日本で人気の高いロイヤルティ重視のマーケティング
このコラムでも何度か紹介していますが、アレンバーグ・バス研究所のバイロン・シャープ教授は、「ロイヤルティプログラムがまったくのお金の無駄である」と以前からことあるごとに説いています。彼曰く、ロイヤルティよりも大事なのは「市場への浸透」であると。
実際のところ、この考えは日本のマーケターから、あまり評判が良いとは言えません。なぜなら、現代の日本は、すでに人口増と市場の拡大が起きた高度経済成長期をとっくに過ぎて、人口も減少傾向にあるからです。つまり、今後市場規模は縮小することはあっても、成長は見込めないのです。
そのような市場環境においては、ホワイトスペースは見つからず、実際に目にするのは既存顧客ばかり。そのなかで売り上げを維持するには、何より今、目の前にいる既存顧客に対するアプローチで、彼らのロイヤルティ(忠誠心)を上げることが大事なのだ、というわけです。
このロイヤルティ重視のマーケティングは、ロイヤルティプログラムとか、ファンマーケティングとか呼ばれて、とりわけ日本企業には受けが良いようですが、外資系企業においても例外ではありません。たとえばECで市場を席巻しているアマゾンのような巨大外資企業でさえ、他国では導入していないポイントプログラムを日本だけは実施しています。「ほら、日本ではやっぱりロイヤルティプログラムは大事なのじゃないか!」という声が聞こえてくるようです。
「マーケティング・ジャーニー ~ビジネスの成長のためにマーケターにイノベーションを~」バックナンバー
- 「タイパ」はどのように活用できるか?顧客の体験価値を高める5つのパフォーマンス(2022/11/16)
- 個人について知らなくても集団の動きは予測できる パーコレーション理論がデータ利活用に規制のある時代にマーケターに与えるヒント(2022/4/04)
- なぜ日本企業は累計3000億ドル以上、「スタチン」の売上を得られなかったのか? 「偽の失敗」を見極めてイノベーションを育む(2022/3/01)
- 日本企業からイノベーションが生まれないのは、「失敗が足りない」から?(2022/2/25)
- 「ノイズ」を避けるために、マーケターが持つべき「統計的思考」と「判断の構造化」(2022/2/18)
- マーケターが知るべき人間の判断にまつわる「ノイズ」と「無知」(2022/2/16)
- ヴァージル・アブロー風“デジタルの現実をここに”-CES2022に新たな解釈(2022/2/08)
- なぜ、シニアよりミレニアルが重視されるのか?-メディアと所得の年齢別「格差」(2021/10/06)
新着CM
-
人事・人物
【人事】電通(23年7月1日付、8月1日付)
-
AD
宣伝会議
味の素、パルコなど登壇。マーケティングの最新情報をお届けします。
-
人事・人物
PARTYの中村洋基氏がFIELD MANAGEMENT EXPANDに参画
-
人事・人物
NTTドコモ、ブランドコミュニケーション部長ほか(23年6月19日付)
-
マーケティング
「ちいかわ」や「なにわ男子」がランクイン Z世代の2023年上半期トレンドランキ...
-
AD
マーケティング
MimiTV×KANEBOが実現した ブランドからファンへの熱量の伝播
-
広報
ランクアップ、子育て社員向けに「育児グッズリユース」イベント開催
-
AD
特集
BOVA(Brain Online Video Award)10周年
-
広報
育休取得経験「ある」男性は8% 取得は企業姿勢を感じるきっかけにも