そんな魅力的な体験をいち早く経験できるのが、東京のレストランシーン。本記事は「エクスペリエンス・プロデューサー」の肩書で活動する、ミリモルホールディングス代表取締役の河野貴伸氏が、いま、体験すべき！とお勧めする、マーケター・クリエイターの感性を刺激する、レストランやバーを紹介する連載企画です。
店舗やメニューの紹介、そのお店の「エクスペリエンス」の何に、マーケター・クリエイターが学ぶべきポイントがあるのか、魅力を解説いただきました。
関連記事
世には数多くのレストランやバーが存在し、そのバラエティはまさに東京という街の底知れぬ魅力を体現しているように思う。とはいえ、我々のように常日頃からマーケティングや広告、クリエイティブといった分野に携わる者にとっては、「単においしいだけ」の店ではどこか物足りない瞬間があるのではないだろうか。五感を揺さぶるような新鮮な体験とともに、「いつもの東京とは違う風景」を感じたくなる。そんな欲求を抱く読者諸氏のために、今回は「海外の視点からみた『東京』を体験できるレストランとバー」を紹介したい。
ご存じの通り、東京はあらゆる国や文化が混ざり合い、新たな価値観やトレンドを常に生み出し続けるグローバル都市だ。そこに根差しながらも、まるで海外にいるかのような刺激を与えてくれる店は少なくない。大切なパートナーや家族、同僚、友人とのひとときを共有しながら、まだ見ぬ東京を発見するきっかけとして活用してみてはどうだろう。
店舗紹介
身体への優しさと気品あふれる温室のような空間
L’Orangerie 光庵（オランジュリー こうあん／永田町）
まず紹介するのは、永田町駅近くの「L’Orangerie 光庵」である。「身体にやさしいフレンチ」を掲げ、旅や仕事で疲れた人々の胃腸をいたわるような、穏やかで温もりのある料理を提供する。ホテルの中でも特に気の良い場所を選び抜き、ガラス張りの温室（オランジュリー）を思わせる開放的な空間を演出しているのが特徴だ。
「For Comfort 快適さを求めて」をモットーに、上質な食材の魅力を最大限に引き出す調理を行い、体に負担をかけないフレンチに仕上げている。ガストロノミーのような高級感と、ビストロのような気軽さを合わせ持つ“ビストロノミー”を体現する店としても注目を集めている。ノンアルコールのドリンクをはじめ、事前予約でビーガンメニューにも対応する柔軟さも魅力だ。
海外から来た人にとって、東京は「刺激的で都会的」なイメージが強いかもしれない。しかし、この店に一歩足を踏み入れると、まるでリゾート地に来たかのような穏やかさを感じるだろう。都会の喧噪を離れ、体をゆっくりと解きほぐしたい時にこそ訪れてみたい場所だ。
★Information★
●住所：東京都千代田区平河町2-16-15 ザ・キタノホテル東京 2階
●電話番号：03-6261-1351（レストラン）／ 03-3288-0015（ホテル代表）
●営業時間：12:00-15:00 (L.O. 13:30), 18:00-22:00（L.O. 21:00）
●定休日：日・月定休、火曜日ディナー休（ランチのみ営業）
●メニュー：*価格はすべて税込サービス料15%別
ランチ
・Menu Repos 6,000円 （4品／メインをお肉かお魚いずれかお選びいただくコース）
・Menu Amusant 8,000円 （5品／メインにお肉・お魚いずれもお付けしたコース）
・アラカルトのご用意あり
ディナー
・Menu Découvert 15,000円
・アラカルトのご用意あり
●ドリンク：
ペアリングメニュー
・アルコール 3杯 6,000円 4杯7,500円
・ノンアルコール 3杯 4,500円 4杯6,000円
フランスの伝統と小林圭シェフの料理が交差する、新感覚のバー
ST LOUIS BAR by KEI（サンルイ・バー・バイ・ケイ／銀座）
銀座という街は、世界的に見てもラグジュアリーと洗練の象徴である。その中心部にある「ST LOUIS BAR by KEI」では、1586年創業のフランスのクリスタルメゾン「Saint-Louis（サンルイ）」のグラスを使用し、美しい輝きをまとったドリンクを味わうことができる。さらに、フランス版ミシュランガイドで3つ星を獲得した小林圭シェフによる料理とデセールが揃うのだから、期待が高まるのも当然だろう。
華やかなクリスタルグラスで提供されるカクテルやワインは、海外のラグジュアリーバーさながらの雰囲気を醸し出している。そもそも銀座には各国のエッセンスが凝縮されているが、この店はその要素をさらに尖らせ、フランスから見た東京、そして東京から見たフランスが交差する不思議な体験を提供してくれる。
大切な取引先やパートナーとの会食後、あるいは特別な日の締めくくりとして、この洗練された空間を訪れてみてほしい。「Saint-Louis」のクリスタルグラスに注がれたドリンクを見つめながら交わす会話は、きっといつもと一味違ったものになるはずだ。
★Information★
●住所：東京都中央区銀座7-8-17 虎屋銀座ビル12階
●電話番号：03-6274-6612
●営業時間：17:30～23:30（フードL.O. 22:30、ドリンクL.O. 23:00）
●定休日：日、月
●メニュー：
・最中 キャビア 毛蟹 グリビッシュ 5,800円
・パフェ 2,800円 など
●ドリンク：
・シャンパーニュ グラス 3,600円～
・ワイン グラス 2,800円～
・カクテル 1,800円～
そのほか、山崎25年、白州25年、響30年、厚岸蒸留所などのジャパニーズウィスキーも豊富に取り揃えている。
東京の中心で自然を味わう、新たなる“Farm to Table”の進化形
natuRe tokyo（ナチュール トウキョウ／国立競技場）
続いて紹介するのは、「Beyond the “Farm to Table”」というテーマで注目を集める「natuRe tokyo」である。ハワイの「natuRe waikiki」で培った地産地消の精神をさらに深め、約農家から届く国産食材を丁寧に扱うことで「食」の本質を追究しているのが特徴だ。
国立競技場近くの都立明治公園内に佇む一軒家レストランというだけでも特別感があるが、メニューにも随所に自然の恵みが活かされている。レストランとしての繊細さとビストロの気軽さを兼ね備え、ランチでは薪火料理を取り入れた御膳などをラインナップしている点も魅力的だ。「東京の自然」を肌で感じるには、この上ないロケーションだろう。
海外から見た東京といえば、高層ビルや夜景ばかりを連想しがちだ。しかし、natuRe tokyoでは東京における自然との共生の一つの答えを体感できる。国際都市・東京の新たな側面を発見できる店として、ぜひ足を運んでみてほしい。
★Information★
●住所：東京都新宿区霞ヶ丘町5-7 E棟
●電話番号：03-5860-5288
●営業時間：11:00〜23:00（LO 22:00）
●定休日：不定休
●メニュー：
ランチ
薪火御膳（熊本 熟成艶姫牛 サーロイン 5,500円 など）
ディナー
薪火調理で丁寧に焼き上げた食材を主役に、フレンチやイタリアンの要素を取り入れて仕上げるnatuRe流のビストロ料理を提案。
・経産牛頰肉の煮込み フォアグラのラペ 2,800円
・経産牛とマッシュルームのラグー 2,300円 など
●ドリンク：
ワインを中心にビールやハワイアンカクテルをご用意しています。
目の前で生まれる和菓子の芸術と茶のペアリング
九九九（くくく／六本木）
最後に紹介するのが、六本木に位置する「九九九」だ。和菓子と茶という日本文化の象徴的な存在を新たな切り口で楽しむことができる。出来立ての和菓子をコース仕立てで提供し、その場で練り切りが仕上げられる様子を目にできるのは、まさに“ライブパフォーマンス”と呼ぶにふさわしい。
全国から取り寄せた厳選の茶葉とのペアリングにも力を入れており、温度や質感など、“今”だからこそ味わえる美味しさを五感すべてで堪能できる。夜には一品料理やオリジナルの茶カクテルも用意され、東京の夜に独特の彩りを添えてくれる。
日本にいながらもどこか新鮮で、海外のゲストならさらに強い衝撃を覚えることだろう。和菓子という、見るだけでもアートのような世界観と、お茶の香りが織りなす神秘的な時間。この不思議な体験は「海外の視点からみた東京」を際立たせるに違いない。
★Information★
●住所：東京都港区六本木7-5-11 カサグランデミワ2F 九九九
●電話番号：03-6447ｰ0333
●営業時間：15時-23時
●定休日：日曜・月曜
●メニュー：ペアリングコース、一品揃いセット
ペアリングコース 税込19,800円（サ別）
平日二時間制で15時-と18時-、火曜は18時-のみ
季節に沿った和菓子8品と茶8杯・抹茶1服のコース
※コースは月替わりになります。
一品揃いセット 税込3300円（サ別）～
平日21時-23時と土曜終日
・和菓子1品と茶1品のセットから
※追加注文も可
●ドリンク：ティーペアリング・茶各種・茶カクテルほか
海外の人々が見る東京、そして我々が暮らす東京。そのギャップには面白みがあり、時にはカルチャーショックさえも感じる。しかし、東京という街は常に新しい価値観を受け入れ、独自に昇華してきた土地でもある。今回紹介した店々は、そんな「海外の視点からみた東京」を体感すると同時に、国内の伝統やホスピタリティを再認識させてくれる存在だ。
身体がほどけるフレンチに癒され、クリスタルグラスが彩るバーで非日常に浸り、自然の恵みを感じる一軒家レストランで季節と対話し、和菓子と茶の儚さに魅了される――どれもが、東京の多面的な姿を浮き彫りにする。大切な人との特別な時間や、クリエイティブな刺激を求める瞬間に、これらの店を訪れてみてはいかがだろうか。まだ見ぬ東京の魅力が、そこにはきっと待っている。
著者プロフィール
オンデマンド版コピーライティング実践講座で
業界水準の力を身に付け、
「変化」と「成長」を起こす！
