作家、脚本家、アーティストとして活躍した大宮エリー氏が4月23日に病気のため亡くなったことが、27日に公式サイトで発表された。享年49歳。
大宮氏は、1975年大阪生まれ。東京大学薬学部卒業後、電通に入社。CMプランナー、コピーライターとして、ネスカフェゴールドブレンド、スカイパーフェクTV!、ロッテ「トッポ」、大和ハウス工業、グリコなどのCMや山崎まさよしのミュージックビデオを手がけた。
2005年に、自身がコピー、企画を手がけ、吉田大八監督が演出したH&I(エイチアンドアイ)意見広告「屋上の少女」でTCC新人賞(東京コピーライターズクラブ)を受賞した。
「屋上の少女」
広告の仕事と並行して、2004年にNNK「プロフェッショナル」の立ち上げに参加したほか、「謎のホームページ サラリーマンNEO」の構成・脚本、「エルポポラッチがゆく‼」の企画・キャスティング・脚本などを手がけている。2006年にはスピッツのベスト盤のために制作した71分のミュージックシネマ「海でのはなし。」(後に劇場公開)で初めて監督を務めた。「海でのはなし。」は、半日で脚本を書き上げ、2日で撮影をしたという逸話を持つ。
2006年5月の独立後は、脚本家、演出家、作家、ラジオのパーソナリティなど、多方面で活躍。また、2012年に東京国立博物館の法隆寺宝物館にてモンブラン国際賞受賞の福武總一郎氏へのお祝いとして、急遽ライブペインティングを依頼されて制作した作品「お祝いの調べ:直島」がきっかけで絵画制作を始める。
近年は画家として国内外のギャラリーや美術館で作品を発表している。さらに自身の絵を使い、監督したVR映画「周波数」は第80回ヴェネチア国際映画祭XR部門にノミネートされている。2024年秋には、京都・妙心寺山内桂春院で重要文化財 狩野山雪の襖絵とのコラボレーション展を開催した。
電通からの独立直後のインタビューでは、「依頼を受けて何かを作るときは、全てにおいて、その依頼者やタレントとの距離感を保つことを心がけています。自分は靴職人のようなものだと思っていて、その人に合った靴を作るのが仕事。だけど、言われたままのものを作るのでは、職人に頼んだ意味がないと思っています」(『ブレーン』2006年11月号)と話している。
2024年12月に開催されたTCC賞授賞式では、TCC会員の井村光明氏と二人で司会を務めた。
葬儀は親族・近親者のみで行い、お別れの会の開催については未定。
