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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

音楽プロデューサー、小説家としても“恋愛”は創作のテーマであり続けている(ゲスト:松尾潔)【後編】

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『永遠の仮眠』続編は「ピュアなラブストーリー」を構想中

中村:松尾さんは謙遜しておっしゃいましたけど、『永遠の仮眠』は、もちろんボルテージが上がる対決シーンもありますし、いち読者としてはスカッとするという言い方でいいのかな。ぐっとくる結末もありますので!

松尾:そういうふうに言って欲しいんです!(笑)

中村:松尾さん初の長編小説『永遠の仮眠』、ぜひよろしくお願いします。今ちらっとお話が出てきましたが、今後のご予定や、もしかしたら次回作の構想も考え始めているんでしょうか?

松尾:音楽プロデュースもご依頼のある限りは続けていきたいと思ってます。去年の10月に亡くなった、日本ポップス界のレジェンド筒美京平さん、彼のトリビュートアルバム『筒美京平SONG BOOK』というのがございまして、その中で1曲プロデュースしてます。Little Glee Monsterの年長メンバーから選抜した2人で『魅せられて(エーゲ海のテーマ)』をカバーしています。こういう、子どもの頃好きだった曲に現代性を与えるっていう作業は楽しいもんだななんて思います。小説の方は、2作目に着手してみました。次回は、ピュアなラブストーリーを。

中村:おお!

松尾:元々僕はラブソングをたくさんつくってきてますので、小説を最初に書くときも考えたんです。1作目の『永遠の仮眠』も恋愛のところもなくはないですけれども、あくまでメインの部分じゃなくて。恋愛っていうのは創作のテーマであり続けてます。ポップミュージックも小説も映画もそうですけど、恋愛そのものが主題になったりするじゃないですか。「それ自体が主題になる」っていうのが、音楽とかをつくる面白さかなって僕は思っていて。だからこそ、「そういうのがないんだったら書いてみよう」ってことで音楽プロデューサーを主人公に据えた小説を今回書いったってことなんですけどね。こればかりは逆に音楽では表せないことだったなっていう気がするんですよね。

難しいものですね。何か一つやったらやったで、次また新しい課題が出てきて。その課題が出てきたって言えることは幸せなことかもしれないんですけど。退屈しなくて済むから。人生はそこそこ長いって最近思ってます(笑)。反対に「人生は短いかもしれない。でも1日は結構長いな」って思うときもあったりしますしね。あっという間に1日が過ぎるときもちろんあるんだけど。
つまり何が話したいかっていうと、僕は一貫して「時間」ということにテーマがあると言いたかったんです。

体感の時間というのは、その間にも生きてきたトータルの日数が増えていって分母がデカくなっていく。だから「ストップウォッチがなくても1分間ちょうどで言える人」って人は時々いますけど、絶対ではないでしょうね。時間というものを印字した小説とかに書き留めておきたいっていう気持ちがある。これもある方に言われたんですけど、「音楽に捧げる人生になってること自体、松尾くんは時間と共に生きる人なんだよ」って。

音楽の民主的なところは、4分間の曲を聞くときに誰でも4分かかるってことですよね。そんな制約のある中で、力自慢や腕に覚えのある人たちが「えいっ!」って作品を発表するのは、毎回(フィギュアスケートの)ショートプログラムやってるみたいで面白いです。(CMの世界でも)尺が決められてることに関しての不自由な感じがあるみたいなことを、昔、澤本さんがおっしゃってた記憶があるんだけど。

澤本:そうですね。でも逆にリングが決められてるからこそ、その中での知恵比べなりますからね。

松尾:Netflixとかで、第1話47分、第2話52分、第3話44分とか、1話の時間がだいたいの感じの作品があるじゃないすか。あれって「すごいところに今来たんだな」「すごいフェーズに入ったんだな」って思わせてくれますよね。

澤本:それすごい思います。「この素材に対して最適な時間がこれだ」っていうことで毎回決めていいって話ですもんね。

松尾:そうですよね。

澤本:あれ確かにすごいと思うんだよな。

松尾:(映像表現でも)映画は元からそうだとも言えるんだけども。あと人間が人間である以上、「これ以上長いのは見れないよ」みたいなのはあるかもしれないんだけど、それも思い込みも多かったのかなっていうときもありますからね。『愛の不時着』とか「長いよ!」って思いません?「こんな長いのダメだよ」って日本のテレビ局とか言いそうじゃないすか。でもそれでみなさん喜んでる。

澤本:あれ見ちゃうんですよね。見始めると。

中村:はい、ずっと話せちゃいそうなので1回締めさせていただきます。お知らせとしては、筒美京平さんのトリビュートアルバム『筒美京平SONG BOOK』と、何と言っても次回作もご期待くださいということですね。この番組は放送後1週間ラジコ・タイムフリーで聞くことができます。また、TOKYO FMのデジタルコンテンツが集約されているスマホアプリ『オーディ』でも、番組のトークのみ配信中です。もう一度聴きたい、知りたいという方は『オーディ』で検索してみてください。というわけで今夜のゲストは音楽プロデューサー、そして小説家の松尾潔さんでした!ありがとうございました!

松尾:ありがとうございました!

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