『#真相をお話しします』の結城真一郎さんに聞く、マーケティングを取り入れた作品づくりの戦略―「私の広告観」出張所

月刊『宣伝会議』では、社会に大きな影響を与える有識者が、いまの広告やメディア、コミュニケーションについて、どのように捉えているのかをインタビューする企画「私の広告観」を連載中。ここでは「私の広告観 出張所」として、インタビューの一部や誌面では掲載しきれなかった話をお届けします。今回登場するのは、小説『#真相をお話しします』が大ブレイクし、4月25日に映画の公開も控えるミステリー小説界の超新星、結城真一郎さんです。

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結城真一郎さん

1991(平成3)年、神奈川県生れ。東京大学法学部卒業。2018年、『名もなき星の哀歌』で新潮ミステリー大賞を受賞してデビュー。2021(令和3)年、「#拡散希望」で日本推理作家協会賞(短編部門)受賞、同短編を収録した『#真相をお話しします』で、2023年本屋大賞ノミネート。その他の著書に『プロジェクト・インソムニア』『救国ゲーム』などがある。

Q.特に2023年に発売した『#真相をお話しします』は大ヒットし、映画の公開も控えています。作品の構成はいつもどのように考えていますか。

作品の構成を考えるうえで、日々さまざまな情報にアンテナを張ることと、そこから得られるインスピレーションを大切にしています。ヤフコメやXのトレンドなど、あらゆる情報の中から、自分のアンテナに引っかかったものを、アイデアの種として膨らませていき、形にしています。

イメージ これまでに結城さんが手掛けた作品の一部。

これまでに結城さんが手掛けた作品の一部。

Q.『プロジェクト・インソムニア』や『救国ゲーム』などは、ミステリーマニアに刺さる作品である一方で、『#真相をお話しします』や『難問の多い料理店』では、「話題性」や「トレンド」を意識されていると感じました。

そうですね。私は、作品ごとにテーマやターゲットを変え、執筆前の企画から発売後のプロモーションに至るまで、作品が世に出て広まっていくための「戦略」を、緻密に練っています。

例えば『#真相をお話しします』は、普段あまり本を読まない人や読書の習慣がない人をターゲティングし、これまでミステリーマニアにフォーカスしていた作品から、ぐんと対象を広げました。

そのための表現の工夫として、作品中では入口10秒で読者を作品の世界観に引き込むために冒頭内容を重視し、1ページ目で何かが起こるような設計にしたり、読者を“視聴者”と位置付けて、文中に“1:07”などと経過時間を表記したりと、小説の“概念”を崩すような斬新な手法を取り入れました。

そして、“今、この瞬間”にフォーカスして、その時に流行っているものから、若い世代のトレンドを作中に取り入れたんです。読者の皆さんに、この作品を“自分ごと化”してもらい、話題性を高められるよう工夫しました。

イメージ 映画『#真相をお話しします』は、大森元貴と菊池風磨のW主演で、4月25日に公開される。

映画『#真相をお話しします』は、大森元貴と菊池風磨のW主演で、4月25日に公開される。

Q.そんな結城さんの広告にまつわるエピソードを教えてください。

以前、某家電製品のCMが斬新な打ち出し方で商品の魅力を訴求しているという内容の記事を読みました。

そのCMでは、商品の単なる機能性を宣伝するのではなく、商品によって家事の時間が減り、家族との団らんをもたらしてくれるという訴求をしていて。なるほど、と納得すると同時に、自分の作品づくりにおける視野が広がる感覚を覚えました。

さらにキャッチコピーでいうと、青春18きっぷの広告が昔からずっと好きで。あの短いコピーで多くの人に情景や感情みたいなものを伝えられるのは、本当に素敵だなと思っていて。毎年楽しみにしています。

写真 人物 「観る人に気付きを与えるものが、素敵な広告なのではないでしょうか」と語る結城さん。

「観る人に気付きを与えるものが、素敵な広告なのではないでしょうか」と語る結城さん。

…結城さんのインタビュー記事全文は、月刊『宣伝会議』2025年5月号 に掲載しています。

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