ヘッドスパ普及の立役者、タカラベルモントのコミュニケーション戦略

物価高も拍車をかけ、2024年には美容室の倒産件数は過去最大となった(帝国データバンク調べ)。コロナ禍を経て環境が大きく変わる理美容業界で、BtoB企業であるタカラベルモントはいま、生活者に向けたアプローチを強化しているという。
※本記事は月刊『宣伝会議』3月号の巻頭特集「採用広報にも効く『企業認知』を高める手法&事例一覧」の転載記事です。

#頭浸浴の視聴数は6000万超

1921年の創業から理美容機器、医療機器、デンタル機器、エステ、プロフェッショナル用化粧品など、時代のニーズに合わせて事業を拡大してきたタカラベルモント。2020年10月に次の100年に向けたパーパス「美しい人生を、かなえよう。」を策定し、社内外に向けた広報PR活動を強化してきた。

2020年4月より同社の広報活動をリードする石川由紀子氏は、現在の取り組みと市場環境についてこう語る。

「ビジネス顧客との関係構築が中心で、かつ生活者との接点も限られている多くのBtoB企業にとって、“生活者視点”を主軸に置いたコミュニケーションの重要度は低かったと思います。その点で言えば、私たち理美容業界は、少し特殊かもしれません。というのも研究開発において、お客さまであるサロンの皆さんのニーズはもちろんのこと、その先にいる方々のニーズやトレンドに応える必要があるためです。さらにコロナ禍を経てサロンビジネスの変革が迫られるなか、業界全体で、市場を創造していく必要がありました」(石川氏)。

2022年からはタカラベルモント共通IDを導入し、サロン向けのポータルサイト「TB-PLUS(ティービープラス)」を基点とした情報発信を開始。イベント参加やタカラベルモント製品の購買状況などを基に、サロンの潜在・顕在ニーズを捉えたソリューションの提案を行う。

「個々のサロンがいかに顧客体験価値の質を高められるかという視点に立つことが大事」だと、理美容事業部の池田裕美氏は話す。

「サロンと私たちの共通の願いは、そこに通う皆さんを美しくしたいということ。私たちはこれまでシャンプー台やプロフェッショナル用化粧品などハード面の開発を中心に行ってきましたが、ソフト面からもアプローチすることで、迅速かつ効果的に、この願いを実現できるのではないかと考えました」(池田氏)。

こうした流れの中で生まれたのが、「頭浸浴(とうしんよく)」と「シャン活」の普及を目指す、一般生活者向けの取り組みだった。

2021年に提案を開始した「頭浸浴」は、ヘアサロンのシャンプー台で施術する新しいスパメニューだ。秋田県の新玉川温泉に伝わる入浴法がヒントとなって開発されたもので、コロナ禍を経て、ヘアサロンがリラックスの場になっているというニーズとマッチし、注目が集まった。2024年12月時点で全国約6400軒以上のヘアサロンに導入され、TikTokで「#頭浸浴」として投稿された動画の視聴回数は6420万回を超え、Instagram投稿数は11.9万件に達した(2025年1月時点)。

さらにこの成功事例を受け、2024年7月からは「シャン活」の提案を開始した。

…この続きは1月31日発売の月刊『宣伝会議』3月号で読むことができます。

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