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インターネット広告は、なぜ嫌われる? 広告とコンテンツを寄り添った関係に

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月刊『宣伝会議』2022年7月号(6月1日発売)では「デジタル広告品質とコンテキストターゲティング」と題し特集を組みました。
ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

BI.Garage
取締役
長澤秀行氏

電通にてインターネット創成期に各新聞社のネット事業の立ち上げを支援後、IC局長を経てサイバー・コミュニケーションズ社長に就任。日本インタラクティブ広告協会常務理事を経て、2017年デジタルガレージ顧問。2020年より現職。

 

Q.「デジタル広告の品質」にかかわる領域で、もっとも注目している課題とは?

A.ユーザーのコンテンツ利用の嗜好文脈性が広告のターゲティングシステムで分離、無視されるケースがある。

インターネットメディアが社会全体に普及してきた現在でも、情報の受け手の広告への意識は変わっていません。そもそも広告とは、企業や商品情報を不特定多数の消費者に一方的に発信する行為であり、受け手に常に不快感や違和感を与えがちなリスクのともなう情報提供作業であるとも言えます。

広告の歴史はその不快感・違和感を与えるリスクをいかに低減させるかを試行錯誤してきた歴史でもあると考えられ、マスメディア広告の成立はこの広告の受容性リスクの軽減効果を多分に活用しています。それが受け入れられやすい広告クリエイティブへの努力であり広告情報を載せる良質なメディアビーグルへのメディアプランニングです。つまり、メディアコンテンツと広告は寄り添った存在であり、一次コンテンツメディアがそのコンテンツ品質のクオリティを担保するのは広告品質を担保するのと同意義なのです。

ユーザーは、なんらかのメディアコンテンツを利用する動機があってメディアに接触し、そのついでに広告にも接触する機会を得ます。メディアコンテンツ利用が目的である以上、その目的の文脈性が情報判断の起点であり、その文脈性は広告情報への判断にも影響するのです。メディアコンテンツへの動機の文脈性と広告情報の文脈性があえば、当然広告効果があり、これがコンテキストターゲティングの効果です。その前提としてメディアに対するユーザーの信頼性がコンテンツ、広告に必須となるのです。

インターネット広告が嫌われがちなのは、ユーザーのコンテンツ利用の嗜好文脈性がターゲティングシステムで分離され一般的なヒトの嗜好性文脈に置換されてしまい、メディアコンテンツへのユーザー嗜好が無視されてしまうことに起因するケースが多い。その結果としてメディアコンテンツユーザーからみれば広告の雑音感が高まるのです。

マスメディア広告に比べて、インターネット広告は、スペースの無限性が前提にあるため、0.1%以下の想定ユーザーをすくいとれれば良いという考えもありますが、あまりにも切り捨てるユーザーが多く、情報倫理性に背を向けるケースは今後、広告の信頼性、成長性に課題を残すと思います。なぜなら、ユーザーのメディア利用時間は有限であり、そのなかでより価値ある情報を得ようとする選択行為になるからです。

広告への選択動機をあらためて問い直す時がきていると思います。あえて言うと情報流の中で常に広告は嫌われ者であり、その受容性を高めるには広告単独では難しく、ユーザーからみて価値あるメディアコンテンツとの並走が必要であることは不変です。このコンテンツと広告の関係力学の活用術をいかにテクノロジーとデータを駆使して成すかが鍵であると考えています。