JARO(日本広告審査機構)は、4月29日から企画展「愛と苦情の広告史〜あなたも広告にひとことを〜」を東京・汐留のアドミュージアム東京にて開催している。会期は6月14日まで。
広告・表示に関する自主規制機関として活動を続けてきたJAROは、昨年創立50周年を迎えた。本展では、その節目にまとめられた「苦情の50年史」を中心に、江戸時代や近代の広告までさかのぼり、広告と生活者が織りなしてきたコミュニケーションの歴史を紹介する内容となっている。
展示は全部で5つのゾーンに分かれており、江戸時代から現代のSNS広告にいたるまで、広告史を俯瞰して眺めることができる。
ゾーン1は「いまだったら、あやしい広告?―日本の広告のはじまり―」と題し、江戸の出版物に散見される広告表現や近代の新聞に掲載された奇抜な広告を展示。
江戸時代のコーナーでは平賀源内と「仙女香」を紹介
例えば、江戸時代のコーナーでは、「土用の丑の日」を提案し日本初のコピーライターとも称される自然学者・平賀源内を紹介。当時販売された歯磨き粉「嗽石香」の引札(現代でいうチラシ)に源内が寄せた文章を解説している。
また、江戸・京橋の坂本氏が売り出した粉白粉「仙女香」についても紹介。化政期を代表する歌舞伎役者・三代目瀬川菊之丞の俳名(俳句を詠む際に用いる名前)からネーミングされた商品だが、メディアを利用し、巧みな宣伝活動が展開されたことでも有名。展示では、「仙女香」の文字を確認できる当時の役者絵や草双紙を解説と共に鑑賞できる。
明治・大正時代のコーナーでは、「マスメディア広告」が花開いた近代における新聞広告を多数紹介。当時は広告にルールがなかったため、今では考えられないような自由さ、大胆さ、そして“あやしさ”があったという。
明治・大正時代の新聞広告。「面白い貯金法」「僕だよ僕だよ」など、目を引くものの“あやしい”広告が多い