クリエイターの皆さんに独自のお題を設定してもらいプレイリストをつくってもらうシリーズ企画。プレイリストはSpotifyでも公開中です。
落ちてきた隕石が、僕のテイクアウトしたカレーを直撃した日に。
いやいや、思いもしない事態に見舞われる日ってありますよね。
プレゼン中、それまで全く会議に参加していなかった営業部長が急に「君、その案は商品のことを言えてないぞ」と僕を背中から斬りかかってきた日。あるいは90 年代の昔の話ですが、中国でオンエアするCM 素材を、なにか事故があったら怖いからと、僕ひとりで北京まで運んだことがあって。北京空港で現地スタッフに手渡して、滞在たった30 分で帰りの便に乗ろうとしたら、「なにをしに来たのか」と警察に怪しまれて別室に連れて行かれた日。あるいはクライアントさんから急に妹を紹介され、二人で食事に行くことになってしまった日。あるいはオーストラリアでのロケで砂漠のモーテルに宿泊することになり、ベッドの脇に置かれたデカい殺虫剤に描かれた、見たこともない害虫のイラストに嫌な予感はしていたのですが、夜中、チキンカツサイズのゲジゲジを壁に発見した日。
そんな時々やってくるハードデイズ・ナイト。私たちが音楽に求めるものは、ただただ温かさ、穏やかさ、美しさです。普段やっているバンドではガレージパンクな僕も(実はSpotify に何枚かアルバムがあります)、ジョー・ストラマーが「ロンドンは燃えている!」と大声で叫ぶ曲は聴けません。だってそもそも、僕の今日が激しく燃えていたのですから。ラフィン・ノーズに「栄光をつかめ!」と歌われても、いやいや、僕がつかみたいのは「藁をも」ですから。
そう、そんな日に、僕が聴きたいのはブライアン・ウィルソンの書いた神々しいビーチボーイズのハーモニーです。あるいはレイ・デイヴィスが「古いやり方を守ろう、嘲笑されることから。新しいやり方を守ろう、僕と君のために。」と歌うキンクスの美しいメロディーです。」
