「待ちのスタンス」から「攻めのスタンス」に転換
全国で手芸専門店を展開する藤久は、他社店舗での売り場展開やワークショップ提案を行うBtoB事業に本格参入した。7月に「外商部」を発足し、新規取引先への提案活動を強化。単独ではアプローチできない新規客層の開拓や売上増強を図る。ホームセンターを展開するDCMと新たに協業し、12月14日には西岡店(札幌市)にショップインショップをオープン。約33平方メートルの広さで、手芸初心者の利用に期待している。ワークショップは住宅メーカーなどから引き合いがあり、週末2日間で100人規模の集客を実現したケースも。 取引先企業を通じて商圏を広げる狙いもある。将来的には、BtoB事業を経営の柱に成長させたい考えで、売上構成比10~15%を目標に掲げる。
これまでもスーパーや介護施設などに手芸用品の卸販売を行ってきたが、外商部の設置後はより多くの業種との連携を推進しているほか、集客目的のワークショップの提案を開始。協業先に自社店舗で培った販売ノウハウも提供しており、ショップインショップでは、見本作品の提案、在庫コントロール、売り場のカスタマイズなども行う。同社オリジナル商品の提供で他社との差別化を図る。
全国展開している手芸専門店「クラフトハートトーカイ」は、手芸用品の販売や手芸教室の開催などを行い、高齢者や女性の利用客が多い。一方、新型コロナの流行で教室利用が減少したほか、少子高齢化や人口減少などで若年層の新規獲得が滞っている。経営効率化のため、店舗の統廃合も進めており、店舗数はピーク時の約500店から318店(2023年6月時点)に減少した。
状況を打破するためには、自社店舗の利用を促す従来の「待ちのスタンス」から、様々な業態との連携を深める「攻めのスタンス」に転換する必要があると考え、BtoB事業の強化を決断した。同社は「幅広い業種の企業に販売ノウハウを提案できれば。商品販売だけでなく、ワークショップなど『コト消費』も提案して手芸文化を伝えていきたい」と意気込みを見せた。
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