アース製薬は3日、マーケティング素材を脳波や視線計測などを用いて科学的に評価する新しいマーケティングリサーチ手法及び評価装置で特許を取得したことを発表した。登録日は2月22日。

アース製薬では2017年からニューロマーケティングの活用を検討し、商品開発などを行ってきた。今回の特許においては、これまでの単一の指標を活用した評価ではなく、複数の指標から複数のデータを取得し、集約・統合することで多面的にマーケティング素材を評価できるようになったことが特徴。具体的には、脳波や視線などから得られる棚視認性や感情度などの心理生理学的指標を複数組み合わせ、「視認」「好感」「伝達」の3つの側面からパッケージを多角的に評価する。

同特許は、大阪大学大学院 人間科学研究科の入戸野宏教授のアドバイスのもと確立した。

入戸野教授は「本特許は、私が長年提唱してきた心理生理学的アプローチに基づいてシステム化されたマーケティング素材の新しい評価方法。従来のように、アンケート調査や行動反応、脳活動といった特定のデータに偏ることなく、多角的に消費者の本音に迫れるという長所があります。今回提案した方法は、多面的な人間の心を多面的なまま理解するという方針に基づいており、モノがあふれる現代においてインサイトを得るのにたいへん有意義であると考えています」とコメントしている。

同特許の評価方法は、2023年に発売した入浴料『温泡 ONPO Kids』及び高保湿入浴液『ウルモア』のパッケージデザイン開発に活用されている。同社は今後もインサイトを探るひとつの方法として、同発明を商品開発やブランド価値向上に活かしていくとしている。

2021年8月発売の『温泡 ONPO Kids』。検討パッケージ2種を提示して脳波や視線などを測定し、評価が高いデザインを組み合わせて開発された。

2023年9月『ウルモア 高保湿入浴液』『ウルモア 高保湿入浴液 ボタニカル』でパッケージリニューアルを実施。分析結果を踏まえ、リニューアル候補のパッケージデザインをさらに改良し、新たなパッケージデザインを決定した。