コピーライターの登竜門と呼ばれる「宣伝会議賞」。応募者の皆さんはグランプリを目指し、「ことば」ひとつで熱い戦いを毎年繰り広げています。
しかし、「ことば」で勝負しているのはコピーライターだけにとどまりません。各業界で「ことば」を武器に活躍している方々は、「ことば」についてどのように考えているのでしょうか。
本コラムは第59回「宣伝会議賞」の開催にあたり実施する、特別企画。「コピーライティング」という枠組みにとどまらず、「ことば」というものについて多角的な側面からアプローチします。
第1回はこちら。
ネーミング、ラジオ、作家、お笑いなど、各領域のプロの方々に「言葉」についてのご意見をリレーコラム形式で伺っていきます。
第2回のテーマは「ラジオCM」。放送作家、脚本家として活躍する藤井青銅氏がラジオにおける「ことば」を語りました。
しかし、「ことば」で勝負しているのはコピーライターだけにとどまりません。各業界で「ことば」を武器に活躍している方々は、「ことば」についてどのように考えているのでしょうか。
本コラムは第59回「宣伝会議賞」の開催にあたり実施する、特別企画。「コピーライティング」という枠組みにとどまらず、「ことば」というものについて多角的な側面からアプローチします。
第1回はこちら。
ネーミング、ラジオ、作家、お笑いなど、各領域のプロの方々に「言葉」についてのご意見をリレーコラム形式で伺っていきます。
第2回のテーマは「ラジオCM」。放送作家、脚本家として活躍する藤井青銅氏がラジオにおける「ことば」を語りました。

藤井青銅
作家・脚本家。「第一回星新一ショートショートコンテスト」に入選。以降作家兼放送作家になり、「夜のドラマハウス」 「オールナイトニッポン・スペシャル」「青春アドベンチャー」をはじめ、書いたラジオドラマは数百本にのぼる。腹話術師いっこく堂の脚本・演出を担当して 衝撃的なデビューもプロデュース。日本の国語辞書にはじめて「東洋一」の項目を載せた。
著書『ハリウッド・リメイク桃太郎』(柏書房)、『「日本の伝統」の正体』(新潮文庫)、『一千一ギガ物語』(猿江商會)など。
ラジオは「ことば」と「音」ですべてを描写する
書いておいてなんだが、大丈夫だろうか、このタイトル。ネットのセーフサーチに引っかかって《危険ワード》だと認識され、非表示にされてないだろうか?
表示されていると信じて、進める。
ショートショート出身の私がはじめて書いた放送台本は、ラジオドラマの脚本だった。
テレビドラマや映画の脚本というのは見たことがある。どんな風に書けばいいか、だいたいわかる。しかし、ラジオドラマの脚本は見たことがない。というか、ラジオドラマそのものだって、あんまり聞いたことがない。どうやって書けばいいのかわからなかった。駆け出し時代の話だ。
当時、ネットなんかない。なんとか手に入れた脚本集を見ると、ラジオドラマの脚本にはセリフ以外に、見たことがない専門用語があちこちに散りばめられていた。NA、SE、F、M ブリッジ、M コーダ、~FO、FI~BG、UP、OFF…とか、なんだか暗号文、あるいは技術書みたいでわけがわからない。
ラジオは映像がないから、【セリフとNA(ナレーション)という「ことば」のテクニック】と、【SE(効果音)とM(音楽)という「音」のテクニック】ですべてを描写する……ということなのだ。