空き家のオーナーと借主のマッチングを図る
日本パブリックリレーションズ協会は12月13日、時事通信ホール(東銀座)で「PRアワードグランプリ」表彰式を実施した。審査団の満場一致で最優秀賞に輝いたのはOn-Co(三重県桑名市)の「非流通空き家を借り手の想いで動かす『さかさま不動産』~逆転の発想で挑戦を応援するまちづくりへ~」。空き家を借りたいユーザーの情報を掲載するウェブサービスで、オーナー側が信頼できる貸し先を選べる。2020年6月に開始してから24件成約。290のメディアに露出するなどPRも注力している。当日は17件の受賞作品の発表や上位入賞者のプレゼンテーションが行われた。
On-Coのプレゼンでは、代表取締役の水谷岳史氏と福田ミキ取締役がプロジェクトの背景を解説。2011年から古民家シェアハウスの運営など空き家を活用してきた同社は、信頼できる人に限定して物件を貸したいオーナーのニーズを把握しており、物件情報ではなく借りたい人の使途が並ぶウェブサイトを考案したという。少子高齢化や人口減少で増え続けている空き家の課題解決のほか、若者の新事業を応援したいという狙いもある。
PR戦略も力を入れ、借主の若年層向けにSNSを利用したほか、シニア層が多い貸主のために自治会の回覧板なども活用した。「マッチングには地域の風土や課題を理解した人とのネットワークが必要」(水谷氏)とし、全国12ヵ所で支局も設立した。
今回のアワードには96件がエントリーした。新型コロナの流行で2020年以降は入場制限やオンラインとのハイブリッド開催を実施していたため、従来通りの開催は4年ぶり。来場者数はコロナ禍前の2019年並みで、受賞者と一般参加者を含め156人が参加した。表彰式ではグランプリ1件、ゴールド2件、シルバー6件、、ブロンズ7件、奨励賞1件の計17件が表彰された。
閉会式で日本パブリックリレーションズ協会顕彰委員会の鈴木勇夫委員長は「『さかさま不動産』の受賞など、人流増への抵抗感がなくなってきたと感じるアワードだった」と振り返った。
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