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狙いたい態度変容に応じて顧客獲得フェーズの3段階を考える

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コロナ禍が長引く中、東急エージェンシーではOOH固有の価値を見つめ直しながらDXを進め、コミュニケーションプランニングへの戦略的な活かし方を模索してきた。マーケティングファネルに基づく効果的なOOHの活用方法を、取締役 常務執行役員の高坂氏に聞いた。

東急エージェンシー
取締役 常務執行役員
高坂俊之氏

ストラテジックプランナー、ソリューション部門(マーケティング・クリエイティブ・アクティベーション・デジタル)の本部長を経て、現在は同社において東急グループ関連ビジネスを担当する戦略事業本部長を務める。上智大学非常勤講師。

 

Q. OOHが強みを発揮するのは、ファネルのどの部分に対する働きかけでしょうか。

A. 狙いたい態度変容に応じた様々な最適解があります。

OOHには多種多様なカテゴリとビークルがあり、狙いたい態度変容に応じて最適解がラインアップされています。ではどのような効果を狙い、どのようにOOHを選ぶべきなのか、購買から逆算しファネルの段階ごとに見ていきます【図表】。

まずロウワーファネルについて。OOHは購買直前のひと押しに有効だと言われてきましたが、実際にどうなのか、購買動線上の移動に不可欠な車両メディアに着目します。都市型流通店舗のCMを対象にData Chemistryと行った実証研究では、「Webサイトへの来訪率」は「電車内CMのみ接触者」の方が「テレビCMのみ接触者」より1.5倍高い傾向を示しました(重複接触では1.7倍)。「店舗への来訪率」では16.7倍(重複接触では18.7倍)です。OOHは来訪を刺激する有効な手立てです。

次にミドルファネルでは、体験的に興味を喚起します。コロナ禍でもハイブランドやエンタメ企業をはじめ、屋外、特に渋谷の大型ビジョンには多くの出稿をいただいています。単に認知を追求するだけでなく、ブランドへの興味を喚起する力が期待されています。心理学的に見ると、いまや多くのメディアは「パーソナルスペースの内側」に存在します。スマートフォンやPCでのコンテンツ視聴が一般化し、そこにあるのは固定した視野角で、個が没入する世界。

一方、OOHは「パーソナルスペースの外側」に存在しています。パノラミックで、街や人々と共鳴しあう、生きた世界が拡がっています。身体感覚を伴うブランドとの“出会い”が、強く深い興味喚起へとつながるのです。さらに「アップストリーム効果」があります。これはOOHが他メディアで取りあげられたり、SNSで拡散されたりすることで、ミドルからアッパーへと遡上し、認知を補強する効果です。

最後にアッパーファネルでは、ジオ発想で認知を獲得します。場に依存するOOHはリーチに限りもありますが、ターゲットの行動をジオマーケティング発想で絞り込めば、戦略エリアでの効率的な認知メディアとなります。アクチュアルデータの取得が進み、人数×属性×時間帯×場所での運用が可能に。当社では並行してアドネットワークの整備も進めています。DXで磨いたOOHの魅力を活かし、統合的で効果的なコミュニケーションの実現へと挑戦を続けていきたいと考えています。