4名のトップランナーが語る未来のビジネス像とは?
株式会社宣伝会議は2025年6月12日に「宣伝会議マーケティングサミット」を開催します。今回のテーマは、「これからのビジネスの“北極星”はどこ?~人間中心志向の先にある、マーケティングの進化系」です。
テクノロジーの進化、とりわけ生成AIの急速な普及は、マーケティングの在り方にも大きな変革をもたらしています。これからの時代、企業は数値的成果だけでなく、情緒的・社会的価値の創出を重視し、「人間中心」の視点で新たなビジネスの“北極星”を描く必要があります。本イベントでは、環境・倫理・文化的多様性を尊重したマーケティングの進化系をテーマに、業界の第一線で活躍するマーケターやクリエイターと共に、これからのエコシステムを構想します。未来のマーケティングを考えるこの機会に、ぜひご参加ください。
本記事では、そんな「宣伝会議マーケティングサミット」の予告編として、イベントに登壇いただく4名の講演者に「人間中心志向の先にある、マーケティングの進化系」をテーマに、3つの質問を投げかけました。
■4名の登壇者に、インタビューへご協力いただきました。
■Q1:世界経済の動向など社会全体の先行きが不透明な時代にあるかと思います。現在のような状況で生活者の意識や購買行動の特徴として感じていることを教えてください。
■Q2:今日の環境で、「マーケティング」に期待される役割をどう定義しますか。
■Q3:「人」に向き合う、マーケティングやクリエイティブの仕事に携わる中で、最も重要視していることは何ですか。
■Q1:世界経済の動向など、社会全体の先行きが不透明な時代にあるかと思います。現在のような状況で生活者の意識や購買行動の特徴として感じていることを教えてください。
和田:日本の消費者という視点では、コロナ以降続いている漠然とした不安が続く中、情報過多と価値観の多様性が進みカテゴリーによって「選ぶのが面倒だから一番売れてるもの」「こだわりがないから一番安いもの」という消費が加速すると思います。
さらに景気の見通しが悪くなってくるとより安さがキードライバーになりかねません。我々メーカーはただ安いだけではなく独自の「知覚品質」「体験価値」を通じて「愛着心」が持てるブランドを作っていく必要があります。
さらに、成熟したと思われているカテゴリーにもイノベーションの可能性を諦めないことが大切だと思います。(例えば、角瓶のハイボール。他社ですが、未来のレモンサワー)
生井:世界経済の不透明感に加え情報が爆発的に増加する時代において、生活者は情報を取捨選択し、自分なりの考えを持つことがますます重要になっています。その結果、購買行動も「自分にとって本当に意味のあるもの」や「共感できる価値」を基準に選ばれる傾向が強くなっていると感じています。
梅木:生活者は「価値の確実性」を軸に行動しているように感じます。ミレニアル・Z世代は所有より経験へ支出を振り替え、SNSなどで実証済みの推し体験を探してから購入する人の比率も増えています。一方で富裕層は「換金性」というヘッジを意識し、リセール市場が活況の高級ウォッチやジュエリーに資金を移しています。つまり“高品質体験”と“資産性”の二極化が同時進行しており、背景には物価高と政治地理学的リスクへの心理的防御があるというのが私の見立てです。
Tinderでも「出会いで失敗したくない」「確実に良い出会いに時間を使いたい」という行動が見られており、それらのニーズに応えられるプロダクトやキャンペーンの設計を心がけています。
山西:スペックの勝負がほぼ通用しない中で、”推し活”に近いのではと思っています。誰かの「好き」が伝わると、自分も欲しくなる。企業からの広告よりも、友人のオススメや偶然出会った誰かの想いがこもったものに心が動くと思います。
人間の行動の95%以上は無意識だと言われています。それは商品を買う時も同じです。5%の感情の部分に働きかける努力をしています。
■Q2:今日の環境で、「マーケティング」に期待される役割をどう定義しますか。
和田:私見ですが、マーケティングとは、ユーザーに愛され続ける作法だと思います(サントリーレッドのコピー「少し愛して、長く愛して」のように)。短期・中長期の複眼でKPIも見ていく必要があります。そのためには、ブランドパーバスがしっかりしていること、プロダクトとコミュニケーション、プロモーションのベクトルが合っていることが肝要です。
生井:マーケティングは単なる商品を売るためだけの手段ではなく、企業経営や個人のキャリア形成においても、自らの価値を的確に伝え、選ばれる存在になるための重要なスキルとして機能します。
梅木:情報が飽和した今、マーケティングの本質的な価値は「選択のストレスを減らし、行動の確信を与えること」にあると考えています。そのためには、精度の高いキュレーション(多様な視点で情報を整理し、思わぬ気づきを提供する)、ユーザーとのブランドの価値共創(ブランド自身の“良い面も弱い面も”包み隠さず開示し、消費者を巻き込んで価値を磨く)が期待されていると感じています。
山西:「認知はしているけど買わない」という課題が多い中で、お客様の頭の中にどう残るか?が重要。それは、ただの情報ではなく、想い・温度・人柄などを空気ごと感じてもらう必要があると思っています。「伝える」よりも「感じてもらう」ことを意識しています。
■Q3:「人」に向き合う、マーケティングやクリエイティブの仕事に携わる中で、最も重要視していることは何ですか。
和田:一番大事なのは誰と同じ船にのるかということですね。そのためには、仕事に関係があるなしに関わらず、興味を持った人とはできるだけリアルなコミュニケーションをとります。人脈から人財になればいいですね。
あと、クリエイティブをみる視点として、「人間らしいかどうか」「既視感がないか」「ぐっとくるポイントは何か?」これを自問自答し続けています。
生井:「相手を深く理解し、共感する姿勢」です。生活者の表面的なニーズだけでなく、潜在的な想いや課題を丁寧に拾い上げ、それに真摯に応えることで、心を動かす価値提案ができると考えています。
梅木:先入観を捨てること、一次情報と向き合うこと、対象を長い時間複数の角度から見つめ続けることだと思います。マーケティングは時代背景と、その時代に生きる人間が織りなすドラマだと捉えており、根底に流れる本質的な欲求や苦悩を理解することが価値のある体験や商品を作り届けるために最も大切だと考えており、その為には先入観を捨て、自ら体験し、思考し続けることが重要だと考えています。
山西:徹底的なお客様理解。喜んでもらいたい人は誰か?を明確にすること。お客様は「モノ」「ターゲット」ではなく、「敬意をもって接するべき一人の大切な人」として考えるようにしています。
インタビューにご協力いただきました登壇者のみなさま、貴重なご意見をありがとうございました。
マーケティングは単なる販売手段ではなく、生活者と共感し、信頼を築くための重要な手段です。変化の激しい時代において、これらのトップランナーの洞察力を活かすことで、今後のビジネスに向けた新しい戦略を築くヒントが得られることでしょう。
この貴重な知見の数々を、ぜひ会場で体感してください。

◆開催概要
・日時 :2025年6月12日(木)
・会場 :浜松町コンベンションホール
東京都港区浜松町二丁目3番1号
「大門駅」B5出口 直結
「浜松町駅」北口 徒歩2分
・参加費:無料(※事前登録制:参加希望者多数の場合は抽選)
・主催:株式会社宣伝会議
▼詳細・お申し込みはこちらから
【本件に関するお問い合わせ先】
宣伝会議 セミナー事務局
E-mail:summit@sendenkaigi.com
受付時間:平日10:00~18:00(土日祝日は除く)