昨今は顧客の価値観や購買行動が多様化・流動化したことにより、従来のマーケティング施策だけでは対応しきれなくなってきた。そのため、膨大な情報を高速で処理、分析することができる生成AIを、マーケティング施策に導入する企業も増えている。では、実際にAIを活用することにより、どのような効果が期待できるのだろうか。
本記事は2024年12月に開催された「宣伝会議リージョナルサミット2024冬」から、注目セミナーをレポート。クアルトリクスの久崎 智子氏(CX ストラテジー シニアディレクター)が、顧客分析の最新データをもとに、従業員や顧客体験をAIで管理するメリットと活用事例を、秋吉 範隆氏(シニアプリンシパル ソリューションエンジニア)が自社のプラットフォームサービスでできることを紹介した。
良くない顧客体験(CX)が離脱の原因に
久崎氏は、自社調査した「2025年消費者トレンドレポート」をもとに、顧客行動の動向について説明した。日本の顧客は良くないカスタマーエクスペリエンスが2回に1回以上あると、50%が「支出を減らす」と回答している。また、悪い体験の要因として、「従業員とのやり取り」(54%)を挙げる人が最も多く、次いで「提供サービスの問題」(36%)を気にする人が多かった。
従業員の対応や提供サービスを改善するには、まず顧客の声を拾い集める必要がある。しかし、顧客のフィードバックに関する調査によると「ソーシャルメディアへの投稿」「企業に直接フィードバック」「第三者評価サイトへの投稿」は、2021年と比較すると、いずれも3.6pt% ~5pt%減少。一方、「その体験について誰にも話さない」は良い体験の場合が7pt%、悪い体験だと11.6pt%も上昇した。これらの結果から、久崎氏は「不満を伝えず無言で他社に移っていく顧客が増えている」と、情報収集の難しさを伝えた。
AIが的確な改善案提示でイノベーションを起こす
企業側は、多様な施策で顧客の声を収集するとともに、集めたデータを分析し、改善アクションを起こす必要がある。その膨大な作業を助けてくれるのが、クアルトリクスの「Qualtrics XM Platform」だ。顧客体験(CX)、従業員の体験(EX)、ブランド体験(BX)、商品・サービス体験(PX)の4つの体験をAIが管理し、分析した結果をもとに改善案まで提示するプラットフォームだ。以下にその事例を紹介する。
ハンバーガーレストラン「Shake Shack」は、フードメニューから店舗体験まで、すべてクアルトリクスのプラットフォームで管理。集約した顧客データをもとに、フードメニューの開発や接客の改善、ブランド理念の発信を行ったところ、ブランド推奨意向が30%向上した。
スポーツブランド「adidas」は、クアルトリクスのプラットフォームから得られたインサイトをもとに、現場スタッフへのトレーニングや個別フィードバックを行ったところ、顧客から「迅速に対応してくれた」「的確なアドバイスをくれた」などの好意的な声が寄せられるようになり、顧客単価は1.9倍、売上は6.6%アップした。
ホテルチェーン大手の「Hilton」は、CXを高めようと自社で顧客データを収集・分析していたものの、滞在後のサーベイは回答率が低下傾向にあり、すぐに対応できる要望にかかわらず、解決されず、不満な気持ちで帰るお客さまが存在していた。しかし、クアルトリクスのプラットフォーム導入後は、顧客の声を滞在中に集めることが可能になったほか、本部と現場が情報を共有し、より効果的なアクションが即座に起こせるようになった。導入後はブランドに関する肯定的な印象が増え、予約へのコンバージョン率は2倍になり、初回解決率は20%向上と、確実に成果を上げている。
※クアルトリクス主催の カスタマーエクスペリエンス ウェビナー【2025年の消費者トレンド〜見えない「声」を受け止めるために〜】を視聴いただけます。
精緻なデータ分析を単一のプラットフォームで実現
続いて秋吉氏は、市場調査と企業戦略の提案に特化した「XM for Strategy & Research」の各種機能を解説した。
クアルトリクスのブランドトラッキング調査は、コンバージョンに至るまでの顧客のアクションを分解して、離脱ポイントを明確にできるファネル別分析や経年変化などを、わかりやすく図式化してくれる。また、属性データによるフィルタ機能もあり、ターゲットに合わせた分析を瞬時にすることができる。
広告メディアトラッキングでは、さまざまな広告媒体の費用対効果をグラフ化すると共に、さらに、AIがダッシュボードデータの要約も行う。また、顧客のトレンドワードをバブル形式で表し、その語に対してのイメージを、ポジティブなら赤、ネガティブなら青といったように色で示すため、直観的なテキスト分析も非常に理解がしやすい。
ブランドイメージの独自性を明らかにした場合、秋吉氏は「自社と競合他社のポジションの違いを可視化するコレスポンデンス分析が有効だ」と説明。項目ごとに分析してくれるほか、各項目の数字を入れると、全体にどのようなインパクトがあるのか、割合で示すインパクトシミュレーターの機能もある。そのため、今後どの項目を注力すべきか判断しやすく、戦略立案に生かすことができる。
秋吉氏は他にも、BXとCXのデータを連携し、ブランド体験と顧客体験のギャップがわかる「Cross XM」も紹介し、精緻なデータ分析ができるXM for Strategy & Researchの魅力を伝えた。
※クアルトリクス主催のカスタマーエクスペリエンス ウェビナー【2025年の消費者トレンド〜見えない「声」を受け止めるために〜】を視聴いただけます。
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