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博報堂DYグループの「AaaS」が テレビ広告に新たな価値を生み出す

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多様化するKPI・メディアに対応 進化する「AaaS」の未来

これまで「AaaS」は、マーケティング投資のなかでも多くを占めるテレビとデジタルの統合分析の部分で、広告主の期待を集めてきた。しかし先のCTVしかり、メディアの多様化は今後も進んでいく。それゆえ、常に広告主側のニーズや生活者のメディア接触環境の変化などに合わせたサービス内容の「拡張」が欠かせない。

環境に合わせた「拡張」として、同社が進めてきたことのひとつが、広告主側の多様化するKPIへの対応だ。

例えばテレビ広告の効果測定においては、指名検索だけではなく、より事業成果に近づくサイト来訪やコンバージョンなどをKPIに設定することも可能だ。さらに貞包氏は「消費財や飲料品など、指名検索などのWeb上の行動が起きない商材については、ブランドリフトをKPIにする、といった形で、固定KPIではなく広告主ごとの出稿目的に応じてKPIを変えながら対応することが必要です。我々は、多様なKPIへの対応に向けたソリューション開発も進めています。例えば、2022年9月には購買データの活用に向けてEC事業者と連携し、KPIとなりうるデータの拡充にも取り組んでいます」と話す。

また、「AaaS」ではメディアの拡張への対応も進めている。特に広告主の関心が高いのは、CTVも含めた統合プラニングだ。

「最近、放送と通信をまたいだコンテンツの提供が増えており、実際にその視聴率が物語っているように、テレビだけでコンテンツを見る時代から、生活者が必要に応じてデバイスを使い分ける時代に変わっている。それがメディアを横断した最適なマーケティング活動につながるのであれば、私たちも対応していかなければなりません」(貞包氏)。

すでに同社ではテレビとCTV、OTT(モバイル面)を同一指標で評価し、1インプレッションあたりの価値を定量化して比較する取り組みも行っている。「1インプレッションあたりの広告効果を見た際に、CTVはテレビと同様の価値があることも見えてきました。こうした評価を繰り返しながら、広告主企業の方々の多様化するKPIにも対応し、テレビというデバイスの視聴が多様化する時代にも対応していきたい」(貞包氏)。

こうした知見を活かし、「AaaS」ではテレビとCTVのインプレッションを統合指標でモニタリングし、ターゲットごとにどれくらいリーチが獲得できているのかを比較・検証するためのソリューションを開発中だ。近く完成・提供を開始する予定で、TV AaaS Labのプロジェクトとして2023年1月中には広告主の実際のキャンペーンで試験的に導入されることになっている【図3】。

図3 TV AaaS Labで取り組むCTVソリューション開発

佐藤氏は「CTVの広告にどのような効果を期待するのか、それは広告主によって多様だと思います。ただ、一番ベーシックな指標であるインプレッションをしっかりモニタリングできる環境をまずは構築したい」と話す。

テレビCMを革新する「ゼロ日」差し替え

博報堂DYグループでは、前述の通り新たなメディアであるCTVへの取り組みやテレビCM自体の進化を進めるべく、放送局も巻き込んだ「TV AaaS Lab」を通して挑戦を始めている。もともと「AaaS」は総合広告会社だからこその放送局との強い関係性を生かし、プラニング・モニタリングだけでなくバイイングの改善まで一気通貫で担うことができる点に強みがある。

最近ではバイイングのさらにその先、広告素材の入稿の仕組みをアップデートする取り組みも進めている。具体的にはテレビCMの広告素材を差し替えるための期間の短縮を目指している。その短縮の目標は「ゼロ日」。つまり放映当日に広告素材の差し替えを行うことができる技術の推進に向けて動いている。

現状、テレビCMを放映している広告主に何らかの事情が発生した場合、あるいは自然災害などの社会問題によって用意していた素材を使えなくなった場合、その枠はACジャパンなどのCMに差し替えられることが多い。

しかしこの技術が実装されれば、広告主はTPOに合わせた内容のテレビCMを放送することが可能となる。さらには、例えば計画運休情報を伝達し外出計画の変更を呼び掛けたり、電気使用状況を伝達し節電を促したりというように、社会課題の解決につながる使い方が模索できる。すでに一部放送局はこの技術への対応を検討しているところもあるという。

「まだ課題は多いですが、それを理解した上で、技術を導入する社会的なメリットを認めてもらえたときには意義が生まれる取り組みだと考えています」(松浦氏)。

また松浦氏は「メディア環境が変化しても、テレビCMだからこそ実現しうる価値も多い。ブロードリーチや同時性、共視聴性の高さなどです。ゼロ日差し替えの技術によって、テレビの持つ価値をさらに高めまた社会課題の解決にもつながるようなことがあれば、テレビの役割に違った角度でスポットライトが当たるのではないかと考えています」と指摘する。

これまでテレビとデジタルの統合運用にあたって「Tele-Digi AaaS」を活用するときにも、テレビはデジタルと比べてバイイングや素材入稿の柔軟性が低かったため、運用の最適化を目指すうえで、とりうる手段が限られていたことは事実だ。しかし、この技術によってテレビCMもデイリーに差し替えでき、どの素材をどの枠に流した場合にリーチや指名検索が高まるかという検証も行えるため、KPIの最大化が可能となる。テレビCMを本当の意味での運用型へと進化させる可能性を持っているのだ。

社会・生活者の変化を素早くとらえ 「次世代型モデル」であり続ける

「AaaS」は今、KPIやメディアの拡張によって、日進月歩でサービスを拡充している。今後も新たなニーズ、テクノロジーの進化に合わせてアップデートを続けていく。そこでひとつのポイントとなるのは総合広告会社だからこその社内のクリエイティブ部門との連携だ。

貞包氏は、「本質的に広告の効果を最大化するためのメディアプラニングを考えた際、当然ながらクリエイティブは欠かせない要素。精緻化されたメディアプラニングにクリエイターの力を掛け合わせて広告コミュニケーション全体の設計を行うこと、また、ただ設計を行うだけでなく、出稿した結果を検証してアップデートを重ねる視点が必要。メディアプラニングを担うメンバーに、クリエイティブを担うクリエイターを加えたワンチームで『AaaS』を活用したプラニングを行っていくことで、広告主にもより高い広告効果が提供できると考えています」と話す。

佐藤氏は「社会の変化、生活者の変化、そしてメディアの変化をいち早くとらえ、放送ビジネスとのブリッジを加速させていきたい」と話す。

「TV AaaS Lab」は、9月の立ち上げ以降多くの放送局から賛同を得ており、今後は定期的なセミナーの開催を行う等、よりコミュニティとしての活動を強化していくという。日々寄せられる放送局の課題に丁寧に応えていくとともに、未来を見据え、プロアクティブに放送ビジネスの価値向上を目指す。

「AaaS」は今後も様々な方向性の拡張にチャレンジし、広告メディアの次世代型モデルを提示し続ける。



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株式会社博報堂DYメディアパートナーズ 広報室
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