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米国のAI活用 生活に浸透する事例5選

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リサーチ会社Next Move Strategy Consulting社は、世界のAI市場は2019年の956億ドルから2030年には約20倍近い1.85兆ドルまで伸びると予測している。AI需要がますます高まりつつある米企業の最新事情を、Coast to Coast Marketing Services代表の松本泰輔氏が解説する。
(本記事は月刊『宣伝会議』8月号 巻頭特集に掲載されているものです。)

Coast to Coast Marketing Services
代表
松本泰輔氏

AEとして約10年広告代理店勤務後、1995年渡米。大学院卒業後、ニューヨークの広告代理店にて通信・金融・食品会社などを担当し、2005年独立。アメリカ東海岸を拠点にマーケティング、ジャーナリズム分野にて幅広く活動。2011年、宣伝会議より『フェイスブックインパクト』を共著にて発表。月刊『宣伝会議』にて「米国広告マーケティング事情」を連載中。

AI生成ツールによるデザイン・コンテスト

コンサルティング会社Bain & Companyは2月21日、ChatGPT、DALL-E、CodexなどのAI生成ツールを開発したOpenAI社との提携を発表した。この2社の最初のクライアントとして同時に発表されたのが、コカ・コーラだ。

提携発表から1カ月後の3月20日、コカ・コーラはOpenAI社のGPT-4とDALL-Eを使って行う一般公募コンテスト「Create Real Magic」を発表した。過去の広告などで使用されたコークのロゴ・ボトル・マスコットなどすべての画像にアクセスができ、それを使ってAIで新クリエイティブをつくるコンテストだ。たとえば「コークのボトルを持って無重力空間を泳ぐ22世紀の宇宙飛行士」とインプットすると、AIがそれを忠実に再現してくれる。

特設サイトに掲載された応募作品は、懐かしいレトロ調広告から近未来風のモダンなデザインまで、幅広い仕上がりになっている。つくるのは機械(AI)だが、指示する人間がヒューマンエレメンツ(人的要素)を吹き込むことで、温かみのあるクリエイティブになっている。

3月末締め切りの最終審査に残った30人のアーティストは、この夏コカ・コーラ本社で行われる「Real Magic Creative Academy」に招待され、そこで最優秀作品と優勝者が発表される。

コカ・コーラ社クリエイティブ戦略&統合コンテンツの総責任者、プラティク・サカー氏は「Create Real Magicは、GPT-4やDALL-E が与えられた特別な環境のなかで、デジタル・アーティストたちが遊び、ブランドアイコンと最高級の広告資産を共存させるユニークな機会です」と述べている。

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「レトロ」と「モダン」が交錯するコカ・コーラのコンテスト作品「Create Real Magic」(画像はWebサイトより)。AIがつくったものとはいえ、新しいようで、どこか懐かしい感じのする人間味のあるデザインに仕上がっている。

AIケチャップ・キャンペーンが世界中でバズる

ハインツは2021年「ハインツ」の名前を出さずにケチャップの絵を描いてもらうキャンペーンを世界各国で行った。その結果、ほぼ全員が“HEINZ”とボトルに描いたため「ケチャップといえばハインツ」と印象づけるものになった。

そして昨夏続編を企画し、AI画像生成ツールの最新バージョンDALL-E 2に同じタスクを与えた。“ケチャップボトル”“トマトケチャップ”“ケチャップ・ストリートアート”などランダムにテキストを入力すると、AIが描いた絵は人間同様にすべてハインツだった。

そこでAIが描いた絵を北米各地の屋外や媒体に掲載する「AIケチャップ・キャンペーン」を開催。さらにSNSで「AI に描いてもらいたいケチャップ」のアイデアを募集し実行すると、世界中へバズが広がった。

アート、ライフスタイル、ITなどから一般誌まで多彩な雑誌に取り上げられたのをはじめ、ネットでは画像が11.5億回表示され、自社比較でエンゲージメント率38%増という成功を収めた。

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AIでつくったケチャップボトルを屋外や雑誌に掲載したハインツの「AIケチャップ・キャンペーン」。いろんなケチャップ関連ワードをAIに入力しても、すべてハインツのボトルになるという興味深い結果をそのままキャンペーンにした。

AIによる“ヴァーチャル・アシスタント”が好評

AIによるキャンペーンは、コンピューターがつくり出す文章や画像だけにとどまらない。月刊『宣伝会議』7月号の連載『米国広告マーケティング事情』で既報の通り、AIは消費者の趣味・趣向・家族構成など個人情報をさらに深く掘り下げ、瞬時に情報提供できるパーソナライゼーション(個別対応)を可能にし、それがトレンドになりつつある。

化粧品メーカーのセフォラは2013年からChatbotによるAIを導入。現在ではアプリからの質問に“AIヴァーチャル・アシスタント”が答え、商品選択に的確なアドバイスを提供する。膨大な商品セレクションから、時にはクイズ形式で選択を絞ってもらい、最適な商品へ導くよう設計されている。

顧客の購買履歴はもちろん、趣味や動向など多くの情報を蓄積し、商品推薦だけでなくワークショップや無料クラスへの参加の呼びかけなど、広範囲にわたるマーケティング活動をAIで展開している。

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AIによる素肌診断やヴァーチャル・アシスタントによる商品選びができるセフォラのアプリ。化粧品メーカーのなかでもいち早くAIを導入したアーリー・アダプターとして知られている。

…この続きは月刊『宣伝会議』8月号で読むことができます。

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『宣伝会議』8月号(6月30日発売)

画像 表紙 『宣伝会議』2023年8月号


特集
生成AIと広告・マーケティング

〇生成AI業界の激震
OpenAIの躍進でGoogle・Amazonが追走へ
岩元直久

〇私はこう考える!生成AI、マーケティングへの影響
・電通デジタル 山本 覚
・博報堂DYホールディングス 安藤元博
博報堂テクノロジーズ 福世 誠
・サイバーエージェント 毛利真崇
・ビデオリサーチ 藤森省吾
・ADKマーケティング・ソリューションズ 竹下伸哉

〇2度の「冬の時代」を経て
人手至上主義からデータ至上主義へ
山根宏彰

〇企業・自治体コミュニケーションにおける活用事例
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〇「開発」「利用」の2段階で考える
知っておきたい、法律問題の基本
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マーケター・クリエイターのChatGPT活用術
〇マーケティングの未来を拓くChatGPT
次世代のアイデアプロセスとは
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ChatGPTを使ったユーザーリサーチ術
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電通グループクリエイターのChatGPT活用術
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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

〇リアルだからこその価値を最大化!
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金田実里/明円卓