“広告アイデアの基本”はこの本から教わった―『広告コピーってこう書くんだ!読本〈増補新版〉』によせて(鈴木晋太郎)

本書の初版が発売されたのは、私が電通に入社した2007年。工学系の大学院卒業という経歴と、いかにもパソコンが似合いそうなビジュアルによって配属されたであろう情報システム局にて、私は情報処理検定の勉強をしながらもクリエイティブ局への異動を目論んでいた。そんなときに出会ったのが、いかにも入門書らしいポップな顔つきをした本書だ。当時の焦りと不安と情熱が、びっしりと貼られた付箋の量に表れている。

そんなわけで、この本は私の最初のコピーの先生になった。今思うとそれは、とてもラッキーなことだと思う。コピーとは何なのか、コピーを書くとはどういう行為なのか、良いコピーとはどんなコピーなのか、どんな訓練をすればコピーが書けるようになるのか…当時はまだ広告の仕事に携わってはいなかったので、すべてが正確に理解できたわけではないけれど、“広告コピーの基本”というか“広告アイデアの基本”をこの本から教わった。

あれから17年。クリエイティブ局へ異動して13年の経験を経た今、改めて読み返してみた。自分の広告コピーやアイデアに対する根本的な考え方が変わっていなかったことを再確認させられただけでなく、付箋の貼られていなかった箇所には、その後の仕事で実感してきたことが綴られていることに気づいた。必死で駆け抜けて来たつもりの13年は、まだ全部この本の中にあった。まったく、ポップな顔をして恐ろしい本だ。

書影 『広告コピーってこう書くんだ!読本〈増補新版〉』
広告コピーってこう書くんだ!読本〈増補新版〉
4月11日発売/谷山雅計著/定価2,200円(税込)

それともう一つ。実は、なかなかクリエイティブ局に異動できずにもがいていた2010年に、私は宣伝会議の谷山さんのコースを受講している。そこで知ったのは、谷山雅計という人が、一流のコピーライターであるだけでなく“日本で一番コピーを教えるのが好きな人”だということ。それを知った上で読むと、なるほど、この本は広告コピーへの愛で溢れているではないか。コピーライターやコピーライターを目指す人はもちろん、アートディレクターもCMディレクターもプロダクションの人も宣伝部の人も、広告に携わる人はみんな、一度この愛を浴びてみてほしいと思う。その経験はきっと、世の中の広告をちょっと良くすることにつながるはずだ。

advertimes_endmark
写真 人物 プロフィール 鈴木晋太郎(すずき・しんたろう)

鈴木晋太郎(すずき・しんたろう)
電通 クリエイティブディレクター/CMプランナー/コピーライター

1981年生まれ。愛知県出身。東京大学大学院工学系研究科を修了後、2007年電通入社。情報システム局、営業局を経て、30歳でクリエイティブに転局。主な仕事は、日清カップヌードル、日清焼そばU.F.O.、花王アタックZERO、UQモバイル、ジャンボ宝くじ、湖池屋プライドポテト、Spotifyなど。TCC賞、ACCゴールド、ギャラクシー賞など受賞多数。

コピーライティングのベストセラー教本、待望の増補新版
広告コピーってこう書くんだ!読本〈増補新版〉
谷山雅計著/定価2,200円(税込)

2007年に発売された広告コピーのロングセラー書籍『広告コピーってこう書くんだ!読本』が、増補新版になって新登場。デジタルやSNS時代のコピーのあり方についても言及した、約2万5000字の新テキストを収録しました。「人に伝わる」「伝える」広告コピーを書くためのプロのエッセンスを学べる一冊。


この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ