メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

平塚元明×野添剛士「戦略とクリエイティブは、より一体化していく」―手書きの戦略論 特別講座より

share

書籍『手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略』(磯部光毅著)の7刷を記念し、マーケティングプランナー平塚元明氏とSIXクリエイティブディレクターの野添剛士氏の対談をお届けする。現場で戦略プランナーとクリエイターはどうタッグを組んでいるのか。戦略とクリエイティブの距離が近づく先に、どのような役割や働き方が生まれているのか。2人の対話からヒントを探る。
(本記事は2020年収録に収録した『手書きの戦略論 特別講座』を一部テキスト化したものです)
 
「手書きの戦略論 特別講座」について

2016年の発売以来、広告主、広告会社双方から好評を博す書籍『手書きの戦略論』を、2020年代に内容をアップデートしてお届けする特別講座。著者である故・磯部光毅氏と交流のあった9名のマーケター、プランナー、クリエイティブディレクターが集結し、書籍の構成に沿って講義を行うオンデマンド方式です(詳細はこちら)。

 

左から平塚元明氏、SIX野添剛士氏。「手書きの戦略論 特別講座」より。

戦略プランニングの現場では日々何が起きているのか?

平塚:野添さんは、磯部さん(『手書きの戦略論』著者。戦略プランナー)と仕事でも組むことが多かったんですよね?

野添:はい。僕は普段はクリエイティブディレクターという立場で仕事をしていて、戦略プランナーの方と組むことが多いんです。磯部さんとも、複数のブランドで長期的なクリエイティブ戦略を立てていく仕事でご一緒していました。

平塚:『手書きの戦略論』は、コミュニケーション戦略を7つに整理してそれぞれの歴史やプランニング方法を解説する本ですが、野添さん自身は、どう読みましたか?

野添:実際の仕事では、この7つのどれか1つだけで戦略が成立することはないんです。何かと何かを組み合わせたり、ただ組み合わせるだけではなく新たな問いを立てたり、新しい技をつくったり…。現場って、そういう闘いをずっとしているんですね。

本の中にP&G「Like A Girl」の事例がありますが、つくる立場から考えてみると、この事例はソーシャルプランニングだけで作られているわけではなく、時代も的確に捉えているし、人のインサイトも掘っているのでアカウントプランニング的な側面もある。7つでは収まらないいくつもの側面が重なり合って、そこにひらめきみたいなものが加わって表現が生まれています。

P&G「Like A Girl」。生理用品のキャンペーン。「Like A Girl(女の子のように)」という言葉は、本来ぶりっこや弱さを示すのではないとメッセージを打ち出し話題に。

今日、このブランドにしかできない技を見つける

平塚:『手書きの戦略論』が出た2016年に、野添さんと磯部さんが対談した記事がありましたね。その中で、「戦略プランニングとは7つの型を組み合わせて戦う『総合格闘技』だ」という話をしていました。

関連記事
磯部光毅×野添剛士「戦略の『型』を知っているから、プランニングが自由になる」

野添:僕自身は戦略プランナーではありませんが、20年近くも戦略プランナーの人と仕事をしてきて、何百回と打ち合わせをしているうちに、身についてきたものがあって。あ、いまこの型の話をしているな、今度はこっちの型の話だなと、互いにわかりながら話せて、でもそれだけじゃ足りないという意識も両方にあって。だから、色んな型をわかりながら、今日、このブランドにしかできない技を見つけることを互いに目指しているんだと思います。

平塚:同じ状況を見ていても、型によって見立てが違ってくるということもありますよね。磯部さんと組んでいた時には、磯部さんの方からそういう色んな見立てを投げてくる感じだったんですか?

野添:必ずしも一方通行ではなくて、クリエイティブとしてこれがうまく行きそうだ、という勘が先に走るときもあります。戦略プランニングには、「入り口の見立て」「真ん中の戦略」「そこから出てくるアウトプット」という大まかに3つのフェーズがありますが、この入り口をどう見つけて行くかは、ある種の勘を働かせるところでもあって。「パスとシュート」とよく言っていましたが、勘と戦略がバチっとハマるといいシュートが生まれる。こんなパスがきたら、こんなシュートが打てる、とお互い想定しながらやっていた気がします。

平塚:打ち合わせ自体が、いろんなパスを出して打ってみるって感じなんですね?

野添:そうそう、そんな感じです。

次ページ 「基本的な戦略や過去事例を知っておくと、プランニングのスピードが上がる」へ続く