冬だからこそスパイスを。驚きと感動の体験―スパイシー体験を堪能できるレストラン3選

モノの機能性だけでなくコトの体験価値が、マーケティング戦略上、ますます重要度を増している時代。マーケター、クリエイターは常に新しく魅力的な体験を探しています。
 
そんな魅力的な体験をいち早く経験できるのが、東京・横浜のレストランシーン。本記事は「エクスペリエンス・プロデューサー」の肩書で活動する、ミリモルホールディングス代表取締役の河野貴伸氏が、いま、体験すべき!とお勧めする、マーケター・クリエイターの感性を刺激する、レストランやバーを紹介する連載企画です。
 
店舗やメニューの紹介、そのお店の「エクスペリエンス」の何に、マーケター・クリエイターが学ぶべきポイントがあるのか、魅力を解説いただきました。

冬の到来とともに、身も心も温まるような体験を求めることはないだろうか。特にマーケティングや広告、クリエイティブの現場で日々刺激を求める我々にとっては、季節の移ろいに合わせてより鮮烈な驚きや感動を追い求める傾向があるように思う。冬ならではの寒さに向き合うからこそ、体を内側から熱くする“スパイス”を存分に味わいたい……そんな欲望を抱く方も多いだろう。

そこで今回は、「冬だからこそスパイスを。驚きと感動の体験」というテーマで、寒さを吹き飛ばすようなスパイシー体験を堪能できるレストランをいくつかご紹介したい。ご家族、パートナー、取引先、ご友人など、誰と訪れてもきっと盛り上がる。ちょっと意外性を感じる、おいしいだけじゃ終わらない“驚き”のシーンを演出するためにも、一度は訪れてみてほしい店ばかりである。

店舗紹介

日本の食材とタイの伝統が出会う、未知なるハーモニー

KHAO(カオ/神保町)

タイ料理と聞くと、唐辛子やハーブをたっぷり使った刺激的な味わいを思い浮かべる方が多いはずだ。しかし、ここ「KHAO」では、その常識を覆すような“新しいタイ料理”に出会うことができる。日本の野菜や地鶏、海の幸など、我々が日頃慣れ親しんでいる素材に、タイのアジアンハーブや発酵食品などを融合させた独創的なフルコースが楽しめるのだ。

店に足を踏み入れた瞬間、モダンかつくつろぎを感じさせる空間が広がる。メニューには、日本の食文化とタイの伝統の“いいとこ取り”が見事に詰まっており、ほんのり甘味を含んだ酸味やスパイスのピリッとした刺激が絶妙にバランスをとっている。冬の寒さを忘れさせてくれるような強い熱量がある一方で、日本の素材の優しさがうまく調和しているのが印象的だ。

タイ料理好きであっても思わず「こんなタイ料理、初めて見た」と声を漏らしてしまうだろう。スパイスが主役のはずなのに、どこか懐かしい香りや味が感じられる新感覚。食材同士の意外な相性に驚きながら味わう一品一品は、冬だからこそ求めていた「体の芯から温まる体験」を存分に満たしてくれる。

★Information★
●住所:東京都千代田区神田神保町2-12-7 フェルメール 1階
●電話番号:050-3204-2928
●営業時間:18:00〜21:30
●定休日:日曜日、水曜日
●メニュー:おまかせ16,500円(税込、サービス料別途10%)
●ドリンク:ペアリング13,000円、ハーフペアリング10,000円

“中東×イタリア”が生む未知の化学反応

Trattoria Tabulé(トラットリア タブレ/横浜みなとみらい)

世界中の美食家たちを虜にする「中東料理」と、日本人にとってもはや生活の一部とも言える「イタリア料理」。このふたつを大胆に組み合わせ、新たなジャンルを切り開いた店が「Trattoria Tabule」である。ミシュランシェフの奥野・米澤両名がタッグを組んで誕生したこのコラボダイニングは、まさに“新しくも美味しい”というコンセプトを体現する場所と言えるだろう。

たとえば、中東のスパイスを巧みに使ったパスタやリゾットは、どこか異国情緒を漂わせながらも、口に入れると不思議なほどホッとする味わい。それはイタリアンならではのコクと、中東特有のスパイスの鋭さが、絶妙なバランスで溶け合っているからかもしれない。冬のシーズンにあえてスパイスを効かせた料理を味わうことで、体がポカポカと内側から温まり、心までもリラックスしていく感覚を覚えるのだ。

エスニックとイタリアンの融合と聞くと想像がつかないかもしれないが、実際に口にするとその違和感が驚きと感動へと変わっていく。マーケティングの現場でも、異なる要素を掛け合わせることでイノベーションが生まれることが多い。この店が提供する新感覚の“中東イタリアン”も、まさにそんなクリエイティブな発想の賜物だろう。スパイスを楽しむ一方で、確かな技術で支えられたイタリア料理のエッセンスをしっかり感じることができる。美味しい料理で意識を変革する体験を求めるなら、ぜひ訪れてみてほしい。

★Information★
●住所: 神奈川県横浜市西区みなとみらい4-2-1 LIVING TOWN 1F
●電話番号:045-307-6333
●営業時間:
月・火・木・金
11:30~15:00 L.O. 14:00
17:30~22:30 L.O. 料理21:00 ドリンク21:30
土・日・祝日
11:30~16:00 L.O. 15:00
17:30~21:00 L.O. 料理20:00 ドリンク20:15
●定休日:水曜日
●メニュー:
・ランチ コース仕立て
平日:Tasting Course (全7品)4,000円
休日:Holiday Lunch Course (全7品)4,500円
ほかにアラカルト、パスタランチもあり
・ディナー コース仕立て
Special Course(全9品)6,500円
Tasting Course (全8品) 4,800円
アラカルトオーダー、席のみの予約も可
●ドリンク:
グラスワインは赤、白、オレンジ、ボトルワインもあり。ほか、サワー、カクテル、モクテルなど。

30種類以上のスパイスが生む本格的“シビ辛”の世界

麻辣火鍋専門店 越智(マーラーヒナベセンモンテン オチ/代々木)

最後に紹介したいのが、本格麻辣火鍋を味わえる隠れ家「麻辣火鍋専門店 越智」である。火鍋といえば、中国の四川料理を象徴するようなスパイシーグルメ。寒さの厳しい冬だからこそ、その刺激的なスープに魅了される人は少なくないだろう。ここでは、オーナーの越智自らがこだわり抜いてブレンドした30種類以上のスパイスやハーブを使い、厳選した食材の旨味を最大限に引き出す独自のスープが自慢だ。

鶏ガラや豚ガラのダシがしっかり効いた奥深い味わいに、花椒(ホアジャオ)の痺れるような風味が絡み合う。そこに野菜や肉、海鮮など多彩な具材をくぐらせれば、寒さで凝り固まった体が一気にほぐされるような感覚に包まれる。店に入ると、どこかアンダーグラウンドな雰囲気を漂わせながらも、赤と緑のカラーを基調にしたシックで落ち着いた空間が広がっている。恋人や友人とのディナーはもちろん、女子会や同僚との飲み会でも盛り上がること請け合いだ。

シビ辛い火鍋は舌をピリピリと刺激しながら、同時に体へじんわりと熱を注ぎ込んでくる。まさに冬の寒さをも吹き飛ばすようなパワーを秘めた一品だ。スパイスを使いながらも、しっかりと旨味を感じさせるバランスの巧みさに驚かされる。これほどまでに刺激と滋味が共存する料理は、なかなか出会えない。だからこそ、辛党でありながら健康にも気を遣う人たちにはうってつけの店だろう。

★Information★
●住所:東京都渋谷区代々木3-29-5 2階-A
●電話番号:03-5843-5385
●営業時間:
月・火・木・金・祝前
18:00〜24:00 (L.O. 23:00)
日・土・祝
17:00〜24:00 (L.O. 23:00)
●定休日:水曜日
●メニュー:ディナーコースのみの営業
・你好コース 4,280円
・至福コース 4,880円
・頂越コース 6,880円
・冬季限定堪能コース 5,880円
・極美きのこコース 6,380円
・滋養コース 8,880円
●ドリンク:ビール、ハイボール、季節のドリンクなど

スパイスという存在は、そのものが持つ刺激や香りだけでなく、異なる文化や国境を超えて人々を結びつける不思議な力があるように思う。特に冬のような寒い季節になると、体が温かさとパワーを求めるあまり、自然とスパイシーなものを欲するようになるのではないだろうか。

今回紹介した3つのレストランは、いずれも「冬だからこそスパイスを」のテーマを体現する店ばかりだ。日本とタイの融合による新たな味覚、中東とイタリアンの掛け合わせから生まれる意外性、そして中国四川から受け継いだ火鍋文化を独自の形で昇華した痺れる一皿。いずれも、美味しさだけでは語り尽くせない驚きと感動が詰まっている。

スパイスにはまだまだ知られざる可能性があるし、その可能性を形にするのが我々クリエイターの仕事とも言えるかもしれない。寒い冬、眠っている五感を刺激してくれる料理を求めて、ぜひこれらの店に足を運んでみてほしい。冬の寒ささえ味方につけるような、熱量たっぷりの食体験が得られるはずだ。広告業界やクリエイティブの世界で日々新しい刺激を探す我々にとって、「スパイス」はこの季節の頼もしいパートナーになるに違いない。

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河野貴伸氏

ミリモルホールディングス
代表取締役/CEO

2000年からフリーランスのCGクリエイター、作曲家、デザイナーとして活動。2013年、ブランディングエージェンジー、FRACTA創業、代表取締役就任。2020年、上場企業にバイアウト。2024年1月、FRACTAの代表を辞任し2024年3月、AIのマネジメント、トレーニングおよびAIを活用した事業支援を行うMMOL Holdingsを設立、代表取締役就任。

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