【動画あり】CD原田朋氏に聞く、ビジネスを切り拓くクリエイティブスキル

博報堂でのクリエイティブ職の後、スマートニュースの広報責任者という異色の経歴を持ち、現在クリエイティブディレクター/PRディレクター/コピーライターとして活躍する原田朋氏。宣伝会議より6月13日(金)に開講する『コピーライター養成講座「ビジネス創造性」入門コース』を受け持つ原田氏に、コピーライターのスキルがビジネスシーンでどのように活かせるのかや、言葉が持つ力についてインタビュー。
 
本記事では、動画内では語りきれなかった内容も含めて公開します。

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広告クリエイティブから事業会社広報へ。越境で見えた「言葉」の役割

━━原田さんは博報堂からスマートニュースと、クリエイター側から事業会社側に移られたという経歴をお持ちです。どのようなきっかけや気持ちの変化があったのでしょうか?

原田:博報堂で広告制作やマーケティングに携わる中で、コピーライターとして培った力を事業会社側で活かしたらどうなるだろうか、と考え始めました。商品開発やブランディング、企業のミッション・ビジョン・パーパス作りに関わることで、企業の中からなら一貫したストーリーを発信できるのではないかと思ったんです。実際に企業の中でコピーライター職の募集は少ない中、言葉でブランディングができる仕事として候補にあったのが広報でした。また、テクノロジーの真ん中にいるスタートアップで事業成長に貢献したいという思いもあり、ニュースアプリのスマートニュースに入社しました。

現在はフリーランスとして、様々な企業のブランディング、広報、広告制作など多彩な仕事に関わっています。

━━コピーライター、クリエイティブディレクター、そして広報やブランディングと、様々なご経験をされていますが、これらの仕事に共通する点や相違点はありましたか?

原田:大きな違いは、フィクションを作れるかどうかです。CMやポスターでは現実にない物語も描けますが、企業の広報はファクトベースでなければなりません。だからこそ強いとも言えますし、制約があるとも言えます。また、事業会社側にいることで、広告代理店時代よりも事業課題の解像度が上がりました。自分の仕事が数字に直接結びつく感覚は、事業会社ならではの経験でしたね。

共通点で言えば、一貫したストーリーを元に企業や商品を語っていく「ストーリーテリング」は、どの仕事においても変わりません。また、広告会社で培ったような、アイデアをたくさん考えたり、多様な視点を提供したりする力は、事業会社側でも求められていると感じます。

━━コピーライターとして培ったスキルは、広告業以外でも役立つということですね。ビジネスにおいて、具体的にどのように転用できるとお考えですか?

原田:まさに企画書のタイトルが良い例です。例えば会社で企画書を作った際によく、「この提案、ひとことで言うと何なの?」と聞かれると思います。その「ひとことで言う力」こそがネーミングの力であり、コピーライティングのスキルです。企画や提案内容をひとことで魅力的に表現することで、相手の記憶に残りやすくなり、社内での理解や浸透度が格段に上がります。自分の提案に、いわば「広告的な効果」を持たせることができるのです。

━━ネーミングというと商品名のイメージが強いですが、企画書のタイトルなどもネーミング力ということですね。

原田:商品の名前はもちろん重要ですが、その手前にある企業パーパスやミッションといった「方針となる言葉」を作ることも重要な仕事です。ネーミングの力は、普段の資料作成や会議でのアイデア共有など、日常のビジネスシーンでも毎日使える技術だと思いますね。

良いコピーの条件は「長く使われ」「覚えてもらえる」こと

━━では、 原田さんが考える「いいコピー」「いいネーミング」とはどのようなものでしょうか?

原田:好みで言えば「長く使われるコピー」ですね。私自身、20年以上前に書いた缶コーヒーのコピーが、最近また使われ始めたのですが、このように時代を超えて価値を持ち続ける、耐久力のある言葉は価値が大きいと思います。

長く使われるためには、なるべく短く、覚えやすい形をしていることが重要です。言葉の「プロダクトデザイン」のような感覚ですね 。もう一つのポイントは「覚えてもらえること」。記憶に残らなければ存在しないのと同じなので、覚えてもらうための工夫は非常に大切です。長く使われ、記憶に残るコピーは、それ自体が強力なブランディングになります 。

━━原田さんが普段コピーやネーミング、ブランディングを考える際に、一番最初にやることは何でしょうか?

原田:まず、その商品や企業を取り巻く「普通」は何かを考えます。例えば、昔の車なら「ガソリンで走る」のが普通でした。その普通があるから、「電気で走る」ことに驚きが生まれるわけです。まず業界の「普通」を定めて、そこからどれくらい距離を取るかを考えます。距離を取りすぎると「自分には関係ない」と思われたり、アートになったりします。逆に近すぎると「ありきたり」になってしまう。ほどよく距離を取ることで、「新しい」「欲しい」と感じてもらえるのです。

例えば、「4輪で走る」のが普通なら2輪にしたらどうかとか、「道路」ではなく線路の上を走ったらどうかとか、アイデアは色々出てきます。ただ、その時の企業の課題やマーケティング目標によって、どの方向性のアイデアを出すべきかは絞られてきます。その課題に自分のアイデアがマッチしているかを見極めながら、アイデアを絞っていく。これらが同時に起こっていきます。

言葉は世界の見方を変え、未来を創造する

━━コピーに限らず、「言葉の力」そのものはどのように捉えていらっしゃいますか?

原田:大げさに言うと、「世界の見方を変える可能性がある力」だと思います 。例えば「電気自動車」という言葉が生まれたことで、「車はガソリンで走るもの」という認識が変わっていきました。まだないものを、あるものにしていく力。それはビジネスにおいて、新しい商品やサービス、企画を生み出す思考の道具になり得ます。言葉が、まだ存在しないものを現実にするための一歩を踏み出すきっかけになるのです。

なぜ今、ビジネスパーソンが「コピーライターのスキル」を求めるのか

━━最近、宣伝会議の講座でも、実はコピーライターのスキルを学びたいと考えるビジネスパーソンが増えてきています。その背景には、何があると思われますか?

原田:いくつか考えられますが、一つは競争が激しくなり、より良い商品をより早く生み出す必要性が高まる中で、コピーライターの持つアイデア発想や言語化スキルにヒントを求めているのではないでしょうか 。また、AIが進化する中で、人間ならではのアイデアや価値とは何か、という問いに対する関心も高まっている気がします 。そして、ビジネス自体にクリエイティビティが求められるようになり、その手段として「言葉の力」が注目されている点は大きいでしょう 。

━━反対に、現役のコピーライターが自身の領域を広げたい場合、どのようなスキルやマインドセットが必要になりますか?

原田:スキル以上に「自分を変えることを恐れないマインドセット」と「知的好奇心」が重要ではないでしょうか。広告コピーのやり方が他の領域でそのまま通用するとは思わず、新しい世界のルールを学び、自分の考え方を柔軟に変えていく姿勢が大切です。例えばPRに興味があるなら、PRのプロと一緒に仕事をし、「なぜこのコピーではプレスリリースに使えないのか?」を理解しようと努める。知らないこと、できないことを面白がり、学び続けられる好奇心があれば、どんどん世界は広がります。

━━最後に、コピーライター養成講座「ビジネス創造性」入門コースについて教えてください。

原田:コピーを書くだけでなく、「ビジネスの創造性」に役立つ力、コピーライターでなくても使える力が身につく講座です。コピーライターがコピー以外の仕事をする際の視点などもお伝えします。

「ビジネス創造性」入門コースは、私も宣伝会議さんも、そして皆さんも受けたことがないような、新しいことをやろうとしているのが最大の特徴です。どんな世界でも、一回目でしか味わえないマジックが必ず起こります 。完成されたものではなく、一緒に作り上げていくドキドキ感は初回ならではです 。もし少しでも興味があるなら、完成度が高まるであろう二回目、三回目ではなく、ぜひこの一回目に参加してみてほしいですね 。

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━━本インタビューの動画は、宣伝会議公式YouTubeにて公開中です。是非ご覧ください。

コピーライター養成講座「ビジネス創造性」入門コース 講座概要

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◯開講日:2025年6月13日(金)19:00-21:00
◯講義回数:全6回
◯開催形式:教室(表参道)・オンライン ※各回自由選択できるハイブリッド開催
◯定員:先着30名
◯詳細・お申込はこちらから

2025年5月9日(金)19:00に講座で学ぶことや講義の雰囲気がわかる無料体験講座を開催!

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