景表法違反で措置命令も
結果ありきの恣意的な調査でNo.1(ナンバーワン)表示をしないでほしい――日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)が異例とも言える抗議文を1月18日付で発表した。No.1表記は商品やサービスが優れていることを示す有力な手段だが、それだけに「No.1表示」と言わんがために調査を設計しているケースが散見されるという。しかし、表示するNo.1の内容を合理的、客観的に実証できないものであれば、景品表示法にふれるおそれもある。
JMRAはマーケティングリサーチ綱領で、法令や公明正大さの遵守、不正行為の禁止、透明性の担保などをまとめ、加盟社に徹底を呼びかけている。一方、関係者は「ガイドライン上、JMRA加盟社ができない調査も可能、などといった謳い文句で営業をかける調査会社が出てきた」と話す。こうした実態に協会は「公正に実施する調査と、そういった事業者の調査が混同され、すべてのリサーチの信頼が損なわれる」と歯がゆさをにじませる。
商品やサービスの内容や取引条件について、実際より優れていることを誤認させる表示は、不当表示として景表法違反となる。公正取引委員会は「顧客満足度や実績、性能などでNo.1であれば商品の優良性を直接示すものであり、売上No.1なども優良性を示す場合がある。したがって、それが事実と異なれば不当表示として問題となる」との見解を示している。
実際にNo.1表示で措置命令が下されたケースもある。埼玉県消費生活課は2020年9月、家庭教師派遣会社ワン・ツー・ワンに措置命令を下した。
同社は、「家庭教師お客様・料金・第一志望校合格満足度3部門第1位 2019年3月全国の子どもがいる20~50代の男女から選ばれました。」と、あたかも顧客からの満足度が高いものであるかのように表示していた。しかし実際は、インターネット上で収集した家庭教師派遣事業者9者に関するイメージ調査を基にしたもので、顧客に対する調査ではなかった。
優良誤認表示にあたるかどうかは、その裏付けとなる根拠を客観的・合理的に実証できるかがより重要とされる。調査主体が第三者であれば必ずしも客観的と言えるわけではなく、実証できなければ調査主体にかかわらず問題となる。
不審なNo.1表示に対して、消費者は無言ではない。日本広告審査機構(JARO)に21年4月1日〜22年1月19日に寄せられた、No.1や日本一、最大などの最上級表示を巡る苦情は56件。メディアはインターネットのほか、テレビ、ラベル・パッケージなど、業種は買取・売買や教室・講座、医薬品・医薬部外品など多岐にわたる。消費者から「事実と異なるのではないか」という指摘もあるという。
実際に消費者がなんらかの損害を被ってからでは遅い。調査結果をはじめ、企業からの発信自体への不信感が一層高まってしまう恐れもある。日本マーケティング・リサーチ協会は「広告や広報など、関連団体ともぜひ足並みを揃えたい」とした。
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