生成AI広告、ポップアップ・アクティベーション…2025年の米国・マーケティングはどこに行く?

ここ数年の人工知能(AI)の発達により対応を迫られているアメリカのマーケティング業界。2025年はどのような年になるのだろうか。2024年後期のアメリカのマーケティングトレンドを元に、2025年の展望を、松本泰輔氏が解説する。
※本記事は月刊『宣伝会議』2月号の連載「米国広告マーケティング事情」に掲載されています。

松本泰輔氏

Coast to Coast Marketing Services 代表。AEとして約10年広告代理店に勤務後、1995年渡米。大学院卒業後、ニューヨークの広告代理店にて通信・金融・食品会社などを担当し、2005年独立。アメリカ東海岸を拠点にマーケティング、ジャーナリズム分野にて幅広く活動。2011年、宣伝会議より『フェイスブックインパクト』を共著にて発表。

コカ・コーラ生成AI広告に批判 同社のリアクションが話題に

生成AI広告についての問題点が浮き彫りになり始めている。そのひとつが2024年12月にコカ・コーラが放映した、生成AIで制作された3篇のクリスマスCMだ。1969年から“It’s the Real Thing”のスローガンを掲げている同社に対し、視聴者からは「どこがリアル?」「安っぽいCMでクリスマスが台無し」など手厳しいコメントが相次いだ。同社生成AI担当副社長プラティーク・タカー氏は「ローンチ前に生成AI広告について欧州と北米で検証した結果、非常にポジティブな結果を得た。これが初めての生成AI広告ではなく、さまざまな試みを行っている。すべての制作をAIに頼るつもりはないが、今後もAIの活用を推進していく」とアドエイジ誌に述べた。

① コカ・コーラのクリスマスCM

写真 CM カット複数 コカ・コーラのクリスマスCM

年末恒例のコカ・コーラ、クリスマスCM。「完成度が高い」と専門家から好評価を受けたが、消費者からは「リアルには見えない」「クリスマスの雰囲気を壊している」と酷評された。

生成AI広告の専門家「信用を第一に制作すべき」

リサーチ会社カンターの調査では、企業の68%が生成AIにポジティブな印象を持つ半面、消費者の43%は“生成AIによる広告は信用できない”と答えている(※1)との結果が出ている。同社は生成AI広告の利用時には「生成AI広告であると明記し、信用に足りうるものと証明する必要がある」と指摘する。コスト削減や時短など多くのメリットを持つ生成AI広告だが、世論の評価を確認しながら慎重に進めていく必要があるだろう。

※1 https://www.kantar.com/northamerica/Inspiration/Brands/KaiA-Kantars-AIAssistant-Transforming-insights-at-Lightning-Speed

店舗とメーカーによる店内イベントで売上を伸ばす

AIによるデジタル・マーケティングとは反対に、アナログな活動で成功している例もある。モールなど巨大な店のスペースを数日間ほどの間借りし、テント(ポップアップ)を立て、物品やサービスの接客販売をする、ポップアップ・アクティベーションと呼ばれる施策だ。「消費者はデジタルでのやりとりに辟易している。顧客と直接、会話ができて共感を得られるポップアップイベントが2025年は伸びてくる」と専門家は予想する。

例えば、全米に1000店以上を持つコールズでポップアップ・アクティベーション販売を行う化粧品セフォーラは、順調に業績を伸ばしている。また、コールズCEOトム・キングズベリー氏は「当社は化粧品を扱っていなかったので、セフォーラで買い物する客の40%はコールズ初来店。若い来客が増えた」とスペースを提供する店側にもメリットがあると強調した。

② セフォーラ

写真 店舗・商業施設 セフォーラ

量販店コールズ店内や駐車場でポップアップ(テント)イベントを開催し、売上を伸ばす化粧品メーカーセフォーラ。コールズには少なかった若い顧客を集客できるため、店もメーカーもウィンウィンの関係に。「デジタルとは違うアナログな対面販売がブランドと消費者の絆を深める」と評判になっている。

 
 
…この続きは12月27日発売の月刊『宣伝会議』2月号で読むことができます。

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