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脱なんとなくYouTube・SNS運用! ビズメイツが実践するデータに基づくオンラインコミュニケーション SIMC2023レポート

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SIMC(シンク)は、広告・マーケティング界の未来の姿を構想し、明日からの実務に活きるノウハウを提供する、宣伝会議主催のオンラインイベント「SIMC」。6月に開催されたいま注目のテーマを網羅したプログラムに、最前線で活躍する多数のマーケターが登壇した本イベントから注目セッションをレポートします。

ビジネス特化型オンライン英会話として成長を遂げるBizmates(ビズメイツ)。新規会員獲得に際してYouTubeやSNSなどを積極的に活用してきた同社のデジタルマーケティング戦略についてビズメイツ ランゲージソリューション事業部 マーケティンググループ マネージャーの西川貴規氏が解説します。

ビズメイツはなぜYouTube、SNS運用に注力するのか?


SIMC Bizmates(ビズメイツ)の解説のスクリーンショット

皆さんはSNSやYouTubeを何のために運営し、何を指標に運営していますか。月額運営コストと見合っていますか。また、商品・サービスの拡大に貢献していますか。それぞれにお考えがあると思いますが、今回はこれらの点について当社のやり方を紹介したいと思います。

まずは、なぜビズメイツがSNS・YouTube・Blogに注力しはじめたのか。オンライン英会話業界は検索広告、リスティング広告やアフィリエイトの市場が熾烈になっています。中でもリスティング広告は、コロナ禍で巣篭もりになったときにキーワードボリュームが伸びる一方で、同じキーワードで入札する会社もかなり多く、CPCが年々高くなっています。

これは当社に限らず、単一商品を扱っているとひとつのキーワードで戦わないといけなくなり、入札金額を上げていくとCPCも上がって見合わなくなっていく…ということが起こっているのではないかと思います。

当社の基本的なアプローチとは、ダイレクトレスポンス型のマーケティング施策がメインです。しかし、それだけではコンバージョンの伸び率が鈍化していて、CPAが高すぎて割に合わない状況になっていました。

そこで、いかに潜在層にアプローチし、顕在化したときにビズメイツに興味を持っている状態のユーザーを作っていくかに取り組むべきだと考えました。資本が大きければテレビCMなどに予算をかけてリーチを取ることも可能ですが、当社では難しい。限られた予算の中でアプローチすることを考えたときに、オウンドの広告の活用を考えました。


SIMC Bizmates(ビズメイツ)の解説のスクリーンショット

私が入社した2020年、ツイッター、ブログは前任がいなくなって更新が止まっていた状況でした。YouTubeは10年近く運用していたので登録者数も2万人くらいとボリュームはありました。ただ、その内容は既存ユーザー向けにはいい学習コンテンツになっていたものの、新規の人にリーチを取ることはできていませんでした。


SIMC Bizmates(ビズメイツ)の解説のスクリーンショット

私はまず、どのようなKPIを持って取り組むかを決めることから始めました。いかにCPAを抑えつつ、コンバージョンを拡大するかを重視していたので、オウンドメディアの活用も考える必要がありました。社内的な使命としてもCPA改善は目指すべきものと考えられていました。

そこで、まずは最もCPA効率が悪いキャンペーンの運用改善から考えました。ディスプレイの非リタゲよりもオウンドメディアで、よりコンバージョンを高めることを目指して運用を開始。ただ、始めた当初はオウンドメディア経由でどの程度、コンバージョンが獲得できれば適切なCPAと言えるのか肌感がわかりません。


SIMC Bizmates(ビズメイツ)の解説のスクリーンショット

運用は拡大期と獲得期に分けて考える

そこで最初はフェーズを二つに分けて運用を進めました。


SIMC Bizmates(ビズメイツ)の解説のスクリーンショット

ひとつ目のフェーズが拡大期です。簡単に説明すると「見られる状況を作る」ことです。YouTubeだとどれくらいの再生数がコンバージョンにつながるのかという、運用していく上での肌感をつかんでいきたいと考え、そのための指標を作りました。

ひとつ目はターゲット設定。2つ目にコンテンツ制作の方向性を決めました。3つ目はそこに対してどれだけコストをかけるのか、4つ目が計測方法。5つ目にコンバージョンに寄与する数値の検証です。6つ目にコンバージョンに必要なKPIの数値の検証。7つ目はKPIの数値拡大に注力です。これが拡大期になります。

フェーズ2の獲得期は、ある程度月額コストがCPAに見合ってきたときに、そこからどうすれば獲得につなげていけるのかを考える時期です。こちらにもいくつか指標を設けています。まずは月額コストがCPAと見合うかどうか。2つ目が初期設定のKPIが正しいかどうかの確認。3つ目に見られるコンテンツと獲得できるコンテンツの検証。4つ目は獲得誘導の精度を上げる。5つ目、コスト投下額の見直し。6つ目はちゃんとボリュームを取ること。上を見ながらどこを治すのかということを求められるフェーズになっています。

着実に成果を残し始めるビズメイツのYouTube、SNS

実際に当社がどう変えて、どのフェーズになっているのか。まず、X(Twitter)。ターゲットは、現在、英語を学習している人に向けて、最低毎日1投稿以上の役立つコンテンツを投稿すると決めて配信しています。

YouTubeは新チャンネルを立ち上げました。元々のチャンネルは反応しないユーザーも多くなっていましたし、既存ユーザー向けに作っていたコンテンツとカニバって、どこ向けなのか判断つかなくなる懸念があったので、新規向けは独立して新しいチャンネルを運用することにしました。

ブログは大きくユーザー特性を「潜在層」と「検討層」の二つに分けて記事制作を開始しました。潜在層は、おそらく仕事で英語を使っているだろうという人を想定しました。検討層は「英語学習方法」や「オンライン英会話 使い方」、のようなワードで検索する層と設定し、制作を始めました。今は月に10から20本を毎月記事アップしています。

コストに関しては、数十万円くらいで月10本、3日に1回くらい投稿するイメージで始めています。

最初は月間の登録者数と、そのうち何人くらいコンバージョンするかを見ていましたが、それだと最初は登録者数が増えなかったこともあり、相関関係が見えませんでした。そこで月間の視聴回数をKPIにして、4000回再生すると1コンバージョンくらいという感覚値がわかりました。それを目安に、だいたい10万回程度再生されると割りが合うのではないかとわかったので、そこを初期のKPIとして運用を始めています。


SIMC Bizmates(ビズメイツ)の解説のスクリーンショット


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SNSやYouTubeの運用では計測方法が課題になります。なぜ課題になるのか、ポイントは二点あります。ひとつはコンバージョン計測タグを設定できないこと。もうひとつはプロフィールのリンクからしか計測できないことです。これらの数値だけで計測し、CPAを合わせていくのはかなり難しいことです。

そこで活用したのは、会員登録時のアンケートです。そのメリットは各媒体で、統一手法で計測できること。デメリットとしては、ユーザーが正確に答えてくれないこと。当社では精度を上げるために、通常計測とアンケートを照らし合わせています。


SIMC Bizmates(ビズメイツ)の解説のスクリーンショット


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実際の3媒体の運用状況について。X(Twitter)はまだKPIを拡大する作業をしています。KPIは月間のインプ量。月額コストに10万円強をかけていてCPA目標は達成しているところです。獲得が伸びたのはインフルエンサーを活用して、キャンペーン告知投稿をリツイートしてもらいました。


SIMC Bizmates(ビズメイツ)の解説のスクリーンショット

YouTubeもまだ拡大フェーズです。KPIは月間view。現状は月数万回、伸びた月で10万を少し超える感じです。コンバージョンはここ2〜3カ月で CPAに見合うところまで来ました。伸びたきっかけは、英語関係のインフルエンサーの方々に当社のYouTubeチャンネルに出演してもらい視聴回数を伸ばすことができました。


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ブログは第2フェーズに入っています。初期のKPIはセッションベースで何セッション取れば何人取れるかを目安にしていました。セッション数だけでいうと数十万セッションを取れている状況ですが、コンバージョンレートがかなり低いのでKPIの見直しを行ないました。今はCVR(GA)のレートをいかに上げるかに移っています。初めてコストに見合ったのは1年以上経ってからで、時間はかかりましたがフェーズが変わってきています。


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当社が大事にしたポイントのひとつ目は、目標のCPAを設定すること、二つ目は、月額コストを考えて目標CPAを達成するにはCVを何件、取らないといけないのか、またそのKPIとして視聴数などはどれくらいの数を獲得しなければいけないのかを決めたことです。

それらに付随して、計測方法も統一してちゃんと取れる形式を考えることも大事。最後がフェーズごとにどの項目を見るのか。フェーズ1ではKPIだけにフォーカスしました。フェーズ2では獲得数に注力しました。もし、フェーズ1のKPIを伸ばしてもコンバージョンに繋がらないのであれば別の指標を見ることも大事なポイントになると思います。

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ビズメイツ
ランゲージソリューション事業部
マーケティンググループ マネージャー
西川貴規氏