【第5回】 核となるアイデアが立証できない! 暗礁に乗り上げた企画実現の内幕(前編)

21年9月10日までに製品開発

前回

までは、「クリエイターの方々からいただいた案の中から、いかに突き抜けたアイデアを選び取るか」について、ご紹介してきた。いよいよここからは、「企画・アイデアの良さを生かして具体化していく」フェイズになる。

「販促コンペ」でグランプリに選ばれたこともあり、企画の実現に対しては、我々自身はもちろんのこと、周囲からも大きな熱意を感じていた。アイセイの代表取締役である五島良平からも、「グランプリを獲ったから終わり、ではなくて、ここからどうつなげていくかが大切」と強く言われ、期待を寄せられていた。

それに応えるべく、私もいろんな場所で、「来年の『コンタクトレンズの日』2021年9月10日までに、製品としてのローンチを目指す」と表明して、自分を追い込むことにした。

まず取りかかったのは、提案のコアアイデアの実証だ。改めてお知らせしておくと、「カラーコンタクトレンズを正しく使うことがむしろ楽しく思えるアイデア」の募集に対し、「ネコの顔を模したカラコンケースにブラックライトを仕込み、目やになどのタンパク質汚れが視覚的にわかるようにする」というアイデアだった。暗闇で目を光らせるネコをモチーフに、自然と使用期間を守って使いたくなることを狙った案だ。

要となるのは「ブラックライトで、目やになどのタンパク質汚れがきちんと浮かび上がるか」である。提案されたクリエイター自身が自主的に実験していたので、特に問題なく、手間もかからずに終了するだろうと思っていた。

しかしそれは大きな間違いだった。

製品化に向けた検証で思わぬ事態に

誤解を招かないようにお伝えしておくと、確かに、通常どおりに使ったレンズ汚れならちゃんと汚れが光って見える。

実験のようす。ブラックライトを照射するとタンパク質が反応する

しかし今回は、製品化を目指した開発となる。きちんとプロダクトとして成立するものでなくてはならない。

そこで実験を重ねるために、コンタクトレンズのケア用品を手がける大手メーカーに、研究開発の協力を仰いだ。ありがたいことに快諾いただき、いろいろとノウハウを共有してもらうことができた。そのひとつが、実際にケア用品開発の検証に用いている「人工汚れ液」のレシピだった。

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川部篤史、都留由佳梨(アイセイ)
川部篤史、都留由佳梨(アイセイ)
川部篤史、都留由佳梨(アイセイ)
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