「韓国トレンド研究室」、第10回目の後編です!後編では、K-POPのタイトル曲ごとにつくりあげられる世界観やコンセプトの重要性を分析していきます。
【前編】
1. グループ自体の一貫したコンセプト
・Red Velvet
・IVE
・NJZ(旧:NewJeans)
【後編】
2. タイトル曲ごとにつくり上げられる世界観
・LE SSERAFIMの『Come over』
・IVEの『REBEL HEART』
3. コンセプトの重要性
4. まとめ
2. タイトル曲ごとにつくり上げられる世界観
第1章ではグループ自体のコンセプトを紹介しましたが、第2章では、タイトルごとの世界観をご紹介します。
K-POPアイドルには、カムバックが毎回毎回とても楽しみになるほど、ユニークで可愛いアートワークスがたくさん溢れています。
※「カムバック(通称:カムバ)」については、こちらの回で詳しく説明しています。
毎回すべてのグループが本当に可愛いので、ここでもすべて紹介したいのですが、今回は「グループとして一貫しているコンセプト・世界観」と「楽曲ごとのコンセプト・世界観」がどのように交差していくのかを踏まえて、次の2つだけご紹介します。
(考察や捉え方はたくさんあり、必ずしもすべてが正しいというわけではない点、ご了承ください!)
①「強い女性」をコンセプトにしているLE SSERAFIMの新曲『Come over』
私はこのMVが大好きで何度も観ているのですが、レトロでポップな世界観が、本当に本当に可愛いです。
公式に発表されているのは、「今この瞬間の感情に素直に反応し、みんなで一緒に楽しく踊りながら、この瞬間を楽しもう」というコンセプトで、実際にポップな世界観でメンバーたちは楽しそうに踊っています。
ただ、表情はクールで挑発的なのがポイントかな、と思いました。表情と歌詞とアクセントがたくさんある力強いダンスで「強い女性」を表現しています。
LE SSERAFIM『Come over』OFFICIAL MV
②「自己愛、自分に自信が満ち溢れている女の子」をコンセプトにしているIVEのタイトル曲『REBEL HEART』
この曲のタイトルは「反逆者」という意味で、MVではメンバーそれぞれが別々の世界線にいる様子を描いています。一見バラバラのコンセプトに見えますが、メンバーそれぞれが何かに逆らっていることがわかります。
例えばLeeseo(イソ)は学校に反逆し、Wonyoung(ウォニョン)は「結婚してこそ幸せになる」という価値観に反逆している、といった感じです。
自信に満ちあふれ、自分に正直に、自由に生き、それを阻むものに反逆する、そんな力強いメッセージとMVのビジュアルが、「自己愛、自分に自信が満ち溢れている女の子」というグループコンセプトにもピッタリとマッチしています。
IVE『REBEL HEART』
3. コンセプトの重要性
今回は「コンセプト」篇として、ここまで具体的に例を挙げてお話ししました。
さて、第3章では、「なぜ、どのグループもコンセプトを重視しているのか?」についてお話しします。
もちろん単純に、コンセプトがはっきりすることで自分の好みにあったグループを“見つけやすい&ハマりやすい”というのも大きな理由としてあると思います。加えて、「なりたい」を叶える音楽になるから、というのもあると思っています。
シーンやその時のコンディションで、人々の聴きたい歌は変わってきます。例えばスポーツ選手が試合前に聴く歌、学生が受験勉強の日々に聴く歌、秋に聴きたい歌……など
このことは、サブスクの公開プレイリストに「朝に聴きたい歌」などのシーンや感情で分けられたプレイリストがたくさんあることからも、言えるでしょう。
人々の聴きたい曲が変わるのは、「朝にスカッとした気持ちいい気分になりたい」「昂る緊張を抑えたい」「元気な気分になりたい」など、「こうなりたい」という結果を求めての行動です。
そして、人はその時のシーンやコンディションに拘らず、一貫した「こうなりたい」という想いを持っていることがあります。
「自分に自信をつけたい」「エネルギッシュで明るい人でいたい」「唯一性のある人になりたい」など、さまざまな「なりたい」があるのです。
コンセプトがあることで、その人が「こうなりたい」ために聴く曲に選ばれるのだと思います。選ばれる曲・アーティストになるために、コンセプトは非常に重要なのです。
4. まとめ
今回は、「K-POPアイドルから学ぶコンテンツプロデュース ②コンセプト」篇でした。ここまで読んでくれた皆さま、ありがとうございます!
さて、次回のコラムは「③考察・ストーリーテラー」篇です!次回もぜひお楽しみいただけると嬉しいです!
