屋号変更や店舗の統廃合はせず、西友の経営資源を生かす
ディスカウントストア「TRIAL」(トライアル)を全国展開するトライアルホールディングス(HD)は3月5日、スーパーマーケットチェーンの西友を完全子会社化すると発表した。両社の統合により、連結売上高1兆円超の小売グループが誕生する。西友はトライアルグループの中核会社の1社として、独立した経営を維持する方針で。西友の屋号は変更せず、プライベートブランド(PB)商品も従来通り販売を続ける。
トライアルHDは2024年3月21日に東京証券取引所グロース市場に上場した。西友の店舗網と供給網を獲得し、関東圏での攻勢を強める狙いがある。西友の人材や企業文化を生かす方針で、従業員の解雇や既存店の統廃合は行わない考えだ。一方で、トライアル店舗で導入しているAI搭載ショッピングカートなどのリテールテクノロジーを西友店舗にも導入し、コスト削減や効率化を推進する。
トライアルHDの亀田晃一社長(左から2番目)や、西友の最高財務責任者執行役員の野村優氏(右から2番目)など、両社の経営陣
トライアルHDの2024年6月期の売上高は7179億円、西友の同年12月期の売上高は4835億円で、単純合算すると1兆2014億円の規模となる。これは直近の実績においてローソンやツルハホールディングスを超え、ヤマダホールディングスに迫る規模となる。
トライアルは九州を中心に343店舗を展開しており、西友が関東エリアで展開する242店舗を合算すると、合計585店舗となる。両社の店舗は立地の重複が少なく、カニバリゼーションが発生しにくいとみている。
トライアルは九州以外にも店舗を展開しているが、その多くが九州エリアに集中しており、関東では60店舗にとどまっていた。すでに関東圏で確固たるシェアを持つ西友を完全子会社化することで、収益性の高い店舗網を獲得する狙いがある。エリア基盤の盤石化を図るため、既存店舗の周辺に小型のサテライト型店舗「TRIAL GO」の出店を加速させる方針だ。