顧客の感情面に訴えかける食品ロス削減戦略
ファミリーマートは、消費期限が近いおむすびや弁当などの中食商品に貼る値下げシールを、おむすびのキャラクターが涙目で助けを求めるイラスト付きの「涙目シール」に変更した。3月11日に東海地方の店舗から順次導入を開始し、4月末までに全国展開する。
おむすびのキャラクターが助けを求める「涙目シール」
従来の値引きシール付きのセール商品は、「購入するのが恥ずかしい」と感じる人も多かった。マーケティング本部サステナビリティ推進部の原田公雄氏によると、「食品ロス削減という付加価値が加わったことで手に取りやすくなった」という声が、SNS上でも一定数見られたという。顧客が自発的に食品ロス削減に取り組むきっかけとなり、SDGsの評価において時折指摘される「押しつけがましい」という負の感情を払拭する効果も期待できる。
同社は2024年10月30日から11月26日にかけて、値下げシールのデザインをキャラクターの表情とメッセージが入ったものに変更する実証実験を実施した。消費期限が近づいた商品であることを、情緒的なデザインを通じてアピールすることで、値下げ商品の購入に変化が生じるかを検証。実験の結果、涙目シールを導入した店舗では、導入前と比べておむすび約5個分の販売増が確認されたという。
イラストデザインは、消費者モニターの評価を基に、複数の候補の中から選定された。「たすけてください」というメッセージは、食品ロスによって捨てられてしまう食材の心情を表現しており、心に響く表現によって食品ロスの問題を想起させる狙いがある。これにより、顧客が値下げ商品を肯定的に選択する効果が期待されている。
「食品ロス削減に関心があるので賛同して購入した」など、好意的な反応が寄せられている。全国展開にあたり、「メッセージやキャラクターの表情をもっと分かりやすくした方が良い」という意見を受け、一部デザインを変更した。