美しい提案なら負けても良い? コンペの「軌道修正」を阻む要因

 

このコラムでは、競合を勝ち抜くための「もう片方のスキル」と題し、コンペで安定した結果を残すためのスキルをシェアします。これまでは、コンペのお題に直接答えるための「キラースキル」もさることながら、勝つ環境を整えるための「アシストスキル」が勝敗を左右するという話をしました。第5回の今回は「軌道修正」にまつわるアシストスキルについて詳しく解説します。

【クイズ】防衛戦で負けたのはなぜ?

これは実際に私が経験したコンペの話です。企業名は伏せますが、このケースを読んで、A社が犯したミスが何だったのか、少し想像してみてください。

とある製薬会社の競合のお話。縮小が続くカテゴリ。新規顧客がどんどん減っており、製品使用者も高齢化していた。抜本的な改革が必要とのことで、コンペを実施することに。A社は既存代理店の立場であり、ライバル社に比べると、市場のこと、クライアントのことは、かなり理解している。オリエンでは、ターゲットを若返らせることと、広告表現を刷新することを告げられた。

大きな表現改革を望むクライアントの要望に答えるべく、A社は新しいスタッフをメンバーに迎え、これまでにない、新しい広告表現を提案する方針を固めた。途中、クライアントに何度か質問会を実施。8割ほど出来上がっていた戦略部分をクライアントに見せつつ「これまでと大きく変える」という提案の方向性に関して間違っていないことを何度も確認。既存代理店ではあるが、過去の資産にしがみつくことなく、攻めて勝つという作戦で本番を迎えた。ところが、結果は敗退。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 4494 / 5127 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

鈴木大輔(FACT/戦略プランナー)
鈴木大輔(FACT/戦略プランナー)

2006年ADK入社。競合プレゼンの存在すら知らなかった営業時代を経て、2010年より戦略プランナーとして大阪へ。一転して競合プレゼン三昧の3年間を過ごし、勝率5割を達成。ところが東京に戻ってからは、思うように勝てない日々が続く。業界3位の広告会社で苦しみながら戦い抜いた10年以上に及ぶ経験と、百を超える競合プレゼンで溜め込んだ知見を、競合に勝つための方法論として体系化。2023年、著書『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』を上梓。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。

鈴木大輔(FACT/戦略プランナー)

2006年ADK入社。競合プレゼンの存在すら知らなかった営業時代を経て、2010年より戦略プランナーとして大阪へ。一転して競合プレゼン三昧の3年間を過ごし、勝率5割を達成。ところが東京に戻ってからは、思うように勝てない日々が続く。業界3位の広告会社で苦しみながら戦い抜いた10年以上に及ぶ経験と、百を超える競合プレゼンで溜め込んだ知見を、競合に勝つための方法論として体系化。2023年、著書『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』を上梓。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ