日本アドバタイザーズ協会などが構成する「字幕付きCMで普及推進協議会」は8月1日、10月からすべてのテレビCM放送枠で、字幕付きCMを受け入れると発表した。聴覚障害者のほか、聞こえにくい高齢者や健聴者でも一部の指標が向上することがわかっている。
ビデオリサーチがことし3月に実施した調査では、字幕付きCMは、字幕なしと比べて、CM好意度が7.6ポイント高くなった。内容理解道は16.6ポイント増、CMの商品や企業への興味関心度は13.1ポイント増だった。企業イメージがよくなったとする人も17.6ポイント高くなった。
健聴者でも、内容理解度や話題拡散性、企業イメージが2ポイント近く高い結果となった。一方、CM好意度は6.5ポイント減、商品や企業への興味関心度は2.9ポイント減となった。耳が聞こえにくい高齢者も高緯度は8.4ポイント下がった。
字幕付きCMを流しやすくする取り組みも進める。協議会に参画する日本民間放送連盟や日本広告業協会は7月、CM素材搬入基準を改定。事前確認に必要な提出資料を簡素化した。
厚生労働省の統計では、2016年時点で身体障害者手帳所持者で聴覚障害を抱える人は、65歳未満で6万人、65歳以上で23万7000人だった(「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」)。聴覚・言語障害では16年は34万1000人で、11年から1万7000人増加した。
一方、日本補聴器工業会の統計では、2021年の補聴器の出荷台数は58万9951台で、2011年の48万8704台から10年間で10万台以上増加。潜在的に聞こえづらさを抱える人は、より多いとみられる。
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