元お笑い芸人で画家の落合翔平氏に聞く、SNSを駆使して人気を世界から日本へ逆輸入―「私の広告観」出張所

月刊『宣伝会議』では、社会に大きな影響を与える有識者が、いまの広告やメディア、コミュニケーションについて、どのように捉えているのかをインタビューする企画「私の広告観」を連載中。ここでは「私の広告観 出張所」として、インタビューの一部や誌面では掲載しきれなかった話をお届けします。今回登場するのは、個性的な色づかいと濃い線で描く作品が海外から注目され、SNSのフォロワー数は計14万人以上を誇る元お笑い芸人で画家の落合翔平さんです。

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落合翔平さん

埼玉県大宮生まれ。多摩美術大学生産デザイン学科プロダクト専攻卒。吉田正樹に師事しエンターテイメントを学び、2018年より画家として活動を開始。直近の展示として、2022年7月渋谷TRUNK(HOTEL)「A[R]T THE HOTEL」、2022年8月MEDEL GALLERY SHU「COUNTER PRESS」、2022年11月MAT「落合総合センター」、2023年8月Terrada Art Complex Ⅱ YUKIKO MIZUTANI、「THIS IS OCHIAI SHOHEI」、2024年6月OKYAKU「凸(デコ)」などがある。主な受賞歴は次の通り。2020年「星野リゾート×エイベックスCREATORS WALL」グランプリ、第216回ザ・チョイス入選(選者:佐々木俊さん)、第38回ザ・チョイス年度賞入賞。

Q.お笑い芸人から画家に転身された落合さんですが、経歴を教えてください。

美術大学卒業後は意を決して、幼いころから憧れていたエンタメの道へ進み、テレビプロデューサーの吉田正樹さんに弟子入りしました。その後コンビを組んだのち、ピン芸人としても活動したものの、なかなか芽が出ず…。

お笑いで反響を得ることが難しくて、焦りを感じていました。当時、所属していた事務所の先輩にアドバイスを求めると、「一番やりたいことは売れてから」と言われて。絵では評価をもらえることが多かったので、まずは画家として腕を磨いてトップを目指したほうが早いかもしれないと、方向転換することを決めました。

落合さんのこれまでの作品。消しても筆跡が残っているほどの筆圧で描かれた線が、落合さんの作品の特徴のひとつ。

Q.2018年に画家としての活動を開始し、ファレル・ウィリアムス氏に作品の個性を見出され、ファレルの私物をモチーフに描いた絵が、彼が運営するオークションに出品されましたよね。

はい、これは画家としての転機でしたね。現在では、個展を開催したり、著名人のアートワークを手掛けたりと、国内での仕事も増えました。

私は「全人類からの認知」を目標に掲げ、SNSでの発信にも注力しています。活動を開始して少し経った頃、認知獲得のための戦略として、「海外からの“逆輸入”的な見え方が効果的なのでは」と考え、外国人をターゲットにSNSには英語でも投稿するようになりました。するとその狙いが当たり、フォロワーが次第に増加。今では全体の8割を外国人が占めるようになりました!

作品で使う“色”にも強いこだわりがあるという落合さん。さらに、これまではペットボトルやテレビなどプロダクト(人工物)を描くことが多かったが、これからは動きのある風景画や人物画など自然物を描くことも増やしていきたいと話す。

Q.落合さんは、1964年東京オリンピックのポスターデザインを手掛けた亀倉雄策氏から、ユニクロや楽天グループなどグローバル企業のトータルプロデュースを手掛ける佐藤可士和氏まで、世間で注目を集めたクリエイターの作品に影響を受けてきたと伺いました。そんな落合さんがいま、広告の半世紀を振り返り思うこととは。

昔のほうが今より広告に“力”があった気がします。昔の広告作品にあったアートの要素が少なくなって、今の広告は情報過多になっているのではないかなと、ちょっと残念に思います。

そのなかで最近、話題になった花王のメリットのCMシリーズ「家族と愛とメリット」は、シンプルなのに訴求力が強くて、良い意味でとがっているなと思いましたね。子どもや学生がこういうCMを見て、“自分も将来こんな広告をつくってみたいな”と思ってもらえるようなものが出てくるのを期待しています。


…落合さんのインタビュー記事全文は、月刊『宣伝会議』2025年6月号に掲載しています。

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