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マーケティングが拡張する時代、広告会社の役割は変わる!? 笠松良彦氏×木村健太郎氏×音部大輔氏鼎談【前篇】 

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サラリーマンという構造上、担当者は必ず異動していく

――「パーセプションフロー・モデル」は1本でよいということですが、そうしてつくられたものは、ワンクールのキャンペーンのためのものではありません。中長期で活用ができるものなのだと思います。そこで広告会社側の立場として見解を伺いたいのですが、日本の企業は比較的、人事ローテーションが多く、マーケティング部門の担当者が2~3年で異動になるケースも多い。
組織としてマーケティング活動の連続性による蓄積も重要ではないかと思うのですが、異動に伴い、継続性が担保されないという課題の声も聞いています。
「パーセプションフロー・モデル」があれば、広告会社とクライアントとの間で担当が変わっても継続して指針とできるものになりうるのではないか、という仮説を持っています。木村さんはどうお考えになりますか。

木村:ブランドのガイドラインは、明文化されて継承されていることが多いと思います。ただ、ブランドってキャラクターというか、なかなか言葉で規定できない振る舞いのようなところで表される要素も多い。しかし、こうした振る舞いは属人的になりがちで、担当の方が変わると継承されないという課題はあるかもしれません。

その点で言うと、「パーセプションフロー・モデル」は、ユーザーとの関係性をそれぞれのエピソードごとに規定しているので、「振る舞い方の指南書」という機能があるかもしれないです。

音部:笠松さんはどうですか。担当者が異動になって、それまでの蓄積がご破算に…ということはないですか。

笠松:そうですね。本当に積み重ならないですね。広告会社側もクライアント側も同様ですが、サラリーマンという構造上、担当者は必ず異動していくという課題がありますよね。

本当はブランドのマーケティングに関わる人たちは、そんなに頻繁に異動しない方がよいと思うのですが、阿吽の呼吸ができてきたところで「すみません!異動になりました!」となる。「えー!またゼロから関係性を構築する!?」となるのは、日常茶飯事なので、もはやそれでも諦めずにやるというしかないと思っていました。

音部さんがつくった「パーセプションフロー・モデル」のような型は、暗黙知の領域を明文化できるので、異動があって関係を再構築しなければならない宿命があったとしても、その部分の仕事の効率はよくなるなと思いました。

音部:真に必要な議論に集中しやすくなりますよね。

笠松:はい。議論するベースができている状態になると思います。
※本鼎談記事は後篇に続きます。
 

【プロフィール】

イグナイト 
代表取締役社長
Executive Producer
笠松 良彦 氏

NEC、博報堂、電通、を経てイグナイトを設立。電通時代にはリクルートとの合弁会社メディアシェイカーズの代表取締役社長としてフリーマガジンR25 事業を推進。マーケティングコミュニケ―ション領域のプロデユーサー集団であるイグナイトの代表として、新規事業の推進、ブランディングから、広告コミュニケーション、販売プロモーション領域まで、全ての領域での「顧客体験のデザイン」を提案している。グローバルイベントAdvertising Week Asiaの初代事務局長~Executive Producerも務める。

 

博報堂 執行役員
博報堂ケトル 取締役/エグゼクティブ クリエイティブディレクター
木村健太郎氏

1992年に博報堂入社後、ストラテジーからクリエイティブ、デジタル、PRまで職種領域を越境したスタイルを確立し、2006年共同CEOとして博報堂ケトルを設立。マス広告を基軸としたインテグレートキャンペーンから、デジタルやアウトドアを基軸としたイノベーティブなキャンペーンまで幅広い得意技を持つ。これまで10のグランプリを含む150を超える国内外の広告賞を受賞し、カンヌライオンズチタニウム部門審査員、アドフェスト審査員長、スパイクスアジア審査員長など約30回の国際広告賞の審査員経験を持つ。海外での講演も多く、2013年から5回にわたりカンヌライオンズ公式スピーカー。ADWEEKの世界のクリエイティブ100に選ばれる。2017年から博報堂の海外ビジネスのスタッフ部門を統括する役職を兼任。博報堂インターナショナルのチーフクリエイティブオフィサーとして年間100日間程度海外を飛び回る生活をしてきた。著書に『ブレイクスルーひらめきはロジックから生まれる』(宣伝会議)がある

 

クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役
音部大輔氏

17年間の日米P&Gを経て、欧州系消費財メーカーや資生堂などで、マーケティング組織強化やビジネスの回復・伸長を、マーケティング担当副社長やCMOとして主導。2018年より独立し、現職。消費財や化粧品をはじめ、輸送機器、家電、放送局、電力、D2C、医薬品、IP、BtoBなど、国内外の多様なクライアントのマーケティング組織強化やブランド戦略を支援。博士(経営学・神戸大学)。 著書に『なぜ「戦略」で差がつくのか。』(宣伝会議)、『マーケティングプロフェッショナルの視点』(日経BP)。

 

【書籍紹介】

【好評4刷!】『The Art of Marketing マーケティングの技法-パーセプションフロー・モデル全解説』

定価:2,640円(本体2,400円+税) A5判 304ページ

2021年12月に発売された『The Art of Marketing マーケティングの技法-パーセプションフロー・モデル全解説』(音部大輔著)は、マーケティング活動の全体設計図「パーセプションフロー・モデル」の活用法を紹介した初めての書籍。
 
発売前から多くの反響をいただき、早くも4刷と販売好調です。企業のマーケティング部門だけでなく、広告会社、マーケティングサービス提供企業などで、研修教材としてもお使いいただいています。
 
ブランドマネージャーやマーケティング・宣伝担当者、またブランドのパートナーである広告会社のマーケターにとっても活動の指針となる一冊です。
「パーセプションフロー・モデル」や「ブランドホロタイプ・モデル」「クリエイティブ・ブリーフ」のダウンロード特典も好評です。
 
本書の詳細・購入はこちらから(Amazon)