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【広報担当必見】ネット炎上レポート2021年8月版 〜SNS炎上の傾向と対策、不適切発言の分類〜

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調査背景・概要

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析し、2019年8月より毎月ネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。

エルテスの定義するネット炎上

▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。

ネット炎上レポート

 

■2021年8月のネット炎上トレンド

8月に最も多かった炎上対象は「企業・団体」で63%(前月比-6%)、続いて「個人・著名人」が前月と変わらず19%となりました。
「企業・団体」の炎上区分の内訳は、「自治体・団体」が全体の24%を占めており、次いで「メーカー」は10ポイント減少の10%、「サービス」は6ポイント増加の20%、「教育機関」は1ポイント増加の4%、「IT」は先月と変化なく2%という結果となりました。
「企業・団体」を対象とする炎上内容では「不適切発言・行為、失言」が48%(前月比+7%)。次いで、「顧客クレーム・批判」が38%(前月比-10%)、「情報漏えい/内部告発」、「不祥事/事件ニュース」と続きます。
8月は不適切発言・行為、失言による炎上が目立ちました。一例として、観光ガイド協会の公式アカウントが、海外の紛争地域等を引き合いに出した投稿が不適切であると批判されています。またその公式アカウントの過去の投稿には、差別的だったりハラスメントに相当する内容が見られ、多くの批判が寄せられました。
また、引き続き新型コロナウィルス感染対策に対する炎上も目立ちます。音楽フェスで観客が密状態で歓声を上げている動画が拡散するなど、感染を助長するような行動に対しては批判が集まる状況が続いています。

 

■2021年8月の炎上理解の事例

8月に、某観光ガイド協会の公式アカウントが、海外の紛争地域等を引き合いに出して「例え都市部がロックダウンしても、それら地域よりは幸せ」という趣旨の投稿を行って批判されました。同協会は批判を受けて調査を行い、公式アカウントによる過去の投稿に関しても閲覧するひとを傷つける可能性のある内容が見られたとしています。

具体的には、以下のような指摘が見られました。
・花が満開である様を「女性専用車のよう」と例える。
→女性に嫌悪感を与えるセクシャルハラスメント的、女性差別的な投稿。
・東欧各国は美人が多いという投稿。
→特定の人種・国籍に美人が多いという差別的投稿。美人が優れているという外見差別(ルッキズム)の発露。

こうした一連の投稿はアカウント運営担当者が行ったものとされ、こうなった原因としては「当事者(協会役員含む)の人権感覚や差別に関する意識の低さ」や「SNSの運用を担当者に任せ、管理する体制がなかった」と結論づけています。
SNSアカウント担当者、いわゆる「中の人」の不適切発言に関する炎上は、SNS活用黎明期から存在する古典的なものです。そしてこうした炎上が置きるたびに「中の人」に対する批判が集中しがちです。しかし、「中の人」に主観的な発信を許している以上、こうした不適切発言によるリスクをゼロにすることは不可能です。リスクマネジメントの観点から考えると、チェック機構などの運営体制を整備してリスクを低減することが求められます。今回、問題となった観光協会では、現行のSNS運営体制をいったん解体し、外部から専門家を入れて体制の再構築を図るとしています。
このように、不適切発言に関して企業側は個人の倫理だけに委ねるのではなく、体制を整備する必要があります。加えて、不適切発言が行われるパターンは、本人の意識の低さだけとは限りません。今回は「企業から見たSNSでの不適切発言リスクの分類と対策」を図にまとめました。ぜひ参考にしていただければと思います。

 

まとめ

2021年8月は、新型ウィルス感染者数が全国で再拡大したこともあり、それに関連する炎上が多く見受けられました。今後も感染拡大・縮小の波に沿ってこうした論調の動きは継続していくものと思われます。

また8月の特徴的な炎上として、某観光協会の公式アカウントの不適切発言による炎上がありました。
投稿者は悪意を持っていたわけではないと思われますが、他者から見れば人権感覚や差別意識の欠如により不快感を抱かせる内容でした。こうした他者に対する配慮は、近年ますます複雑化しており、発信者側に対しても様々な文化や価値観への理解とリスペクトが求められます。ある意味、コミュニケーションの難易度が上がり続けているともいえる状況です。個人、あるいは一部の従業員の見識に頼り過ぎるのは危険かも知れません。過去のケーススタディから学習していくとともに、自社の運営体制についても振り返る機会としていただければと思います。


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