・コミュニケーション」へ続く

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高橋直子(テレビリサーチャー/明治学院大学国際学部付属研究所 研究員)
高橋直子(テレビリサーチャー/明治学院大学国際学部付属研究所 研究員)

1972年、秋田県生まれ。國學院大學文学部を卒業後、1998年からテレビリサーチャーとして、テレビ番組制作に関わる。また、2007年から同大大学院文学研究科でメディアと宗教をテーマに研究し、博士課程後期修了。博士(宗教学)。近著に『オカルト番組はなぜ消えたのか 超能力からスピリチュアルまでのメディア分析』(青弓社)、『テレビリサーチャーという仕事』(同)。共著に『バラエティ化する宗教』(同)、『神道はどこへいくか』(ぺりかん社)など。

高橋直子(テレビリサーチャー/明治学院大学国際学部付属研究所 研究員)

1972年、秋田県生まれ。國學院大學文学部を卒業後、1998年からテレビリサーチャーとして、テレビ番組制作に関わる。また、2007年から同大大学院文学研究科でメディアと宗教をテーマに研究し、博士課程後期修了。博士(宗教学)。近著に『オカルト番組はなぜ消えたのか 超能力からスピリチュアルまでのメディア分析』(青弓社)、『テレビリサーチャーという仕事』(同)。共著に『バラエティ化する宗教』(同)、『神道はどこへいくか』(ぺりかん社)など。

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