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九州圏内を回り6年で 80自治体の特集を放映 九州朝日放送の新規事業「ふるさとWish」とは?

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広告市場においてはインターネット広告が今も成長を続けている。その一方で、近年はマスメディア企業のDXの強化、それに伴う新たな広告商品の開発が進んでいる。そんな環境における、大手マスメディア企業の広告営業の戦略とは?テレビ、ラジオを傘下に抱えるKBC 九州朝日放送の取り組み聞く。
本記事は月刊『宣伝会議』2024年4月号に掲載の「メディア企業に聞く広告営業戦略」記事を転載したものです。

KBC九州朝日放送は傘下にテレビとラジオそれぞれの放送事業を抱えている。そのうちKBCテレビはテレビ朝日系列の基幹局として、福岡・九州・山口・沖縄の各エリアへ向けてブロックネット番組を放送。KBCラジオは、ニッポン放送や文化放送と同じNRN系列として地域に向けた番組を数多く制作している。

同社の取締役で地域プロデュース本部担当の大迫順平氏は現在の広告営業の動向として、「基本的にはテレビ広告ビジネスはダウントレンドで、デジタル広告に予算がシフトしていく流れがあったが、その一方でテレビ広告の価値の見直しが起きていると感じている」と述べる。加えて「市場全体の動向はあるが、当社においては、特定の番組を提供するタイムCMの広告売上は前年を上回った。しかし、かつてのようにテレビ広告の市場が大きく成長していくわけではないことを理解し、新規事業に取り組んでいる」と話す。

そうした新規事業のひとつを、大迫氏が率いる地域プロデュース本部が担っている。具体的には2019年から地域共創プロジェクト「ふるさとWish」という事業を立ち上げ、活動している。

同プロジェクトは、県や市といった自治体を特定の1週間、KBCのテレビ・ラジオ、WEB、SNS等を活用して「点ではなく面」で集中的に特集を組むというもの。KBCグループ各社が一体となり、各自治体の課題解決のための支援を行っている形だ。「ふるさとWishプロジェクトは地域の活性化を目的としている。対象地域にこちらから出向いて自ら情報を聞いて地域に寄り添うことで、これまでとは違う関係値を自治体や地域の企業と築いていく」。

プロジェクトを開始してから今年で6年目。すでに福岡60、佐賀20計80の自治体を回って取材を行い、各地域の番組取材はすでに、2巡、3巡しているという。

「1巡目は関係構築のため、番組取材は無料としていた。現在はこれらの取材を通して得た自治体との関係値をもとに営業して、メディアの価値を最大限に活かした取り組みを提案している。そしてコンテンツ制作費として新たなマネタイズ手段として確立させつつある」と述べる。

加えてプロジェクトの強みはネットワークだと考える、大迫氏。「KBCをハブとした様々なネットワークを築くことができた。これらのネットワーク自体の価値を高め、地域創生に注力する企業とコラボしていきたい」と話す。さらに「KBCに頼めばより多くの人にリーチができると、頼られる存在になりつつある。さらに強化していきたい」と今後の展望を語った。

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KBCグループホールディングス 取締役
KBC九州朝日放送 取締役
大迫 順平 氏

1994年、九州朝日放送に入社。報道部記者、ソウル特派員、ニュース番組編集長、情報番組「アサデス。KBC」プロデューサーを経て、2017年に社長室長、2019年に地域共創ゼネラルプロデューサーとして、地域共創プロジェクト「ふるさとWish」を立ち上げる。2021年、同社取締役就任。現在は地域共創・経営企画・労務人事を担当。