【最終回】停滞していた状況を打開した試作品づくり

これまでのあらすじ

めでたく「販促コンペ」グランプリを獲得した「キャッツアイセイケース」であったが、

製品化に向けた開発過程はさまざまな困難に直面し、暗礁に乗り上げていた。

直面していた課題は大きく分けて2つ。1つめは、レンズの汚れをブラックライトの光で浮かび上がらせること。これは、「正しく使うことがむしろ楽しい」という、「キャッツアイセイケース」のアイデアの根幹にかかわることである。2つめは、ケースそのものを形にするために、試作開発の段階でロットの大きさに縛られず、自由に製造するための手段が見つかっていないことだ。

どうやってここから前進へとつなげていったのか。最終回となる今回は、解決に至るまでの試行錯誤をお話ししたい。

「キャッツアイセイケース」製品化へ向けた検証は、出口が見えなくなりつつあった

協力者を集めよう

まずは、「レンズの汚れをブラックライトで浮かび上がらせるという、アイデアの根幹について。

実際の汚れは検知できたのだが、製品化の上で大事なプロセスである、「ケア用品メーカーの人工汚れ液を用いた再現試験」では、うまく発光しなかった。そこで、特定の波長光の性質に基づいた仮説も検証したが、そちらもうまくいかなかった。ここまでが前回述べたことだ。

このままでは埒が明かない──。我々は一旦スタート地点に立ち戻ることにした。

もともとの出発点は、実際に使用したレンズ汚れを、楽しくわかりやすい形にすることで、正しい使い方の啓発につながればよい、というものだった。そこでユーザーの実態により近い、臨床眼科の先生に意見を伺いに行った。

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川部篤史、都留由佳梨(アイセイ)
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