第4回 共通点は“韻”だけ。出会ったことのない「言葉」をくっつけてみる(芸人:ジョイマン 高木晋哉 )

10月1日から応募を開始した第59回「宣伝会議賞」。応募締切まで1週間を切りました。
「宣伝会議賞」の開催を記念して開始した本コラム「『ことば』のことはプロに聞け!」では、「ことば」を武器にして活躍するプロの方々に、「ことば」のもつ力についてお聞きしています。
第4回はお笑いの分野から、ジョイマンの高木晋哉さんが登場。実は、昔から「言葉」に対してネガティブな感情をもっていたという高木さん。では、あの韻を踏んだ独特のネタはどうして生まれたのでしょうか。

高木晋哉 (たかぎ・しんや)

2003年4月にコンビ「ジョイマン」を結成。2007年より「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)に出演し、“クセになる脱力系ラップ”のキャッチコピーでブレイクするも、2014年に開催したサイン会ではお客さん0人だった。2018年7月には「チケットが完売しなければ解散」という条件付きで「ジョイマン15周年記念単独ライブ『ここにいるよ。』」を東京・ルミネtheよしもとで開催。チケットを完売させ、解散を回避した。現在もまたプチ再ブレイク中!

 

「言葉」はお笑い芸人の武器、でも僕は「言葉」を恐れていた

はじめまして。お笑い芸人をやらせていただいています、ジョイマンの高木晋哉です。「ありがとう オリゴ糖」や「ジンベイザメ 湯冷め」や「普段着 エリンギ」などの韻を踏んだ言葉を言うネタをしています。

お笑い芸人にとっての「言葉」は便利な道具であり、武器のようなものです。しかし、そんな味方とも言うべき「言葉」を、僕は昔から恐れていました。

子どもの頃から変に自意識過剰だった僕は、人の口からぽろぽろと溢れ出す大量の言葉たちに一喜一憂し、異常なほど意味深に言葉たちが心に食い込み、喜んだ直後に落ち込んだり、勝手に人より長く戸惑ったりしていました。なぜだか、誰かから発せられた言葉たちが、手渡された重い荷物のように感じてしまうのでした。

共通点は“韻”だけ。出会ったことのない「言葉」をくっつける

お笑い芸人になった理由は、そんな自分を変えたかったからに他なりません。もっと皆みたいにタフになりたい。面白い人間になりたいというより、僕は“タフガイ”になりたかったのです。この世界を飛び交う言葉たちを、もっとフランクに、指で弾き飛ばしてみたり、優しく撫でてみたり、ガリゴリと噛み砕いてみたり、何も気にせず丸飲みにしてみたかった。

今考えれば、ジョイマンのネタは、そういった「言葉」に対する愛憎の末路なのかもしれません。韻という共通点だけで、出会ったことのないような言葉同士をくっつけて「どうだ、居心地が悪いだろう」と違和感を笑っているんです。

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宣伝会議 編集部
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