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転職の際には「コレをやった」と納得してから次のステップへ 「広報の仕事とキャリア」リレー連載 真鍋順子(フェズ)

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真鍋 順子
フェズ 広報部長

広報、マーケティングなどコミュニケーションビジネスの世界には多様な「専門の仕事」があります。人事異動も多い日本企業の場合、専門職としてのキャリアを積もうとした場合、自分なりのキャリアプランも必要とされます。現在、企業のなかで広報職として活躍する人たちは、どのように自分のキャリアプランを考えてきたのでしょうか。

横のつながりも多い広報の世界。本コラムではリレー形式で、「広報の仕事とキャリア」をテーマにバトンをつないでいただきます。第1回は真鍋順子さんが登場します。

Q1:真鍋さんの現在の仕事の内容とは?

リテールメディア事業を手掛けるスタートアップのフェズで広報をしています。事業広報・社内広報・採用広報等、全て守備範囲ですが、社長直轄の部門である利点を活かし会社の状況を見極めながら強弱を付けフレキシブルに活動しています。

昨秋に入社後、まず経営課題をヒアリングし、それらを解決していくための中期的な広報計画を立てました。Mission・Visionの浸透や今後の事業展開を見据え、第1Phase(ベース固め)としてコーポレートサイトや会社案内のフルリニューアル、情報収集や発信体制の整備等を行い、現在は第2Phase(仕込み期間)です。

週次の全社朝会運営やコーポレートブログの記事発信、プレスリリース対応といった日常業務をまわしながら、中期の取り組みを同時に進めているため、メンバーと分担しつつ推進しています。

 

Q2:これまでの職歴は?

証券会社で営業を経験した後、留学しマーケティングを学びました。帰国後、金融×マーケティングという軸でIR支援会社に入り、IT・食品・不動産・総合商社など様々な企業のIRコンサルティングを担当しました。ちょうど2005年前後で多くのITベンチャーがIPOをするタイミングだったこともあり、日本を本気で変えようという志あるユニークな企業や起業家の方々に出会い、たくさんの刺激を受けました。

コンサルから事業会社に移って、IT企業で約12年間、広報・IR業務を主幹。2社のIPOにも携わりました。特にリブセンスでは、創業社長が若く史上最年少上場だったこともあり、広報としてもIRとしても稀有で貴重な経験をたくさん積むことができました。その後、製造小売企業の広報を経て、現在に至ります。

 

Q3:転職や社内異動などに際して、強く意識したこととは?

私の場合、証券営業→IRコンサル→IR→広報という流れで、自分の強みや知見をベースに必要なスキルや経験が得られる領域へピボットする形でキャリアを重ねてきました。

例えば、営業をする中でマーケティングに興味がわき勉強した結果、両方が活かせるIRへ。IRをする中で、より多くの投資家に会社を知ってもらうために広報へ。コンサルと事業会社、BtoBとBtoC、大企業とスタートアップ。様々な環境に身を置くことで、対比させたり共通点を見出したりしながら思考できるようになったのは良かったと思います。

転職の際には、コレをやったと納得してから次のステップに進むこと、社会課題の解決や人々の生活/心を豊かにする事業を手掛けている会社であること、良い時も悪い時も真摯に社会と向き合える経営者であること等を大切に、タイミングの見極めや会社選びをするようにしています。

 

Q4:国内において広報としてのキャリア形成で悩みとなることは何

企業によって異なるとは思いますが、「広報」という仕事がメディアリレーション(パブリシティ)に限定されがちな点、また「PR」をプロモーションと誤認されがちな点ではないでしょうか。

もちろん、広報は社内で唯一メディアリレーション構築を任されている部門であり、パーセプション形成や行動変容に繋げていくためにパブリシティはとても重要です。また、マーケティング部門内に広報機能がある場合は、特に売上に直結する取り組みが求められるでしょう。しかし、それは広報業務の一部だと私は考えています。

日本広報学会が今年6月に発表した広報の定義では、広報とは「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。」とされています。

また、私が広報の専門職大学院である社会情報大学院大学(現 社会構想大学院大学)で執筆した修士論文「スタートアップ・ベンチャー企業を成功に導く広報戦略」(2019年)において、成功企業の共通点として「広報活動が経営戦略と一体化していること」がありました。

広報という仕事は、組織(ヒト)、事業(モノ)、資金(カネ)に関する様々な経営課題をコミュニケーション活動によって解決し、企業が掲げるMission(Purpose)を実現していくためにあります。そう考えると、広報としてのキャリアの幅は幅広く、奥深く、とても追求し甲斐のあるものだと思います。

先輩方の広報キャリアを拝見していると、企業内で他領域も経験され役員になられていらっしゃるか、異業種へ移り第一線で活躍されていらっしゃるか、PR会社をされていらっしゃるかが多いようです。コロナ禍を経て、働き方がより自由になる中、幅広い広報業務において特に自分の強みとなる領域(コア)を磨いておくことで、さらに選択肢が広がってくるかもしれない、と感じています。

 

Q5:広報職の経験を活かして、今後チャレンジしたいことは?

まずは、現職のフェズがMissionを実現できるようベストを尽くすことです。

十数年余り「広報IR活動を通じて、日本のスタートアップ・ベンチャー企業の成長・発展に貢献する」ことをテーマに仕事をしてきました。しかし、経験年数が長くなってくると、どうしても過去の成功体験をベースに判断してしまったり、新たな視点に気付きにくくなったりしがちです。事業環境が変わっているのだから、過去に得た知識やノウハウは常にアップデートしていく必要があります。

日本を本気で変えようという志ある企業の成長・発展に貢献する立場でい続けるために、自分自身も成長し続ける。今後、自分のコアをベースにピボットする時期がくるかもしれませんが、一生チャレンジャーでい続けることが、今後チャレンジしたいことかもしれません。

【次回のコラムの担当は?】

フェズの真鍋さんが紹介するのは、Sansan 社長室 室長 兼 神山まるごと高専設立支援室 室長 小池亮介さん です。

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