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デジタル化の次はグローバル化 講談社、組織改編の狙いとは?

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広告市場においてはインターネット広告が今も成長を続けている。その一方で、近年はマスメディア企業のDXの強化、それに伴う新たな広告商品の開発が進んでいる。大手マスメディア企業の広告営業の戦略とは?6月1日に大幅な組織改編を行った講談社のケースについて紹介する。

※本記事は月刊『宣伝会議』2023年8月号に掲載の「メディア企業に聞く広告営業戦略」記事を転載したものです。

講談社では6月1日付で組織改編を行った。編集サイドである6事業局が事業本部という名称で4事業本部に編成。第一事業本部は男性系メディア及び文芸・学芸、第二事業本部は女性系メディア及びグラビア誌、第三事業本部は少年コミック及び幼児・児童書、第四事業本部は青年及び女性コミック担当となっている。

今回の編成の理由について同社・取締役の松本智氏は「2015年に野間省伸社長が、『出版の再発明』を宣言。この方針の推進により、講談社は出版界におけるデジタル化でリードポジションを取ることができた。その後、2021年にはグローバル展開を意識し、新たに『Inspire Impossible Stories』の企業理念を発表し、ロゴも一新。多くのコンテンツを有機的に生み出し、かつそのコンテンツを世界中に展開する戦略が表明された。今回の組織改編もこの戦略の延長戦上にあり、グローバル戦略に対応するため、コンテンツを制作する上で親和性が高い部署を同じ本部にする再編成を行った」と説明する。

松本氏自身はライツ事業と広告をはじめとするメディアビジネス事業を兼務する立場にあるが昨今、コミック・アニメに関するIPの問い合わせが増えていると言う。ただ、ここで単なるキャラクターのライセンス供与にとどまらない提案をしていきたいと考えているのだという。「『Inspire Impossible Stories』という企業理念にStoriesという言葉を用いているように、大切なのはそのIPの背後にある物語。作品が持つ物語とクライアント企業のブランドの物語を有機的に結びつけられると、読者にとっても魅力的なコンテンツを提供しえるのではないかと考えている」と松本氏。さらに「メディアビジネスの提案においても、当社の広告営業の強みはメディアの力に加えて、ストーリー展開力を持った提案ができること」と続ける。

昨今、出版社の提案はカスタマイズ化が進むが、より多くのクライアントが講談社の資源を活用しやすいよう、近年はソリューションのパッケージ化を推進。同社の佐藤栄氏は「広告配信プラットフォームの『OTAKAD』、読者コミュニティを活用し、企業の課題解決に挑む『講談社メディア・コミュニティ・ラボ(MCL)』、コンテンツ提供型コンサルティングサービス『KiisS』の3つを展開している。これらのソリューションも使いながら、広告領域を超えたクライアント企業の様々な課題を解決していきたい」と語る。

今後の展望について松本氏は「作家が持つ才能を見つけ、磨き上げるのが出版社の編集者の仕事だが、この力はクライアントに対しても発揮できるもの。クライアント企業のなかにある魅力的な物語を見つける支援ができれば」と語った。

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 松本 智氏

講談社
取締役(ライツ・メディアビジネス局担当)
松本 智氏

佐藤 栄氏

講談社
ライツ・メディアビジネス局 局次長 兼 メディアビジネス部 部長
佐藤 栄氏