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大手企業の宣伝部長に聞く、「アドエクスペリエンス」の課題

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コロナ禍が発生し、最初の緊急事態宣言から1年以上が経過。生活者の消費行動、メディア接触行動、さらに価値観の変化も顕著になってきました。情報収集接点も購入接点もデジタルシフトが進むなか、いま日本を代表する企業でマーケティング・コミュニケーションを担当する宣伝部長は、どのような広告・メディア戦略を考えているのでしょうか。宣伝会議7月号では、企業の宣伝・マーケティング部門責任者に対してアンケート取材を実施。本記事では、「広告体験」に対する課題について、寄せられた意見を紹介します。

月刊『宣伝会議』7月号(6月1日発売)では、「大手広告主33社に聞く『コロナ禍の広告戦略』」「『ネット広告の体験品質』課題と対策」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

各担当者が抱える課題感についての自由回答を、編集部では「情報過多環境の広告体験の課題」「顧客体験としての質の課題」「プライバシーの課題」「配信タイミング」「クリエイティブの課題」として大きく5つに分類。

情報過多環境の広告体験の課題

● 広告・情報量が増え、一つひとつの広告が埋もれてしまっている。
● 情報量が多い上に、ユーザーを無視した企業都合の広告が多いように思う。
● 情報過多による混乱、不必要な広告への強制的な接触機会の増加により、ますます広告に嫌悪感を抱く人が増えていると思う。
● 情報量が多く表示されても見られてない広告が多数あり、データの活用により、似たような広告が何度も表示される事などに課題を感じる。
● 生活者の方々が触れる日々の情報量が増えており、広告以上に面白く刺激的なメディアがあるため、広告への興味が薄れているのではないか。世間では、降り注ぐ情報から離れるためのツールやサービスも増えてきているように見える。
● リターゲティング広告含め、広告の情報量が増え過ぎており、消費者が広告に疲れているのではないかと感じる。
● 情報量が爆発的に増えた現在、体験する質の良し悪しが共に存在し、またそれが一方的に伝達される広告に対して人の期待感が低下していると認識している。このことにより、広告というだけでその情報コンテンツを遮断してしまう人が増えていると感じるため。
● 企業側はメディアや社会の環境変化の中で、顧客にとって最適な情報提供手段の試行錯誤を続けていく必要がある。ソーシャルメディアの存在力が増しているなかで、企業からの広告など情報発信に対して、顧客の関心や信頼が低下してきていると感じている。
● 商品過多、情報過多による生活者へのリーチの難しさ、継続顧客獲得の難しさを感じている。

顧客体験としての質の課題

● 自らへの戒めの意味でも、その広告が「様々なお客さまの“今”の状況」において接した際に、果たして「良き体験」に繋がっているかを、可能な限り「多くの目」で事前検証することで質の向上に務めていきたい。
● 広告主側は常にブランド毀損のリスクを抱え、生活者側はリタゲ広告などですでに購入している商品の広告に追い掛け回されたりしていることを考えると、日本のアドエクスペリエンス環境に問題がないとは言えないと思う。
● 広告に追い掛け回されていると感じる人が増え、より広告が見られにくくなっているし、ブランドに嫌悪感を抱かせてしまうリスクもある。
● KPIの活用はポジティブに捉えているが、まれに顧客体を点で考え、ポジティブ反応のみに主眼を置いたKPI設計がされてしまうケースもあり、広告コミュニケーションの質を下げたり、ノイズと呼ばれるようなアドエクスペリエンスが生まれてしまっているように感じる。

プライバシーの課題

● 個人情報保護に関する意識が高まり、ターゲティング広告に対して追跡されているように感じるなど、データ収集されることに対して気持ち悪さを覚える方の心情に配慮した対応が課題。消費者のニーズに立脚した広告体験の提供を探求していきたい。

配信タイミング

● 生活者の情報入手方法はパーソナライズ化されてきており、広告についてはスキップやブロックすることもできるようになっているため、突然邪魔される、自分事化できない、共感できないような広告についてはますます鬱陶しい存在になっているのではないか。

クリエイティブの課題

● クリエイティブなものが少なくなり、どちらかというと、邪魔に感じるもの、不快に感じるものが増えているように感じる。

 

総じて最も多くみられたのは、やはり“情報量が増えたなかで、どのように生活者にリーチしていくべきか”という声だ。

クリエイティブや配信システムを工夫することで、いかに魅力的な体験につなげられるか。そして広告主の強い意志だけでなく、ベンダーやメディア側の仕組みづくりが課題の糸口となりそうだ。

【調査概要】

標題:2021年 宣伝会議編集部「アドエクスペリエンスにする調査」
調査方法:インターネット
調査対象:企業の宣伝・マーケティング部門責任者 33名
調査期間:2021年5月
※記述回答の分類は編集部による

月刊『宣伝会議』7月号(6月1日発売)

月刊『宣伝会議』7月号は、特集企画が満載!
4本の特集から、現代の広告戦略に迫ります。

・特集1「企業が聞くべきSNSの声とは? ネット世論と広告炎上」
・特集2「大手広告主33社に聞く『コロナ禍の広告戦略』」
・特集3「『ネット広告の体験品質』課題と対策」
・特別企画「広告産業にイノベーションは起こせるか?」

特集1 企業が聞くべきSNSの声とは?「ネット世論と広告炎上」
▽注目の記事を一部ご紹介!

〇SNSの声は、本当に日本の縮図?
ネット言論の代表性を問う
真鍋 厚氏

〇炎上CMを4パターンに分類
ジェンダー論は広告づくりの必修科目
東京大学大学院 瀬地山 角氏

〇「広告」を取り巻く環境変化と
企業の“炎上”への対応
サン・アド 三好健二氏

特集2 大手広告主33社に聞く「コロナ禍の広告戦略」
I-ne、赤城乳業、アサヒ飲料、イデアインターナショナル、NTTドコモ、エバラ食品工業、大塚製薬、カゴメ、カルビー、キッコーマン食品、クレディセゾン、コーセー、ジェーシービー、第一三共ヘルスケア、出前館、東京ガス、東京個別指導学院、日清オイリオグループ、日本たばこ産業、日本ハム、ファンケル、フジッコ、ポーラ、ポッカサッポロフード&ビバレッジ、マンダム、三井住友カード、森永製菓、森永乳業、ヤマハ、ユーグレナ、有楽製菓、ライオン、レノボ・ジャパン

特集3 「ネット広告の体験品質」課題と対策
▽注目の記事を一部ご紹介!

〇デジタル広告における課題に
アドバタイザーはいかに向き合うべきか?
日本アドバタイザーズ協会 小出 誠氏
日本インタラクティブ広告協会 植村祐嗣氏

〇テクノロジーの力を魅力的な
広告体験の向上に生かす!
DoubleVerify Japan 武田 隆氏/グローバルマーケティング 岡田雅之氏/ BI.Garage 小林篤史氏/Integral Ad Science Japan 山口 武氏/ Momentum 柳谷俊輔氏/GMO NIKKO 五十嵐 慧氏/ Spider Labs 橋本咲彩氏/日本オラクル 谷野百合佳氏