チャットマーケティングの本質はユーザー理解にある

デジタルツールであらゆるものがつながる時代だからこそ、顧客理解や顧客視点について見直す機会ともいえる。なぜ今、顧客を知るべきなのか、そのためにマーケターは何をすべきなのか。パーソルテンプスタッフCMOの友澤大輔氏と、「DMMチャットブースト CV」を提供するAlgoage(アルゴエイジ)の成田穂高氏が、マーケティングと顧客対応の今と近未来について話し合った。

今、あらためて顧客理解が注目される背景とは

友澤:2000年くらいまではマス広告による一方向の情報発信が十分に機能し、消費者の購買意欲を高めることができていました。それがインターネットとSNSの普及によって、消費者はブランド側がコントロールできる対象ではなくなりました。今は顧客をよく知り、コミュニケーションを取りながら提供するサービスや商品の質を磨いていくことがあらゆる事業会社に求められます。

パーソルテンプスタッフ 執行役員CMO 友澤大輔 氏

多くの会社はニーズを把握するために市場調査を活用していますが、そもそも調査設計の段階で何らかの意図が入り込む可能性が高いことに注意する必要があります。一方、SNSをウオッチすることで 、消費者の本音を容易に集められます。もちろん一長一短があるので、様々な手法を用いて顧客を理解することが、マーケターにとって改めて必要なのだと思います。

これは一例ですが、私は多様な情報に触れるための取り組みとして、いくつものSNSアカウントを運用しています。そのアカウントは若者、女性、シニアなど、実際の自分とはまったく異なる属性をそれぞれ設定しています。

FacebookやTikTokなどのプラットフォームはそれぞれ独自のアルゴリズムを持ち、ユーザーの属性に合わせてレコメンドされる情報が変わります。そうした情報に触れたSNSユーザーの反応や意見を知ることはとても有益だと思います。自分自身のアカウントを通してのみでは得られない、新たな発見があります。ちょっと不思議な気分になりますが(笑)。

成田:それはすごいですね。一方で、ソーシャルリスニングではマーケターにとって都合の悪いデータが集まることはないですか。調査を自分たちに都合の良い設計にしてしまうことと同じように、ソーシャルリスニングでも目をつむっておきたいという力学が働くのではないでしょうか。

友澤:そうした力学は働くと思います。ただ、本音や隠されたニーズを知りたいのであれば、都合の悪い声にこそ可能性があることにも着目すべきです。批判的な声をもとに修正した方がサービスの質は上がります。ネガティブな投稿すらないのであれば、そもそも関心を持たれていないのかも知れないですから。

SNSで話題に上ることが少ないならば、その理由について探ることも大切です。例えば、今はスポットワークが注目され、SNSでもしばしば話題に上ります。ただ、かつては「日雇いバイト」と呼ばれ、良い印象で語られてはいませんでした。新たな言葉が登場してイメージが変わったのです。

同様に見ていくと、「転職」はよく話題になるのに、「人材派遣」はあまり話題になりません。人材派遣がポジティブな話題として語られるにはどうすればいいのかを考えることは、私たちにとって重要なテーマであることが見えてきます。 このように、都合の悪い声も含めてユーザーを理解することが重要だと思います。

マーケティング組織が抱える課題とその解消に必要な視点は

成田:Algoage(アルゴエイジ)は「DMMチャットブーストCV」というチャットマーケティングのサービスを提供しています。これはチャットでのコミュニケーションを通して未顧客(=顧客になる前のユーザー)をナーチャリングしCVを純増させるというソリューションで、顧客獲得のための有効な手法のひとつとして多くのお客様に活用いただいています 。ただ、チャットマーケティングの本質的な価値は「顧客理解」にあるとも考えています。

スライド DMMチャットブーストCVとは

Algoage 執行役員 チャットブースト事業部事業責任者 成田穂高 氏

チャットマーケティングとは、チャットを活用して、「顧客を理解し」、「顧客を創造し」、「顧客を育成する」新しいマーケティング手法です。

DMMチャットブーストCVもチャットマーケティングソリューションであり、「顧客を理解」し、「顧客を創造」するツールです。「顧客の創造」はつまり集客のことを指します。

この集客部分で大きな存在感があるのはGoogleやMetaなどの巨大プラットフォームであることは疑いようもない事実でしょう。

その一方で、将来Cookieが使えなくなるかもしれないという状況が生まれました。そんな状況も踏まえ、未来を見据えながらマーケティングに取り組む必要があります。その未来を見据えた動きは「顧客の理解」にあると信じています。

「顧客の創造」においては「誰が自社の顧客になっていなかったのか?」を知ることが非常に重要です。このいわゆる「未顧客」を深く理解できる手段はこれまでなかったと考えています。

私たちは離脱ユーザーとチャットを通してコミュニケーションすることで今までは知り得なかった「未顧客」が誰であるか?そして何を考えているか?を知ることが可能です。またLINEでコミュニケーションするため、忖度のない意見を聞くことができ、そこに対人コミュニケーションとの違いがあります。

例えば転職サービスの利用者に、本当は給与が大事と思っている場合でも転職エージェントには「働きがいが最重要です!」という人も多くいるでしょう。つまり本音と建前がある場合においても、本音を聞き出すことができ、またそれを把握できるというのはマーケターに取って、大きな武器になるでしょう。

こうしたLINEで取得したインサイトは、様々なマーケティング施策に活かせると思います。例えば広告の効果は一般的にはCTRやCPAで判断されると思います。しかし、なぜ成果(CTRやCPA)が良かったのかまで、ファクトベースで知ることは難しい。DMMチャットブーストCVでは、流入元ごとに回答結果つまりインサイトがわかるため、あらゆるマーケティング施策の成果をファクトベースで裏づけることが可能です。

このようにマーケティング施策の中心に私たちのデータを位置づけていただく使い方も増えてきています。

チャットマーケティングは顧客とつながるツール

友澤:Cookie規制の動きは一旦落ち着いたといえるものの、この先ずっとこの仕組みが残る保証はありません。一方で生成AIが出てきてメッセージを大量生産できるようになっています。こうした流れと、冒頭からの「顧客の声をしっかり聞こう」という話はつながっていて、チャットの活用もその延長線上にあるように感じます。

成田:私たちは、ユーザーがチャットでどんなことを聞いて、その問いに対して何を答えたのかといった情報はすべて集めています。つまり離脱したユーザーのインサイトを知ることができます。こうした今まで知り得なかったインサイトを把握しご提供できることは、お客様から評価いただいていることのひとつです。

冒頭にもお話ししたGoogleやMetaなどの巨大プラットフォームに出稿すれば、究極的にはWHO&WHATを理解せずともHOWが強烈なので、成果が出てしまう。ただそれだけに頼っていては、仮にCookieがなくなる未来がくれば、プロダクトや事業と顧客とが分断されてしまいます。変化の激しいこの業界において、いつ何が起こっても太刀打ちできるよう、マーケティングの本質である「顧客を知ること」に改めて向き合う必要があると強く感じています。

友澤:マーケティング組織の運営に携わる立場になって意識していることに、「つなげる」ということがあります。データやIDでつなげる、お客様と組織のメンバーが対話によってつながる、といったことの大切さを改めて実感しているところです。チャットマーケティングもお客様とつながる重要なアプローチのひとつといえそうですね。

お問い合わせ

株式会社Algoage

Email:sales@algoage.co.jp
住所:東京都文京区湯島3-2-12 御茶ノ水天神ビル4F

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