開発過程は過去最難関
開発にあたっては、バターとぽん酢が分離しやすいという課題があった。販売時には常温保存だが開封後は冷蔵保存であることから、異なる温度帯でも分離せず、均一に混ざった「乳化」状態を維持するというハードルもあった。また、様々な食材や調理法に対応するため、バターの濃厚な風味とぽん酢のさっぱり感を組み合わせる点も難易度が高かったという。
開発過程では、何度も北海道に足を運び、コープさっぽろとの試食会や意見交換を実施。100以上に及ぶサンプル試作を重ね、多くの消費者から意見を集めたほか、原料メーカーの協力も得た。北海道の素材に詳しいイタリア料理店「セミーナ」の田中寿史シェフと、バター専門家の長尾絢乃氏からアドバイスも受けたという。その結果、温度帯の違いに左右されない乳化を実現し、幅広い料理に対応する「バタぽん」の開発に成功した。
マーケティング本部の田中史恵氏によると「バターとぽん酢を組み合わせることは、ミツカン220年の歴史の中でも最難関だった」という。「地元の方に愛される商品にすべく、まずは知っていただき、お試し頂くところから始める」と話した。コープさっぽろの各種SNS、HP、紙媒体などのメディアで訴求する方針だ。
第1弾の「味ぽんfor宇都宮餃子」は、高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、宇都宮市の餃子店「来らっせ」(本店・パセオ店)など、関東の一部地域で限定販売され、SNSでは商品を発見した観光客による投稿なども多く見られた。人気ぶりについて田中氏は「ここでしか買えない限定感」が要因の一つであると分析している。
土産店での売り場演出にも力を入れ、黄色ベタの目立つ什器や、地元出身のインフルエンサーで漫才コンビの「U字工事」を起用した情報発信などが、話題化に貢献したと見ている。
「特製ラー油」も人気のカギであり、同商品だけで餃子を楽しめる。田中氏は「実はラー油を入れることの煩わしさを潜在的に感じていた人が多く、想定外だった」としている。
